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白の番犬/幼少期
プロローグ6
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外は昨日の嵐が嘘みたいに静かだ。
ジリジリと太陽は照りつけ、5日間の砂嵐など無かったかのような表情を見せる。
「あの、レイン。昨日のことなんだけどね…」
すっかりむくれたレインは無言のまま朝食を取っていた。
「おいおい、何があったか知らんが仲良くしろよ?お前さん達はこれから二人で街に行くんだから…おい、レイン。無視すんなよ。お前に言ってんだからな?」
ジフと目を合わせるとやれやれといった顔をした。
仕方ない、街中は案内してもらいたいからずっと無言だと困る。なけなしのクッキーを部屋まで取りに行った。
個装の小袋に入っているクッキーにクリームがサンドされているもの。
ガサガサと封を切る音にレインはピクリと反応した。
「ジフさん、一応確認なんですが、これってこっちの世界でも食べていいんですよね?」
ジフがなるほど…と意地悪い顔で答えた。
「ああ、もちろんだ。だが拗ねて口聞かないやつは食えないかもしれないな?」
「ぐっ…ずるいぞ!そんなの…」
男子たる者、食の前にはなす術がないのだ。
***
「俺はまだ怒ってるんだからな」
キシキシと車に揺られながらレインは拗ねたように言った。
この車、自動運転もできるようだ。ジフが何かをセットして手を掲げると、自動的に目的地まで着くように設定されている。
「レインの事、信頼してないとかそういうんじゃないんだ。誤解させてごめんね」
ちょっと人見知りだけど優しくて純粋で年相応ないい奴だという事は分かっている。
「違う…俺ってそんなに頼りないか?」
しゅんとした顔はまるで子犬のようだ。
「ぐはァ!」
何これ、可愛い!ツンツンされると思ったのに反則だよ。
「お、おい、どうしたいきなり」
「ごめん、ちょっと余りに尊くて…もちろんだよ、頼りにしてるよ!前にも言ったけど僕の商売はレインの協力が必要不可欠だし頼るつもり満々だから覚悟してね。レインにしか頼れないんだから」
「そういう事じゃないけど今日はこの辺にしておいてやる」
そうは言いながらもソワソワと嬉しそうにしていて愛くるしい。
兄弟が居なかった悠斗は歳の離れた弟ってこんな感じなのかな、可愛いなと思っていたのだが…。
「おい、ミスティ。これはこの異邦者から買い取ったものだ。この世にたったひとつなんだぞ?そんな端金で売れると思うか?」
ものを売る時のレインは…非常に頼りになる。
登録前に寄った研究機関に要らない持ち物を売りに来たのだ。
悠斗が売ると足元を見られるからと代わりに間に入り交渉してくれている。
「レイン…そうは言っても二倍は無理だよ。このポリエステルはもう既に発見された加工方法で…あ、でもこの時計は細工が細かくてかっこいいな…」
「発見された加工でも、こんなに細かい細工がされている技術に価値があるのが分からないのか。二倍でも安いくらいだ」
普段はあまり喋らないのに、交渉の時はすらすらと言葉が出てくるんだな…。
ミスティと呼ばれた少年はタジタジだ。レインによく似た褐色肌で恐らくレインよりも3~4歳くらいは年上に見えるがまだあどけなさが残る。
「う…確かにこの箱は軽くて蓋どめができてすごいけど、で…でも!研究的視点ではこの靴なんかは、布を意味無く二重にして糸で縫い付けて違う色にしたりしてて無駄使いというか…」
「ジフがわざわざ研究室に売るべきだって言うから俺は来てやったんだ。マニアに売ったっていいんだぜ?」
「うぅ…勘弁してよぉ…僕いつも室長に怒られるんだから」
異邦者の持ち物は基本的に高額で取引される。マニアや収集家、そして研究機関が主に引き取っている。
その為墓場漁りのような事をして生計を立ている者もいるらしい。
「分かった!じゃあこの値段でどうだ」
ミスティはバン!と金額を提示した。
