【完結】王国魔法騎士団の赤い薔薇 〜男前騎士団長は幼馴染の聖女(男)から狙われてます〜

葉瀬満月(はせみつき)

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後日談

惑わしのマタタビ草

 この世界には様々な魔植物がいる。魔物と違って魔植物は人間が生まれる以前から現存している生き物だ。魔物のように動くものから、魔力を帯びているだけで草と変わらないものまで。その中で、以前イグニスが知った魔植物と違う危険な存在である【マタタビ草】の匂いを嗅いでしまう。

 マタタビ草は猫など一部の動物が好む匂いを放っており、人間に害のない魔植物と認定されていた。けれど、近年一部の噂話で囁かれていることがある。

 ――処女を捨てた者を惑わせる草と。


 シャツを握りしめ、荒い息遣いでベッドに腰掛けるイグニスは下半身へ視線を向ける。触っていないのに膨らんでいる分身を見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
 ベッド横の棚にはマタタビ草が置かれている。イグニスがマタタビ草を手にした経緯は些細なことだった。
 王城の庭師が刈った雑草に混じっていて、城内へ持ち込まれたのを発見して破棄しようと触れた瞬間強い匂いに襲われる。

 実は、マタタビ草の見た目が白くて可愛い花にしか見えず、花瓶へ飾られていたのだ。そのまま、匂いに惑わされて自室へ持ち込んで今に至る。

「んっ……! ふざ、けんじゃねぇ……」

 魔力を帯びていて危険だと判断したイグニスは、まんまとその特性に搦め捕られてしまった。男にも当てはまることが、今回のことで実証されてしまう。
 しかし、マタタビ草の知識がなかったイグニスは何者かの攻撃を受けたと思っていた。ただ、一度でもマタタビ草の匂いを嗅いで、性的な興奮を得てしまったら最後。欲望を解放されない限り、狂ったような快感に襲われる――。

 今日が非番で良かったと心底思うイグニスは、耐えるように布団へ潜った。マタタビ草が元凶とも知らず、窓を開けて空気を入れ替えたり、捨てる気力すらない。それなのに、無情な音が聞こえてくる。
 軽く扉を叩いて声をかけるのは、グラキエスだった。きっと朝食を運んできたのだろうが、今は最も会いたくない相手である。

 シーンと静まり返り諦めたかと思った瞬間。無情にも扉の開く音が耳へ届いた。魔力認証は部屋の主がいないとき、開けられないようにするための鍵代わり。そのため、部屋にいるときは普通に鍵を閉める。
 ただ、この男は魔力認証すら破って入ってこられた。どういう能力か聞いてもはぐらかされてしまう。

「ハァ……合鍵なんて、渡してないぞ……」
「あっ、イグニスお寝坊さんだよー? て、妙に甘ったるい匂いが――」

 聞こえるはずのないか細い声でも拾い上げるグラキエスは、すぐに部屋に充満する匂いへ気づいて近くのテーブルに運んできた朝食を置いた。
 もっこりした布団に被ったイグニスより先に草を握る音をさせ、匂いが遠ざかるのを感じて顔を出す。
 魔植物だけあって、魔力を排出したら普通の草と変わらないため窓を開けて外へ払っていた。人体へ害はないが、必要以上に取り込むのは穢れを誘発する恐れがある。

 効力を失ったマタタビ草を手にしたグラキエスと視線が重なった瞬間だった。高揚した表情をして近づいてくるグラキエスに、再び布団を被る。

 ギシッとベッドが軋む音を立てて、掴んでいない部分の布団を捲られた。

「イグニス……辛いでしょ? 僕が、その欲情から解放してあげるから逃げないで」

 震える体に添えられる手だけで頭がクラクラして、達しそうになる。布団を捲るだけで剥がすことはしないグラキエスも、体を中へ入れてきた。

「ひっ……! ぁっ……ん、ぁっ‼」

 後ろから優しく抱きしめられただけで、漏れる甘い声と先端から熱が迸る。気持ち良すぎて呼吸が荒くなる中、柔らかいものが首筋に触れた。

「ハァ、ハァ……」
「――大丈夫だよ……怖くないからね?」

 あやすような優しい声に、首筋へ触れるものが唇の感触だと分かる。少しだけぷっくりした薄ピンク色の色気を纏った唇だ。自分の薄い唇とは違って、魅力的で柔らかい。
 少しだけ落ち着きを取り戻したのが分かった様子で、下半身へ伸ばされる手は優しく分身を包み込む。

 それだけで、いつの間にか勃ち上がった分身が二度目の熱を溢れさせようと顔を持ち上げた。
 射精せずイくのと違い、そんなに早く集まるはずのない熱を感じて身震いする。これもマタタビ草の効果だった。何度も絶頂することで体力を消耗してしまうのも危険の一つ。

「……たっぷりシたあとで、いっぱいお水飲もうね」
「んっ……ぁっ……触……だ、め……」
「――イグニス。キミが持ってきた魔植物はね。マタタビ草って言って、えっちな植物なんだ……。土地柄によっては、子作りのため使われていたりもしたらしいよ」

 処女には効かないのが特徴的だが、夫婦となったら初夜の営みをするため、そのあと子作りを促す薬として使われていたこともあった。
 グラキエスが言いたいことは、体内に熱を放たない限り、苦しいほどの快感は終わらないと言うこと。

