40 / 42
40
しおりを挟む
「知ってるって……何を……」
「私、画廊に行って来たの。
そして、聞いたわ。
ローランが画家の居所を調べてること。
あの絵に描かれてる女性は、あなたの恋人だそうね。
それを聞いて、私、すべてがわかったわ……
なにもかもわかったのよ!!
あなたは、あの絵を見て……いいえ、あの人を見てずっと忘れていた記憶を思い出した……そうよね?
そして、あなたはローランをあの人の所へ行かせた……
私を捨て、あの人と二人でこの先の人生を歩むために……」
アニエスの声はすっかり理性を失い、涙でぐっしょりと濡れた顔を向け、ミカエルのことを恨めしげにみつめた。
「そ、そうじゃない。
いや、確かに君の言う通りだ。
あれは僕の恋人だったエレナで、あの絵のおかげで僕は記憶を取り戻した。
でも、僕は……」
「どうして…?どうしてなの?
……あなたは言ってくれたわ。
私のことを一生愛するって……
私……その言葉を信じてたのに……あなたを信じてたのに……!」
アニエスは、ミカエルの話をさえぎり、なお一層感情的な声で叫ぶ。
「き、聞いてくれ、アニエス……
僕はエレナに……」
事情を説明しようとしたミカエルに、アニエスがゆっくりと近付き、その身体がかぶさった。
その途端、まるで時が止まったかのように二人の動きや声は止まり、それとは裏腹に時を刻む秒針の音だけが部屋の中に大きく響いた。
「アニ…エス……な……ぜ……」
苦しげに顔を歪ませたミカエルの言葉が途絶えると同時に、彼の身体はどさりと床の上に崩折れた。
彼の口と腹からは、赤い血がまるで生き物のように床に広がっていく……
「行かせない……」
アニエスの口から小さな呟きが漏れた。
赤く染まったナイフが、放心したアニエスの手を離れて落ちて……
まるで糸の切れた操り人形のように、アニエスはその場に座り込んだ。
「私、画廊に行って来たの。
そして、聞いたわ。
ローランが画家の居所を調べてること。
あの絵に描かれてる女性は、あなたの恋人だそうね。
それを聞いて、私、すべてがわかったわ……
なにもかもわかったのよ!!
あなたは、あの絵を見て……いいえ、あの人を見てずっと忘れていた記憶を思い出した……そうよね?
そして、あなたはローランをあの人の所へ行かせた……
私を捨て、あの人と二人でこの先の人生を歩むために……」
アニエスの声はすっかり理性を失い、涙でぐっしょりと濡れた顔を向け、ミカエルのことを恨めしげにみつめた。
「そ、そうじゃない。
いや、確かに君の言う通りだ。
あれは僕の恋人だったエレナで、あの絵のおかげで僕は記憶を取り戻した。
でも、僕は……」
「どうして…?どうしてなの?
……あなたは言ってくれたわ。
私のことを一生愛するって……
私……その言葉を信じてたのに……あなたを信じてたのに……!」
アニエスは、ミカエルの話をさえぎり、なお一層感情的な声で叫ぶ。
「き、聞いてくれ、アニエス……
僕はエレナに……」
事情を説明しようとしたミカエルに、アニエスがゆっくりと近付き、その身体がかぶさった。
その途端、まるで時が止まったかのように二人の動きや声は止まり、それとは裏腹に時を刻む秒針の音だけが部屋の中に大きく響いた。
「アニ…エス……な……ぜ……」
苦しげに顔を歪ませたミカエルの言葉が途絶えると同時に、彼の身体はどさりと床の上に崩折れた。
彼の口と腹からは、赤い血がまるで生き物のように床に広がっていく……
「行かせない……」
アニエスの口から小さな呟きが漏れた。
赤く染まったナイフが、放心したアニエスの手を離れて落ちて……
まるで糸の切れた操り人形のように、アニエスはその場に座り込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】その約束は果たされる事はなく
かずきりり
恋愛
貴方を愛していました。
森の中で倒れていた青年を献身的に看病をした。
私は貴方を愛してしまいました。
貴方は迎えに来ると言っていたのに…叶わないだろうと思いながらも期待してしまって…
貴方を諦めることは出来そうもありません。
…さようなら…
-------
※ハッピーエンドではありません
※3話完結となります
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる