77 / 89
長い眠り
4
しおりを挟む
(な、なに…?)
目覚めた留美は、あたりが騒がしいことに驚いた。
しかも、自分のいる場所がカプセルのようなところだということにも困惑した。
(だ、だれか…)
カプセルの蓋を持ち上げようとしたが、びくともしない。
再び、留美が力を込めようとした時、蓋が音もなく左右に開いた。
「目覚めたか!」
「……え?」
白衣を着た見知らぬ男が、留美の顔を覗き込んでいた。
「あの……」
「気分はどうだ?体の痛いところはあるか?」
「え?ま、まぁ…」
「やったぞ!ついに成功した!」
男は、拳を握り締め、弾んだ声を上げた。
*
「な、なんですって!?」
「だから…君は30年眠っていたと言ったんだ。」
「ど、どういうこと!?」
「覚えていないか?ミステリーツアーに参加したことを…」
留美は、薄い靄のかかったような頭を巡らし、記憶を辿る。
「行った…そうよ、私は由香と一緒にミステリーツアーに行ったわ。
そして、山奥のおかしな施設に泊まって…」
そこから先の記憶は、留美にはなかった。
「その日から、君はコールドスリープのカプセルを試すため、30年の眠りに就いたのだ。」
「じゃあ、由香は?他の人たちは?私達の他にも8人いたはずよ。」
留美は感情的な声でまくし立てた。
「……残念ながら、生き残ったのは君だけだ。」
「な、なんですって!?
そ、それじゃあ、他の人達はみんな…」
男は表情を変えず、ただ小さく頷いた。
「ひ、酷い!ミステリーツアーだなんて言って、私達を騙したのね!」
「人聞きの悪いことを言わないでくれ。
ちゃんと書いてあったはずだ。
参加者にはモニターになってもらうと。
君も承諾書にはサインしたはずだが…」
「え……」
留美は記憶の糸を手繰った。
(そうだわ。確かに、旅行に行く前に書類にサインをしたわ…)
小さな文字で長々と書かれた文面に、留美は目など通さなかった。
(やっぱり、うまい話には落とし穴があるってことね…)
留美は、悔恨の苦い涙に濡れた。
目覚めた留美は、あたりが騒がしいことに驚いた。
しかも、自分のいる場所がカプセルのようなところだということにも困惑した。
(だ、だれか…)
カプセルの蓋を持ち上げようとしたが、びくともしない。
再び、留美が力を込めようとした時、蓋が音もなく左右に開いた。
「目覚めたか!」
「……え?」
白衣を着た見知らぬ男が、留美の顔を覗き込んでいた。
「あの……」
「気分はどうだ?体の痛いところはあるか?」
「え?ま、まぁ…」
「やったぞ!ついに成功した!」
男は、拳を握り締め、弾んだ声を上げた。
*
「な、なんですって!?」
「だから…君は30年眠っていたと言ったんだ。」
「ど、どういうこと!?」
「覚えていないか?ミステリーツアーに参加したことを…」
留美は、薄い靄のかかったような頭を巡らし、記憶を辿る。
「行った…そうよ、私は由香と一緒にミステリーツアーに行ったわ。
そして、山奥のおかしな施設に泊まって…」
そこから先の記憶は、留美にはなかった。
「その日から、君はコールドスリープのカプセルを試すため、30年の眠りに就いたのだ。」
「じゃあ、由香は?他の人たちは?私達の他にも8人いたはずよ。」
留美は感情的な声でまくし立てた。
「……残念ながら、生き残ったのは君だけだ。」
「な、なんですって!?
そ、それじゃあ、他の人達はみんな…」
男は表情を変えず、ただ小さく頷いた。
「ひ、酷い!ミステリーツアーだなんて言って、私達を騙したのね!」
「人聞きの悪いことを言わないでくれ。
ちゃんと書いてあったはずだ。
参加者にはモニターになってもらうと。
君も承諾書にはサインしたはずだが…」
「え……」
留美は記憶の糸を手繰った。
(そうだわ。確かに、旅行に行く前に書類にサインをしたわ…)
小さな文字で長々と書かれた文面に、留美は目など通さなかった。
(やっぱり、うまい話には落とし穴があるってことね…)
留美は、悔恨の苦い涙に濡れた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
離れて後悔するのは、あなたの方
翠月 瑠々奈
恋愛
順風満帆だったはずの凛子の人生。それがいつしか狂い始める──緩やかに、転がるように。
岡本財閥が経営する会社グループのひとつに、 医療に長けた会社があった。その中の遺伝子調査部門でコウノトリプロジェクトが始まる。
財閥の跡取り息子である岡本省吾は、いち早くそのプロジェクトを利用し、もっとも遺伝的に相性の良いとされた日和凛子を妻とした。
だが、その結婚は彼女にとって良い選択ではなかった。
結婚してから粗雑な扱いを受ける凛子。夫の省吾に見え隠れする女の気配……相手が分かっていながら、我慢する日々。
しかしそれは、一つの計画の為だった。
そう。彼女が残した最後の贈り物(プレゼント)、それを知った省吾の後悔とは──とあるプロジェクトに翻弄された人々のストーリー。
妹のために愛の無い結婚をすることになりました
バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」
愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。
婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。
私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。
落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。
思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる