好きをいう前に、君の声は風になる

椿原菜湖

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第二話

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(宮古島、夏の日)
空音そらねー!アイス買ってきたぞー!」
暑い夏の日。毎朝の検診が終わると、先生と看護師さんは部屋を出ようとした。
その時、両手にコンビニのビニール袋を持って滝汗をかいたお父さんが入ってきた。
「あ、先生いつもありがとうございます!」
お父さんも先生少しお辞儀をした。2人は入り口で軽く話をした後、部屋を出た。看護師の佐野さのも同じようにお辞儀をした。

ガチャン

「お父さん!アイス溶けてる!」
お父さんは驚いた表情で中身を確認した。
「えー!ごめん!買い直してくる!」
「別にいーよ。冷凍庫に入れとくから」
お父さんは何度も謝りながら冷凍庫にアイスを収納していった。その後ろ姿は毎日のように見ているが、やはり骨ばっていた。
父親が買ってきたのは私の大好きなスイカバー。果実が甘くて甘くて美味しい。私の一番の大好物。友達とコンビニに行ったらよく買いに行ってた。
「それじゃあ、お父さん仕事だから、また夕方来るね!」
お父さんは話す隙を与えることもなく、出入り口に向かった。手を振ってきたので、飽き飽きしながら手を振り返した。お父さんはぱぁっと笑顔になった。
扉が完全に閉まるまで隙間から手を振ってきた。恥ずかしくなり手で追い払う仕草を見せた。最後は悲しそうにしていたため、少しやりすぎたかなと反省した。
こうしてまた、一人になった。
いつもこうだ。
大人たちの業務が終わると最初からいなかったかのような対応をとられる。みんな仕事があり、忙しいのは分かる。私はただの病人だからいてもいなくても同じってのも分かってる。
だけど、別に誰かといたいとかじゃない。ただ、寂しかった。
1人になることが怖い。いつ倒れる?いつ死ぬ?そんなことばかり考えてしまうせいで1人では何もできなかなる。
私はベッドから起き上がり、窓の外を見た。窓際に手をついて空を見上げると、今日の気温はちょうど良さそうだった。薄い上着があればなおさら最高の日かな。
数回にわたり深呼吸をした後、若干埃がかかったリモコンを手に取った。
『今日の天気は、全国的に晴れ間が続くでしょう』
暇つぶしに天気予報をつけてみた。特に変わったニュースもなかったためだ。あまりテレビは好きじゃなかったが、入院してからよく見るようになった。
入院生活というものは本当にすることがない。私はたまたま趣味を持っているから助かったけど、そうでない人たちはどうやって過ごしているんだろうか。日々疑問に思うばかり。
天気予報士はよく当たる。ほぼ100%の確率で毎日の天気を的中させてくる。宇宙に打ち上げられている人工衛星のおかげとはいえ、それを理解する予報士がすごいと思う。
彼らの後ろには凸凹道の努力が刻まれている気がする。目には見えない努力をやってきたんだろうなって。ほんと、尊敬でしかない。
「はぁ...」
近頃のテレビっていうのは本当につまらない。昔はもっと面白かったのに。好きな番組も司会者が高齢で終了するし、不祥事は見つかるし、なんやかんや苦しい世界なのかも。
私はテレビの電源を切り、ベッド横に置いてある点滴スタンドに触れた。優しく丁寧に押しながら扉に向かった。部屋を出ると左に行くしかない。私の病室は棟の一番端にあるから。
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