12 / 35
道案内
1
しおりを挟む「わぁ…空気がおいしい!」
「もうっ!明日香ったら大袈裟!」
「本当に都会とは全然違うよ!」
「そうかなぁ…」
連休を利用してやって来たのは、冬子のおばあちゃんの家。
おばあちゃんは亡くなり、今、家は無人だから、家に風を入れるという名目で、私達はこのひなびた田舎に遊びに来た。
けっこう立派なお屋敷だ。
でも、あたりには山や畑しかない。
「良い所だね。」
「でも、見ての通りすっごく不便なんだよ。
車がないと生活出来ないからね。」
「確かにそうだね。」
「町まで行かなきゃ何もないからね。」
冬子はそう言って、トランクからスーパーの袋を取り出す。
「とりあえず、これだけあれば大丈夫。
だけど、あとで山菜採りに行こうよ。
田舎ならではの料理を作ってあげるからさ。」
「えっ!?山菜なんてあるの?」
「あるある!
そこの山の中に食べきれない程あるよ!」
「へぇ…楽しみ!」
私は冬子の荷物を幾つか持って、屋敷の中に入った。
薄暗くて、どこかむっとするような空気…
長いこと締め切ったままだから、空気が澱んでる。
でも、雨戸を開け、窓を開け放ったら、そんな空気も一新。
明るい陽射しが入り、気持ちの良い風が通り抜けた。
台所に食料を置いて、居間でお茶を飲んで寛ぐ。
「えっ!どういうこと!?」
冬子がスマホを見ながら、声を上げた。
「どうかしたの?」
「電源が入らない。」
「充電が切れてるんじゃないの?」
「そんなことないよ。家を出る時、満タンにして来たんだから。」
確かに、スマホの画面は真っ暗で、電源ボタンを押しても何の反応もない。
「どうする?」
「……う~ん。」
冬子は頭を抱えて小さく唸る。
「やっぱり、町まで行って来る!」
「え?今から?」
「うん、使えないと困るし…ショップまで行って来る。」
「疲れてない?」
「うん、大丈夫!
すぐに帰って来るから。」
冬子は再び車に乗り込み、走り出した。
小さくなっていく車を見ていたら、なんとなく心細い気持ちになった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる