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高ぶる神経も、疲労には勝てなかった。
ついうとうととしているうちに、セザールは、いつの間にかあたりが闇に包まれていることに気付いた。
(大変だ、もう真っ暗じゃないか!)
セザールは焦って立ち上がり、ランプを片手に山の中を駆け出した。
一晩かけてユースの町に行き、そこから馬車に乗ってレスターの港町まで行き、さらに、船でバルバスの町に渡り、そのあたりでしばらく身を潜めるというのが、セザールの計画だった。
バルバスの町外れには、すでに家も借りてあった。
(遺体がみつからないとはいえ、いくらなんでも半年もすれば、皆、僕のことは死んだと思うはずだ。
もちろん、エレナだってそうだろう。
その頃になったら、僕は友達のふりをして手紙を書いてエレナをどこかに呼び出す。
そこで、このからくりの全てを打ち明けるんだ。
彼女には家族と共にバルバスに移って来てもらう。
僕が死んだからあの町で暮らすのが辛くて引っ越すと言えば、誰も不審には思わないはずだ。
そして、皆でどこか遠くの田舎町に移ってそこで幸せに暮らすんだ。)
死んだと思っていたセザールが生きていたことを知ったら、エレナはどんな顔をするだろう?
生真面目なエレナの性格を考えれば、きっとセザールのやったことを非難するだろうが、それでも最後にはきっとわかってくれると、彼は信じていた。
高ぶる神経も、疲労には勝てなかった。
ついうとうととしているうちに、セザールは、いつの間にかあたりが闇に包まれていることに気付いた。
(大変だ、もう真っ暗じゃないか!)
セザールは焦って立ち上がり、ランプを片手に山の中を駆け出した。
一晩かけてユースの町に行き、そこから馬車に乗ってレスターの港町まで行き、さらに、船でバルバスの町に渡り、そのあたりでしばらく身を潜めるというのが、セザールの計画だった。
バルバスの町外れには、すでに家も借りてあった。
(遺体がみつからないとはいえ、いくらなんでも半年もすれば、皆、僕のことは死んだと思うはずだ。
もちろん、エレナだってそうだろう。
その頃になったら、僕は友達のふりをして手紙を書いてエレナをどこかに呼び出す。
そこで、このからくりの全てを打ち明けるんだ。
彼女には家族と共にバルバスに移って来てもらう。
僕が死んだからあの町で暮らすのが辛くて引っ越すと言えば、誰も不審には思わないはずだ。
そして、皆でどこか遠くの田舎町に移ってそこで幸せに暮らすんだ。)
死んだと思っていたセザールが生きていたことを知ったら、エレナはどんな顔をするだろう?
生真面目なエレナの性格を考えれば、きっとセザールのやったことを非難するだろうが、それでも最後にはきっとわかってくれると、彼は信じていた。
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