それが高いのか安いのかよく分からない。
「チッ…仕方ねーな」
どうやらお眼鏡に適う値段だったようだ。
「破格だよ!?破格の値段だからね?あーあ、僕また室長に怒られちゃうよ…」
レインが金額を確かめる中、ミスティに話しかけられる。
「おにーサン、今日登録に来たんでしょ?地下行きにならないといいねぇ」
「地下行き…って何ですか?」
「アレ?レインから聞いてない?異邦者どこ行っちゃったの問題」
「数が合わないって話?」
「そそ!アレさぁ僕ら研究室でも謎なわけよ。もしかしたら地下に連れられてグチャァァ!みたいな事あるかもねって噂されてんだよね。見かけないのってろくに会話も通じない奴らばっかだしさぁ」
気づいたらミスティの顔が異常に近い。こんなに近くて逆に見えてるのだろうか。
「国に保護されてるマトモな方にも聞いてみたんだけど知らないって言うしさ、タダ飯食いを面倒見るほど豊かじゃないし、肉団子確定じゃない?」
「おい、不安を煽るような事を言うのはやめろ!」
レインはぐいっとミスティを悠斗から引き剥がした。
「というか!君ちょっとウチの室長に似てるねぇ!どこから来たの?」
「コイツも俺も忙しいからもう行くぞ」
悠斗とレインは足早にこの場を立ち去った。
***
「これは…?」
ミスティの背後に男が近づいた。
「あ!室長ぉ~酷いんですよ、レインのやつ、また吹っかけてきて!!因みにそれはレインんとこに拾われた異邦者の持ち物を買い取りしたんです。いくらで買い取ったかは…うぅ聞かないでくださいぃ…」
室長と呼ばれた男は不健康そうで顔は青白く、鉄のような黒髪の奥には切れ長で真っ暗な瞳が見え隠れする。
「そう言えば、一緒にいた子、室長に似たような見た目をしてましたよ。そんな事もあるんですねぇ」
男はペンケースからボールペンを取り出しカチリ、カチリとノックする。
「ふふっ、懐かしいな。青ペンって記憶力アップするらしいよ」
そう言ってペンを自身の胸ポケットに挟み去って行った。
ーーーーー
妖怪ペン盗み
ジリジリと太陽は照りつけ、5日間の砂嵐など無かったかのような表情を見せる。
「あの、レイン。昨日のことなんだけどね…」
すっかりむくれたレインは無言のまま朝食を取っていた。
「おいおい、何があったか知らんが仲良くしろよ?お前さん達はこれから二人で街に行くんだから…おい、レイン。無視すんなよ。お前に言ってんだからな?」
ジフと目を合わせるとやれやれといった顔をした。
仕方ない、街中は案内してもらいたいからずっと無言だと困る。なけなしのクッキーを部屋まで取りに行った。
個装の小袋に入っているクッキーにクリームがサンドされているもの。
ガサガサと封を切る音にレインはピクリと反応した。
「ジフさん、一応確認なんですが、これってこっちの世界でも食べていいんですよね?」
ジフがなるほど…と意地悪い顔で答えた。
「ああ、もちろんだ。だが拗ねて口聞かないやつは食えないかもしれないな?」
「ぐっ…ずるいぞ!そんなの…」
男子たる者、食の前にはなす術がないのだ。
***
「俺はまだ怒ってるんだからな」
キシキシと車に揺られながらレインは拗ねたように言った。
この車、自動運転もできるようだ。ジフが何かをセットして手を掲げると、自動的に目的地まで着くように設定されている。
「レインの事、信頼してないとかそういうんじゃないんだ。誤解させてごめんね」
ちょっと人見知りだけど優しくて純粋で年相応ないい奴だという事は分かっている。
「違う…俺ってそんなに頼りないか?」
しゅんとした顔はまるで子犬のようだ。
「ぐはァ!」
何これ、可愛い!ツンツンされると思ったのに反則だよ。
「お、おい、どうしたいきなり」
「ごめん、ちょっと余りに尊くて…もちろんだよ、頼りにしてるよ!前にも言ったけど僕の商売はレインの協力が必要不可欠だし頼るつもり満々だから覚悟してね。レインにしか頼れないんだから」
「そういう事じゃないけど今日はこの辺にしておいてやる」
