ミステリーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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レーゲの壺

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(こ、これに間違いない!)

 僕は、レーゲの壺を発見した。
 深呼吸をして高ぶった気持ちを押さえ、何回も周りを見て、誰も居ない事を確認してからそうっと壺の中を覗いたが、変わったことは何も無かった。



 僕は、震える手で壺の中にソリドゥス金貨三枚を落とした。
 金貨が底に当たる乾いた音が響く。
 僕は、壺に向かって願いを言った。



 「アリアナの居る所に連れて行ってくれ!」



すると壺の中から、かすかに波のような音がした。
でも、何も起こらない。



 (なんだ、やっぱりただの伝説か…)



 僕は、苦笑するしかなかった。



 (こんな遠くまでやって来て、僕は何をやっているのだろう…)

 僕には自分自身が滑稽で哀れに思えた。



 ***



 衝立の奥から、骨董屋の主人がそんなデニスのことを見ていた。



 「なんだか怪しい奴だな…」

しばらくして、デニスは壺から離れて歩き出した。



 「あっ!」

 店主が叫んだ。
 何と、目の前から忽然とデニスが消えたのだ、
あまりの驚きに、彼は持っていたコーヒーカップを床に落とした。
 店内に響いたけたたましい音に、三人の客の視線が集まった。



それ以降、アリアナとデニスを見た者は、誰も居ない…
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