怖くないホラーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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「わぁ…空気がおいしい!」

 「もうっ!明日香ったら大袈裟!」

 「本当に都会とは全然違うよ!」

 「そうかなぁ…」



 連休を利用してやって来たのは、冬子のおばあちゃんの家。
おばあちゃんは亡くなり、今、家は無人だから、家に風を入れるという名目で、私達はこのひなびた田舎に遊びに来た。
けっこう立派なお屋敷だ。
でも、あたりには山や畑しかない。



 「良い所だね。」

 「でも、見ての通りすっごく不便なんだよ。
 車がないと生活出来ないからね。」

 「確かにそうだね。」

 「町まで行かなきゃ何もないからね。」



 冬子はそう言って、トランクからスーパーの袋を取り出す。



 「とりあえず、これだけあれば大丈夫。
だけど、あとで山菜採りに行こうよ。
 田舎ならではの料理を作ってあげるからさ。」

 「えっ!?山菜なんてあるの?」

 「あるある!
そこの山の中に食べきれない程あるよ!」

 「へぇ…楽しみ!」



 私は冬子の荷物を幾つか持って、屋敷の中に入った。



 薄暗くて、どこかむっとするような空気…
長いこと締め切ったままだから、空気が澱んでる。
でも、雨戸を開け、窓を開け放ったら、そんな空気も一新。
 明るい陽射しが入り、気持ちの良い風が通り抜けた。



 台所に食料を置いて、居間でお茶を飲んで寛ぐ。



 「えっ!どういうこと!?」

 冬子がスマホを見ながら、声を上げた。



 「どうかしたの?」

 「電源が入らない。」

 「充電が切れてるんじゃないの?」

 「そんなことないよ。家を出る時、満タンにして来たんだから。」



 確かに、スマホの画面は真っ暗で、電源ボタンを押しても何の反応もない。



 「どうする?」

 「……う~ん。」

 冬子は頭を抱えて小さく唸る。



 「やっぱり、町まで行って来る!」

「え?今から?」

「うん、使えないと困るし…ショップまで行って来る。」

「疲れてない?」

「うん、大丈夫!
すぐに帰って来るから。」

 冬子は再び車に乗り込み、走り出した。
 小さくなっていく車を見ていたら、なんとなく心細い気持ちになった。
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