虚実の時

神在琉葵(かみありるき)

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「ローラン……実はな、記憶が戻ったんだ…!」

 「え…き、記憶って…父さんがずっと忘れてた過去のこと!?」

ミカエルは微笑み、深く頷いた。



 「そうなんだ!
おまえが勧めてくれた展示会で、僕は一枚の絵に惹きつけられた。
それを見ていると、頭の中がなにかとてもざわざわしてきて、やがて激しい頭痛に襲われて、僕はそのまま意識を失った。
そして目覚めた時……僕は、記憶がよみがえってることに気付いたんだ!!
 今までずっと忘れていた記憶を、僕はようやく思い出した。
そう……あれはエレナ…エレナが僕の記憶をよみがえらせてくれたんだ!!」

 「エ、エレナ…って、誰なの?」

 「僕の恋人だ。
 僕は、エレナと結婚することを決めていた。
だけど、それにはとても大きな障害があって……それで……
詳しいことはすべて、落ち着いてから話す。
とにかく、ローラン……
まずはエレナと会えるように取り計らってほしいんだ。」

その言葉に、ローランの瞳は大きく見開かれた。



 「ま、まさか、父さん……
母さんを捨てて、その女の人のところへ行くつもりなの!?」

 今度はミカエルの瞳が大きく丸くなり、彼は明るい笑い声を上げた。



 「あ、まずい。」

つい大きな声で笑ってしまったことに気付き、ミカエルは慌てて声をひそめた。


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