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兄の背中から離れた俺はアルフレッドの隣の席に収まった。
教会に移動後は、アルフレッドには血の盟約などという恐ろしいものを結んでいただくと説明をしている。
俺は室内を見回した。成金趣味な豪華絢爛な調度品がこれでもかという程、所狭しと並んでいる。
見栄と虚偽に塗り固められた我が家を表していると思った。
そして家長であるはずの父…。
あぁ、あれはダメだ。完全に兄の言いなりで威厳なんてあったものではない。
父には商人としてのプライドなんてない。
金さえあればそれでいい。
丸まった背中、オドオドと見上げるような仕草で兄のご機嫌取りに徹していた。
「ではそろそろ移動していただきましょう。クリス、君もアルフレッド様に付いて行ってくれるね?」
「えぇ、勿論です。兄上は…」
と言いかけた時、アルフレッドが俺の肩を抱き、額にそっとキスをした。
「ひゃっ!?」
と俺は顔を真っ赤にして額を押さえながら振り返るとアルフレッドはいつもの意地悪そうな目を向けた。
「…トム、ジャン。王子様を教会までお連れしてくれるかな?」
全身心臓になったかのような俺はマイクから発した舌打ちと刺すような視線に気づいていなかった。
「これから準備の間ここでお待ちいただきます。この後は父に引き継ぎますが…。ご武運を…!」
教会に着いた俺たちはトムとジャンと別れ別室へ連れられていた。
外から何やら魔法をかけ、俺達が出られないようにしている。
「いきなりあんな…事してどうするんだ?兄上にバレないようにしろって言ったくせに!!」
人の気配を確認しつつ小声でアルフレッドに詰める。
しかし当の本人は満足気にケタケタと笑っているのだ。
悔しい。揶揄われている。俺のファーストデコチューだったのに。
「兄上は来てくれるかな。」
マイクが屋敷を離れたらアルフレッドが用意した助っ人が帳簿を見つけるという算段だ。
「来るさ。想像よりも早くな。あれは他人を信用していない、自分の目で最後まで見届けないと気が済まないタイプの人間だ。」
そう、王子が相手だ。ここまで来てヘマは許されない。そこが俺達の作戦の肝だ。
人に任せず必ず自分の手で。そして影の実力者として君臨するためにマイクは必ず来る。
「それにあの男は思っていたよりもずっとお前に執着している。もう少し強かだと思っていたんだがな。」
そんなはずはない。クリスの事を道具の一つくらいにしか思っていないだろう。
「それなら定期的に連絡を寄越すはずだろうけどな。」
「あいつはがめつい商人だ。横取りされて平然としていられるようなタマじゃない。ましてや、お前が自分のものだという絶対的な自信があったんだ。それが崩されれば意地になって取り戻そうとするだろう。愚かな男だ。取られると分かっていながら俺に仕向けるなど。」
「また…物扱いかよ。」
お前は俺のものだと言われるときめきは、正直理解できない。
前世の事があったからかもしれないけど、対等に感じない。
仕方ないから好きになってやると思われるくらいなら好きになってもらわなくていい。
「お前は、自分が何も役に立たないモブだと思っているのだろうが、自分の価値に気付いた方がいい。」
「俺の価値…?」
アルフレッドは俺の頬を撫でていた。その目は今までになく優しい。
その指が俺の唇まで流れた時、扉をノックせずにマイクが勢いよく入ってきた。
「本当に来た…。」
「随分早急だな、それ程までに弟が惜しくなったか。」
教会に移動後は、アルフレッドには血の盟約などという恐ろしいものを結んでいただくと説明をしている。
俺は室内を見回した。成金趣味な豪華絢爛な調度品がこれでもかという程、所狭しと並んでいる。
見栄と虚偽に塗り固められた我が家を表していると思った。
そして家長であるはずの父…。
あぁ、あれはダメだ。完全に兄の言いなりで威厳なんてあったものではない。
父には商人としてのプライドなんてない。
金さえあればそれでいい。
丸まった背中、オドオドと見上げるような仕草で兄のご機嫌取りに徹していた。
「ではそろそろ移動していただきましょう。クリス、君もアルフレッド様に付いて行ってくれるね?」
「えぇ、勿論です。兄上は…」
と言いかけた時、アルフレッドが俺の肩を抱き、額にそっとキスをした。
「ひゃっ!?」
と俺は顔を真っ赤にして額を押さえながら振り返るとアルフレッドはいつもの意地悪そうな目を向けた。
「…トム、ジャン。王子様を教会までお連れしてくれるかな?」
全身心臓になったかのような俺はマイクから発した舌打ちと刺すような視線に気づいていなかった。
「これから準備の間ここでお待ちいただきます。この後は父に引き継ぎますが…。ご武運を…!」
教会に着いた俺たちはトムとジャンと別れ別室へ連れられていた。
外から何やら魔法をかけ、俺達が出られないようにしている。
「いきなりあんな…事してどうするんだ?兄上にバレないようにしろって言ったくせに!!」
人の気配を確認しつつ小声でアルフレッドに詰める。
しかし当の本人は満足気にケタケタと笑っているのだ。
悔しい。揶揄われている。俺のファーストデコチューだったのに。
「兄上は来てくれるかな。」
マイクが屋敷を離れたらアルフレッドが用意した助っ人が帳簿を見つけるという算段だ。
「来るさ。想像よりも早くな。あれは他人を信用していない、自分の目で最後まで見届けないと気が済まないタイプの人間だ。」
そう、王子が相手だ。ここまで来てヘマは許されない。そこが俺達の作戦の肝だ。
人に任せず必ず自分の手で。そして影の実力者として君臨するためにマイクは必ず来る。
「それにあの男は思っていたよりもずっとお前に執着している。もう少し強かだと思っていたんだがな。」
そんなはずはない。クリスの事を道具の一つくらいにしか思っていないだろう。
「それなら定期的に連絡を寄越すはずだろうけどな。」
「あいつはがめつい商人だ。横取りされて平然としていられるようなタマじゃない。ましてや、お前が自分のものだという絶対的な自信があったんだ。それが崩されれば意地になって取り戻そうとするだろう。愚かな男だ。取られると分かっていながら俺に仕向けるなど。」
「また…物扱いかよ。」
お前は俺のものだと言われるときめきは、正直理解できない。
前世の事があったからかもしれないけど、対等に感じない。
仕方ないから好きになってやると思われるくらいなら好きになってもらわなくていい。
「お前は、自分が何も役に立たないモブだと思っているのだろうが、自分の価値に気付いた方がいい。」
「俺の価値…?」
アルフレッドは俺の頬を撫でていた。その目は今までになく優しい。
その指が俺の唇まで流れた時、扉をノックせずにマイクが勢いよく入ってきた。
「本当に来た…。」
「随分早急だな、それ程までに弟が惜しくなったか。」
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