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番外編
腐女子の園
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大きなシャンデリアがある高い天井に、装飾された白い壁や家具に囲まれた煌びやかな部屋のソファーへ二人の淑女が座っている。
脇まで伸びた絹のような金色の髪、紫色の大きな瞳をした美少女は人形のように白い肌が薄っすらとピンク色へ染まっていた。薄ピンク色の厳かなドレスは、レースなどの派手な装飾がなくても座っている彼女を引き立ててみえる。
対してテーブルを挟んだ反対側へ座る美少女は、腰まで伸びた瑠璃色の髪を内巻きにして、フリルがあしらわれた水色の華やかなドレスを着た宝石のような青い瞳で微笑んでいた。
「こうしてカーラ様とお話出来るのはとても嬉しいです」
「うふふ……こちらこそですわ。それで、早速ですけれど……」
「はい。勿論です。数日前のことですが、兄二人が漸く初デートへ行ったようでして……飛竜に乗ったと、はしゃいでおりました」
「まぁ……飛竜なんて珍しい。さすが、聖女様ですね。普段は凛々しい団長様も、随分と可愛がられておられるようで」
粗暴の悪さが目立つイグニスも、妹のアクアには心を許しているため聞かれたことを素直に答えてしまっている。まさか、第一王女であるカーラとの話の種にされているなど思いもせずに……。
アクアは二人の兄について、実兄イグニスが義兄グラキエスに可愛がられている話を幾度と聞かせていた。カーラはワクワクしながら話を聞き、代わりとして従者を使って王城での二人について情報共有している。
「体の関係から入ったときは心配でしたが、収まるところに収まって安心致しました」
「聞き及んでおります。ですが、精霊様に肉体関係を持ちかけられる可能性などと……団長様は可愛らしい方ですわ」
「ええ……昔から少し抜けたところがあるのです。そこも可愛いのですけど」
まさか十歳も離れていて、溺愛している妹に可愛いなどと言われているとは思わないだろう。二人は俗にいう応援隊だ。たまに助言したり、影からイグニスたちを見守っている。
そして、月に一度カーラの部屋へ招かれてお茶会と称してメイドや護衛すら排除した秘密の会談をしていた。
勿論、盗み聞き防止の魔法具まで使う徹底ぶりだ。万一でも、第三者へ知られたら二人は勿論、自分たちの愛でる対象がいなくなる。因みに、アクアはイグニス推しでカーラがグラキエス推しだった。
「けれど、最近お兄さまの様子が穏やかで心配です」
「それは私も思っておりましたわ。魔法騎士団は男性のみですから、否応無しに美しい花は毒となります」
「その点、グラキエスお兄様は素晴らしいです。隙がございませんから」
二人が絶賛するグラキエスは男性ながら女性も嫉妬する美貌の持ち主だ。それなのに一切隙が無くて、あの顔で良心をどこかへ置いてきたかのような冷めた態度をとる。故に、“笑顔の裏に氷の仮面あり”と言われ、イグニスと恋人関係へ発展してからは拍車がかかって『氷帝』なんて呼ばれていた。
うっとりする二人の淑女は、それからも興奮したように話を膨らませていく。話は過去にまで遡り、話題となったのが黒薔薇騎士団長だった。イグニスが赤だから、リトス王国で誰かが呼んだだけの愛称である。
そのシュヴァルツ団長について――。
「シュヴァルツ団長様は、絶対にお兄さまを好いておられたと思うのです」
「ええ、私もそう思っておりますわ」
「竜人にしては美しく聡明な方で……。お兄さまは、グラキエスお兄様狙いだと勘違いされておりましたけど」
「団長様は鈍い方ですものね。そこも愛らしいと私も感じております」
カーラもアクアと同じ年齢のため、イグニスは十歳下の少女たちから男としてのプライドをバキバキにへし折られていた。
そこから最新の話へと移っていく。暑い季節で露出が増えたことや、非番を合わせられないから相手に合わせて時間を作っていることなど。
紅茶のカップに口をつけ、音もさせず飲みながらお菓子を摘む。
「――つい最近のお話でございます。なんと……団長様が自ら、聖女様をお誘いしておりました」
「……それは、誠ですか? お兄様も、心配の種ではありますが……丸くなられましたからね」
「はい……。仲睦まじく……ですが、問題ございません。いつでも聖女様は隣で目を光らさせておりますし、御二人のことを知らない団員はいないでしょうから」
「それでは、お誘いとは……」
「はい……秋に開催される祝祭のデートのお誘いでこざいました」
