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絶対に盗み見しないと誓い合った恋人のスマホ・男編

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優香との関係はとても順調だと言える。
 週末は、いつもといって良い程、一緒にいる。
たいてい、金曜の晩にどちらかが相手の家に行く。
 今日は、俺が優香の家に来た。
 平日は、毎日LINEでやりとりをしてるし、俺は優香に愛されていると信じていた。



その自信が揺らいだのは、つい先日のことだった。
 優香が、水曜日の夕方、見知らぬ男と歩いているのを、俺の友人が見たと言う。
 直接、優香に訊けば良いのかもしれない。
だけど、俺にはそれが出来なかった。



だって、優香は俺とは釣り合わないくらい、可愛いんだ。
まるで女優かモデルかというくらいの別嬪だ。
そんな優香が俺みたいに平凡な男と付き合ってくれてることが信じられないくらいだ。
それだけじゃない。
 優しくて気遣いも出来るし、彼女とは趣味もとても合う。
だから、心の底では、いつか優香に捨てられるんじゃないかっていう不安が常に渦巻いていた。



 友人からその話を聞いた時は、本当にショックだった。
その日、優香は友達とごはんを食べに行くから、帰りは少し遅くなるとLINEして来ていた。
 友達というのが、その男なのは間違いない。



 一体、どういう関係なんだろう?
ただの遊びか、或いは本気…!?



 俺は、ついに捨てられてしまうのか?



 真実を知るのは怖いことだ。
でも、知らないのも同じように怖いことだ。



もしも、辛い結果だとしたら…
死刑宣告は早い方が良い。
その方が傷が浅くて済むから。



いや、だからと言って、スマホをのぞくなんて最低だ!



あの日、俺は誓ったじゃないか!
スマホの盗み見なんて、絶対にやめようって。



だけど……



迷った挙句、罪悪感よりも、俺は真実を知ることを選んでしまった。
ついに、俺は優香のスマホを開いてしまったんだ。
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