ミステリーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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ファミリー・トリップ

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中に入っていたのは、意外にもまた鍵とメモだった。

 『さあ、次は韓国の銀行だよ、場所は……』



 近くならともかく、韓国って…
父は一体、何を考えていたのだろう?
しかも、それだけではなかった。
 銀行に行く前に立ち寄る場所も指示されていたのだ。
 泊まるホテルや食事をする店、この店で毛皮のコートと帽子を買えというわけのわからない指示まであった。



そんなことをすることに何か意味があるんだろうか?
もしかして、メモに書いてある店に何か意味が?
そうでなければ、わざわざこんなに事細かに書くはずがない。



 (そうよね…わざわざ韓国まで行かせるわけだし、きっと何か意味があるのよね?)



 私は、早速、韓国の空港に飛んだ。

 指定された通りに行動し、私は貸金庫の鍵を開けた。
 今度もやはり中にはメモ用紙と鍵が入っていた。



 『韓国の旅は楽しめたかな?次はアラスカの銀行だよ。』



 「アラスカ?まさかあの寒いアラスカ??」

あまりにも無茶な指示に、私はだんだん腹が立ってきた。
 今回ももちろんアラスカに着いてからの予定が書いてあった。



 (オーロラを見るですって?私は観光に行くんじゃないのに…
あ…毛皮のコートは、アラスカに行かせるからだったのね。)



メモ用紙の下の方には小さな文字が書いてあった。

 『イケメンとの旅はきっと楽しいぞ!』



イケメン?私の周りにはイケメンなんていないのに…
意味の分からないことばかり書いてあるメモに、さらに私は苛々してきた。



 「ユミさん!」

 銀行を出て名前を呼ばれ、私は反射的に振り向いた。
 韓国に知り合いなんていないはずなのに…


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