男性が意中の相手や、恋人、家族を誘って美味しい物を食べたり、踊ったりする豊作を願う祝祭だった。
二人はそのあとも、次のデートに関する妄想を膨らませていく。しかし、無情にも時間が来てしまいお開きとなった。
脇まで伸びた絹のような金色の髪、紫色の大きな瞳をした美少女は人形のように白い肌が薄っすらとピンク色へ染まっていた。薄ピンク色の厳かなドレスは、レースなどの派手な装飾がなくても座っている彼女を引き立ててみえる。
対してテーブルを挟んだ反対側へ座る美少女は、腰まで伸びた瑠璃色の髪を内巻きにして、フリルがあしらわれた水色の華やかなドレスを着た宝石のような青い瞳で微笑んでいた。
「こうしてカーラ様とお話出来るのはとても嬉しいです」
「うふふ……こちらこそですわ。それで、早速ですけれど……」
「はい。勿論です。数日前のことですが、兄二人が漸く初デートへ行ったようでして……飛竜に乗ったと、はしゃいでおりました」
「まぁ……飛竜なんて珍しい。さすが、聖女様ですね。普段は凛々しい団長様も、随分と可愛がられておられるようで」
粗暴の悪さが目立つイグニスも、妹のアクアには心を許しているため聞かれたことを素直に答えてしまっている。まさか、第一王女であるカーラとの話の種にされているなど思いもせずに……。
アクアは二人の兄について、実兄イグニスが義兄グラキエスに可愛がられている話を幾度と聞かせていた。カーラはワクワクしながら話を聞き、代わりとして従者を使って王城での二人について情報共有している。
「体の関係から入ったときは心配でしたが、収まるところに収まって安心致しました」
「聞き及んでおります。ですが、精霊様に肉体関係を持ちかけられる可能性などと……団長様は可愛らしい方ですわ」
「ええ……昔から少し抜けたところがあるのです。そこも可愛いのですけど」
まさか十歳も離れていて、溺愛している妹に可愛いなどと言われているとは思わないだろう。二人は俗にいう応援隊だ。たまに助言したり、影からイグニスたちを見守っている。
そして、月に一度カーラの部屋へ招かれてお茶会と称してメイドや護衛すら排除した秘密の会談をしていた。
勿論、盗み聞き防止の魔法具まで使う徹底ぶりだ。万一でも、第三者へ知られたら二人は勿論、自分たちの愛でる対象がいなくなる。因みに、アクアはイグニス推しでカーラがグラキエス推しだった。
「けれど、最近お兄さまの様子が穏やかで心配です」
「それは私も思っておりましたわ。魔法騎士団は男性のみですから、否応無しに美しい花は毒となります」
「その点、グラキエスお兄様は素晴らしいです。隙がございませんから」
二人が絶賛するグラキエスは男性ながら女性も嫉妬する美貌の持ち主だ。それなのに一切隙が無くて、あの顔で良心をどこかへ置いてきたかのような冷めた態度をとる。故に、“笑顔の裏に氷の仮面あり”と言われ、イグニスと恋人関係へ発展してからは拍車がかかって『氷帝』なんて呼ばれていた。
うっとりする二人の淑女は、それからも興奮したように話を膨らませていく。話は過去にまで遡り、話題となったのが黒薔薇騎士団長だった。イグニスが赤だから、リトス王国で誰かが呼んだだけの愛称である。
そのシュヴァルツ団長について――。
「シュヴァルツ団長様は、絶対にお兄さまを好いておられたと思うのです」
「ええ、私もそう思っておりますわ」
「竜人にしては美しく聡明な方で……。お兄さまは、グラキエスお兄様狙いだと勘違いされておりましたけど」
「団長様は鈍い方ですものね。そこも愛らしいと私も感じております」
カーラもアクアと同じ年齢のため、イグニスは十歳下の少女たちから男としてのプライドをバキバキにへし折られていた。
そこから最新の話へと移っていく。暑い季節で露出が増えたことや、非番を合わせられないから相手に合わせて時間を作っていることなど。
紅茶のカップに口をつけ、音もさせず飲みながらお菓子を摘む。
「――つい最近のお話でございます。なんと……団長様が自ら、聖女様をお誘いしておりました」
「……それは、誠ですか? お兄様も、心配の種ではありますが……丸くなられましたからね」
「はい……。仲睦まじく……ですが、問題ございません。いつでも聖女様は隣で目を光らさせておりますし、御二人のことを知らない団員はいないでしょうから」
「それでは、お誘いとは……」
「はい……秋に開催される祝祭のデートのお誘いでこざいました」
男性が意中の相手や、恋人、家族を誘って美味しい物を食べたり、踊ったりする豊作を願う祝祭だった。
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