タイムトリップはいかがですか？

タイムトリップ

１９

この曲調にはやはり恋愛絡みの歌詞が似合いそうだ。
激しい恋の歌にしようか、それとも、ハッピーなもの…



歌詞を考えているうちにふと俺は思い出した。 



そうだ…もうすぐあいつの誕生日だ。 
最初の年はあいつが何も言わなかったから俺は気付かなくて…
だから、今度こそはちゃんとしようと思ってた。



今はこんな険悪な雰囲気だけど…でも、せめてなにかプレゼントを… 



その時ある考えが思い浮かんだ。 



俺が勇気を出すことが出来たなら… 
もしかしたら、今の最悪な状態から抜け出せるかもしれない。 



そうだ…誕生日には指輪を贈ろう。 
指輪を贈って、プロポーズするんだ。 



なぜ、こんな簡単なことに今まで気付かなかったんだろう？



結婚して、ケイジ達には悪いけど、バンドをやめ、真面目に働こう。 
あいつには、仕事をやめて専業主婦になってもらうんだ。 
俺の言うことに従えって、亭主関白なことを言ってやるんだ…！ 



なんだかうまくいくような気がした。 
暗く閉ざされていた心に、明るい光が差し込んだような気分だ。



歌詞もすらすらと頭に浮かんだ。 
俺とあいつの明るい未来をイメージしながら、俺はペンを走らせた。 



（うん、なかなか良い詞だ！） 



明日から早速作戦を実行だ！
バイトを探して、金を稼ぐんだ！
俺の胸は、いつの間にか希望に満ち溢れていた。