そうは言いながらもソワソワと嬉しそうにしていて愛くるしい。
兄弟が居なかった悠斗は歳の離れた弟ってこんな感じなのかな、可愛いなと思っていたのだが…。
「おい、ミスティ。これはこの異邦者から買い取ったものだ。この世にたったひとつなんだぞ?そんな端金で売れると思うか?」
ものを売る時のレインは…非常に頼りになる。
登録前に寄った研究機関に要らない持ち物を売りに来たのだ。
悠斗が売ると足元を見られるからと代わりに間に入り交渉してくれている。
「レイン…そうは言っても二倍は無理だよ。このポリエステルはもう既に発見された加工方法で…あ、でもこの時計は細工が細かくてかっこいいな…」
「発見された加工でも、こんなに細かい細工がされている技術に価値があるのが分からないのか。二倍でも安いくらいだ」
普段はあまり喋らないのに、交渉の時はすらすらと言葉が出てくるんだな…。
ミスティと呼ばれた少年はタジタジだ。レインによく似た褐色肌で恐らくレインよりも3~4歳くらいは年上に見えるがまだあどけなさが残る。
「う…確かにこの箱は軽くて蓋どめができてすごいけど、で…でも!研究的視点ではこの靴なんかは、布を意味無く二重にして糸で縫い付けて違う色にしたりしてて無駄使いというか…」
「ジフがわざわざ研究室に売るべきだって言うから俺は来てやったんだ。マニアに売ったっていいんだぜ?」
「うぅ…勘弁してよぉ…僕いつも室長に怒られるんだから」
異邦者の持ち物は基本的に高額で取引される。マニアや収集家、そして研究機関が主に引き取っている。
その為墓場漁りのような事をして生計を立ている者もいるらしい。
「分かった!じゃあこの値段でどうだ」
ミスティはバン!と金額を提示した。
それが高いのか安いのかよく分からない。
「チッ…仕方ねーな」
どうやらお眼鏡に適う値段だったようだ。
「破格だよ!?破格の値段だからね?あーあ、僕また室長に怒られちゃうよ…」
レインが金額を確かめる中、ミスティに話しかけられる。
「おにーサン、今日登録に来たんでしょ?地下行きにならないといいねぇ」
「地下行き…って何ですか?」
「アレ?レインから聞いてない?異邦者どこ行っちゃったの問題」
「数が合わないって話?」
「そそ!アレさぁ僕ら研究室でも謎なわけよ。もしかしたら地下に連れられてグチャァァ!みたいな事あるかもねって噂されてんだよね。見かけないのってろくに会話も通じない奴らばっかだしさぁ」
気づいたらミスティの顔が異常に近い。こんなに近くて逆に見えてるのだろうか。
「国に保護されてるマトモな方にも聞いてみたんだけど知らないって言うしさ、タダ飯食いを面倒見るほど豊かじゃないし、肉団子確定じゃない?」
「おい、不安を煽るような事を言うのはやめろ!」
レインはぐいっとミスティを悠斗から引き剥がした。
「というか!君ちょっとウチの室長に似てるねぇ!どこから来たの?」
「コイツも俺も忙しいからもう行くぞ」
悠斗とレインは足早にこの場を立ち去った。
***
「これは…?」
ミスティの背後に男が近づいた。
「あ!室長ぉ~酷いんですよ、レインのやつ、また吹っかけてきて!!因みにそれはレインんとこに拾われた異邦者の持ち物を買い取りしたんです。いくらで買い取ったかは…うぅ聞かないでくださいぃ…」
室長と呼ばれた男は不健康そうで顔は青白く、鉄のような黒髪の奥には切れ長で真っ暗な瞳が見え隠れする。
「そう言えば、一緒にいた子、室長に似たような見た目をしてましたよ。そんな事もあるんですねぇ」
男はペンケースからボールペンを取り出しカチリ、カチリとノックする。
「ふふっ、懐かしいな。青ペンって記憶力アップするらしいよ」
そう言ってペンを自身の胸ポケットに挟み去って行った。
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妖怪ペン盗み
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