 後ろから抱きしめられるだけで、反応してしまう体はグラキエスを求めている。
 あまり前戯をするのは良くないと思ったのか、グラキエスの手は分身を握ることはせず衣服を剥ぎ取っていった。
 布団の中でされる行為は、目隠しされた時のことを思い出して興奮してしまう。

「あ……液体がない。僕の唾液だけで、なんとかなるかな……」
「は? 何、しようと……してんだ」
「んー……イグニスが可愛くなることだよ」

 グラキエスの体が動いて、明らかに不自然な場所で止まった。そして、指で拡げられた場所は秘部である蕾。
 思わず抵抗しそうになる体を押さえつけられ生暖かい何かが挿し込まれる。
 先ほど首筋を舐められたことで、すぐに何かわかると再び顔へ熱が集まった。わざとらしい卑猥な水音をさせて、抜き挿しされる。

「ひっ……! や、め……汚ねぇ……」
「んっ……大丈夫らいりょうぶだよ。いぐにすの、らし」
「うっ……舐め、ながら……しゃべんな!」

 じゅぷじゅぷという卑猥な音でガクガクと腰が震えた。丁寧に舐められてから何分か経って羞恥心も失われてきたところで舌が抜かれる。

「このくらいで良いかな……。イグニス、指入れるね」
「ハァ……ぁっ……ん」

 何も答えられず、ぼんやりする頭で暑くなってきた布団も剥ぎ取られた。
 涙で濡れた目元を指で拭われてから、一本の指が挿入される。
 ビクビクと痙攣したように動く腰を優しく後ろから抱きしめるグラキエスは少しずつ慣らしていくように数を増やしていった。
 何回も挿入されたことで、多少は緩んできた蕾もグラキエスの指をしゃぶるように卑猥な音を響かせる。

「うん……そろそろいいかな。イグニスの意識も遠のいてるし――」

 意識を混濁させるのもマタタビ草の効果だった。犯罪でも使われる代物で、今は規制もされている。そのため天然物は多くない。

 ゴソゴソと後ろで音がして、ぼんやりする視線を向けると既に太く勃ち上がった雄の姿を垣間見る。グラキエスもいつもより切羽詰まって感じられた。

「ふぅ……それじゃあ、メインディッシュだよ、イグニス……。美味しく召し上がれ」

 後ろから腰を抱かれたまま太い絶倫が挿し込まれる。
 いつもより滑りもなく息を飲むが、拡張された蕾は美味しそうにグラキエスの逸物を飲み込んでいった。
 その瞬間、短い喘ぎ声が部屋中に響き渡る。
 布団を被っていたせいで汗ばむ体を撫でられ、深いところまで沈んだグラキエスの雄が少し引き抜かれると、主張するように弾力のある何かへ当たった。何度も刺激された前立腺だと分かる。

 マタタビ草の効果も合わさってか、始めの頃に感じていたキツさよりも刺激されることで疼くものがあった。
 敏感になっている体はグラキエスが少し動くだけで反応してしまう。もちろん、甘い声も……。

「ハァ、ハァ……イグニス……そろそろ、イクね」
「んっ……ぐら、す……ァッ、ンッ! ァ……ぁん」

 止まらない喘ぎ声と共に肉壁へ熱い迸りが流し込まれる。痙攣するように震える体を優しく包み込んでくれるグラキエスの背中へ腕を回した。
 繋がったまま暫くしてマタタビ草の熱が冷めてくると、一気に羞恥心が襲ってくる。いつも以上に恥ずかしい状況だった。
 抱きしめていた両手をシーツへ投げ出して幸せそうな表情のグラキエスへ視線を流す。

「……グラ、ス……まともに戻ったから、抜いてくれ……」
「え? イグニス……そっか、恥ずかしい? たくさん、可愛く泣いちゃったもんね……」
「ぐっ……それは、ぁっ……動く、な……んっ!」

 反らした視線を追いかけるように頬へ伸ばされた手で向かされると、止まっていた時間を動かすように腰を突き上げられた。
 わざとらしく激しく突かれると前立腺に当たる。
 耐えられないほどの快感に自然と腰が揺れてしまい、甘い声も漏れた。
 背後から挿入された状態で、抜くことも出来ず押さえようとした口も反対の手で掴まれてしまう。

「ゃ……めっ! はぁ、ん……だ……ァン、ァ……」
「何が駄目なの? イグニス……かわいい。本当に――えっちな体」

 いつもより低い声が鼓膜を震わせた。耳元で囁かれる言葉に体を震わせるイグニスは、歯を噛みしめる。「えっちな体」と言われて反論が出来ない。本当のことだから――。

 何度もグラキエスに抱かれたことで、全身性感帯と言っても過言じゃないほど敏感だ。そして、最後の砦だった前立腺も陥落した。

 与えられる性感へ抗う術もなく、後ろを突かれる度に小鳥のような愛らしい声が響く。じわりと滲む双眸は、快楽に溺れていた。

「イグニス……かわいい。泣いてるの? 大丈夫だよ……僕のイグニス。本能のまま溺れても」

 感情を読み取れるグラキエスはイグニスの変化にすぐ対応して背後から見えていない涙を拭う。
 そして、腰を動かしながら首筋から背中にかけて唇を押し当てて赤い花を咲かせていった。
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