ミステリーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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雪の降る夜に

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クリスマスが近付いた寒い冬の頃、ある町では次々と馬が盗まれるという事件が発生していた。
この数日間に盗まれたのは、従順で賢く、足の速い名馬ばかりだ。



 領主のスミスは悩んでいた。
この平和な町ではこんな事件は初めてのことだった。
 馬を盗んだ犯人は見当もつかない。
 目撃者のひとりもいない。
でも、事件をこのままにしておくことは出来ない。



スミスは、娘のメイに今回の事件のことを相談した。
メイは、まだ若いが子供の頃から非常に利発な娘だったからだ。



 「メイ、一体、誰がこんなことをしていると思う?」

 「それはまだわかりませんが、犯人を捕まえるチャンスはすぐに来ますわ。」

 「どういうことだね?」

 「犯人は、おとなしくて足の速い元気な馬ばかりを盗んでいます。
もし、次に狙われるとしたら、うちにいる白馬だと思うのです。」

 「なんと!
 確かにそうだ。
あの馬は、とても賢くておとなしく、健康で足も速い。」

 「その通りです。つまり、うちの厩舎で待ち伏せすれば、犯人を捕らえられる可能性が強いということです。」

メイは、ゆっくりと頷き微笑んだ。



 「なるほど!おまえの言う通りだ。
 早速、今夜から厩舎の見張りを始めよう!」
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