一足早い春が来た!

神在琉葵(かみありるき)

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 「さて、と…
早めに部屋の片付けやってしまおうかな。」

 龍之介と雨男は、早乙女さんの車に乗って、商店街に向かって行った。



 「山田……雨男、本当に大丈夫かな?」

バーバラが寝転んだまま、俺に声をかけた。



 「大丈夫って何が?」

 「だって…あいつ、人間がいっぱいいる所には行ったことがないんだよ。」

 「そうはいっても、早乙女さんもいるんだし、靴を買うだけだぞ。」

 「そりゃあ、そうだけどぉ……
そういえば、あいつ、かなり本気だよね……」

 「本気って、何が?」

バーバラは、俺を丸い目でみつめて、小さな溜息を吐き出した。



 「なんだよ、溜息なんて吐いて……」

 「あんたは本当に鈍いんだね。」

バーバラは呆れたようにそう言った。



 「鈍いって、何がだよ…」

 「だ~か~ら~…雨男の気持ち。」

 「気持ちって……」

 「人間を好きになんかなったって、どうしようもないのに……」

 「好きって……」

 「もう、あんたは本当に鈍いんだから!
 雨男がユキちゃんに惚れてること、全然気付いてなかったのかい?」

なんだ、雨男が早乙女さんに惚れてることか…



 ……んん??



 「えええーーーーっっ!」



バーバラは、俺の大声に、眉をひそめ顔をしかめた。

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