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「あ…あぁっ!!」
呪文を唱え終わった二人の見守る前で、袋の動きが急に止まったかと思うと、目も眩むような光に包まれました。
あまりの眩しさに二人が目を閉じると、どこかで水風船が割れるようなかすかな音がしました。
その瞬間、光は消え、光の残像の向こう側になにかがうごめくのが二人の目に映りました。
「あ、赤ちゃんが……!」
そこにはもぞもぞと小さい動きをする者が倒れていたのです。
5歳くらいの子供程の体格のその者は、裸で、全身が滑りのある水分でぐっしょりと濡れていました。
マリオンは、駆け寄り、うつ伏せの子供を抱き上げようとして、突然大きな悲鳴をあげました。
「ど、どうしたんだ!?」
「ア…アベル……
この子…この子を見て……!」
明るい月の光の下に照らし出されたその子の顔は、人間とも人形とも言い難い、とても奇妙なものでした。
まるで、小さな子供が描いた人の顔のような、無表情でバランスの悪いもので、肌の色がまだらで、肩には葉っぱのような形の染みがありました。
アベルはその子を見た時、やはりこんなことをするのではなかったと深く後悔しました。
しかし、後悔してももうどうにもなりません。
「マリオン、その子を離せ!
その子はそのままにしておこう。」
「え……」
マリオンは、子供を抱いたまま戸惑った表情でじっとアベルをみつめます。
「……近いうちに、山にでも連れていこう。
とにかく今は……」
「アベル……あなた、この子を捨てるつもりなの?」
「だ…だって……その子は普通の人間じゃない。
化け物だ…そんな子を……」
「アベル!」
マリオンは涙のいっぱい溜まった瞳でアベルを睨みつけました。
唇は、わなわなと震えています。
「こ、この子は、私達が作った子供なのよ。」
叫ぶようにそう言ったマリオンの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちました。
「だ、だけど……僕達がほしかったのはこんな子じゃない。
僕達が欲しかったのは……」
マリオンは唇を噛み締め、アベルから顔を背けました。
そして、子供を抱いたまま家に向かって歩き出しました。
呪文を唱え終わった二人の見守る前で、袋の動きが急に止まったかと思うと、目も眩むような光に包まれました。
あまりの眩しさに二人が目を閉じると、どこかで水風船が割れるようなかすかな音がしました。
その瞬間、光は消え、光の残像の向こう側になにかがうごめくのが二人の目に映りました。
「あ、赤ちゃんが……!」
そこにはもぞもぞと小さい動きをする者が倒れていたのです。
5歳くらいの子供程の体格のその者は、裸で、全身が滑りのある水分でぐっしょりと濡れていました。
マリオンは、駆け寄り、うつ伏せの子供を抱き上げようとして、突然大きな悲鳴をあげました。
「ど、どうしたんだ!?」
「ア…アベル……
この子…この子を見て……!」
明るい月の光の下に照らし出されたその子の顔は、人間とも人形とも言い難い、とても奇妙なものでした。
まるで、小さな子供が描いた人の顔のような、無表情でバランスの悪いもので、肌の色がまだらで、肩には葉っぱのような形の染みがありました。
アベルはその子を見た時、やはりこんなことをするのではなかったと深く後悔しました。
しかし、後悔してももうどうにもなりません。
「マリオン、その子を離せ!
その子はそのままにしておこう。」
「え……」
マリオンは、子供を抱いたまま戸惑った表情でじっとアベルをみつめます。
「……近いうちに、山にでも連れていこう。
とにかく今は……」
「アベル……あなた、この子を捨てるつもりなの?」
「だ…だって……その子は普通の人間じゃない。
化け物だ…そんな子を……」
「アベル!」
マリオンは涙のいっぱい溜まった瞳でアベルを睨みつけました。
唇は、わなわなと震えています。
「こ、この子は、私達が作った子供なのよ。」
叫ぶようにそう言ったマリオンの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちました。
「だ、だけど……僕達がほしかったのはこんな子じゃない。
僕達が欲しかったのは……」
マリオンは唇を噛み締め、アベルから顔を背けました。
そして、子供を抱いたまま家に向かって歩き出しました。
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