地下の初恋

神在琉葵(かみありるき)

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鏡の中と外

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 「はじめまして。エクトルさん。」

スコットは、彼の父親くらいの年齢の男と、握手を交わした。



 「ずいぶん遠くから来られたそうですな。」

 「ええ…どうしてもお訊ねしたいことがありまして……」

スコットがそう言うと、エクトルの表情が強張ったものに変わった。




 ***




 (やはり、この鏡だ。
アラステアがいなくなったこととこの鏡はきっとなんらかの関わりがあるに違いない。)



スコットは、鏡に近付き、その滑らかな鏡面に指で触れた。
 向こう側に、アラステアがいることなど、少しも気付かずに…




(アラステア…僕は絶対に諦めない!
 必ず君を取り戻すから…どうか待ってておくれ。)




 次の日から、スコットは鏡について調べ始めた。
 市場の元締めを訪ね、あの鏡を売った者を突き止めた。
しかし、大変なのはそこから先だった。
 隣国の有名な貴族が持っていたものらしいという曖昧な情報しかわからず、仕方なく、鏡の仕入れ先に行くと、それはさらに他の者から買い取ったものだということがわかった。
 鏡は転売を繰り返されており、スコットは休むことなく毎日馬車に乗り、遠い商人の所を訪ね歩いた。
 瞬く間に数か月の時が流れた頃、スコットはある重要な情報を得ることが出来た。
それは、あの鏡が隣国のビエナート家から売りに出されたものだという情報だった。
その情報が真実だという確証はなかったが、それでもスコットはその話を見過ごすことは出来なかった。
 見知らぬ道を、また何日も馬車に揺られ、スコットはビエナート家を訪ねた。

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