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(……面倒だな。)



 春物の服が欲しくなって買い物に出たものの…
僕は、元々センスがないのか、自分にどんなものが似合うのかがよくわからないから、探す時点で嫌になって来る。
こんな時、センスの良い彼女でもいてくれたら、どんなに良いだろう…



考えてみれば、今までに付き合った彼女たちも、あまりセンスの良い子はいなかったような気がする。
それも当然の話だ。
センスの良いおしゃれな人は、僕みたいにセンスのない男を相手にしないだろうから。



 行きつけのショップで、僕は無駄に歩き回っていた。
あれこれ手に取っては、また元に戻す…その繰り返しだ。




 (無地が無難かな…)

 僕はネイビーのポロシャツを手に取った。



それを胸に当てて、鏡を見ていると、女性店員が近くに寄って来た。



 「お客様、こちらのTシャツはいかがでしょうか?きっとお似合いだと思うのですが…」

 「えっ!?そ、そうですか?」

 彼女が手に持っていたのは、胸にロゴの入ったミントブルーのTシャツだった。
 色も柄も、普段の僕ならまず着ないタイプのものだ。



 「たとえば、この上にこちらのデニムのチェスターコートを羽織られたら、肌寒い日にも対応出来ますし、とてもおしゃれだと思いますよ。」

 彼女が持って来たコートは、今まで僕が着たことのないしゃれた雰囲気のものだった。
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