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 「……どうだい?
あんまり口に合わなかったかい?」

アラステアが、心配そうな顔で僕に訊ねる。



 「え……いや……
刺激的で良いと思うよ。
ただ、こういうのは、僕、初めてだから……」

 僕は、その言葉を裏付けるかのように、大きな口で異国の料理を頬張った。



アラステアから久しぶりの手紙が舞い込んだのは、数日前のことだった。
 町に、珍しい異国の料理店が開店したから遊びに来ないかという簡単なものだったけど、彼から手紙が来るのはいつもなにか悩み事がある時だ。

 彼と僕とは遠い親戚関係にある。
 彼の両親は少し気難しい所のある人で、あまり人付き合いが良くなかったと聞いたことがあるが、アラステア自身も、両親のそういう所を受け継いだのか、或いは身体が弱かったことが原因なのか、たまに親戚が集まるような機会にも、彼は他の子供達とはあまり接触を持たなかった。
ただ、どういうわけだか僕とだけはたまに話すことがあり、そのうち僕達は手紙のやりとりをするようになっていた。



 「アラステア…君はこの辛さがなんともないのかい?」

その料理は、口に運ぶとぴりぴりして身体が火照り、じんわりと汗が噴き出す。
なのに、彼は平気な顔でそれを食べ続け、しかも、汗なんて少しも流れしてはいなかった。



 「最初は少し辛いと思ったけど……僕はもう何度もここに来てるからね。」

 彼はさらっとそう答え、白くて少し酸味のある飲み物をごくりと流し込む。




まずいというわけではない。
さっき答えた通りに、ただ食べ慣れていないから、よくわからないだけだ。
 何度か食べれば、きっと僕も彼のように平気な顔で食べられるようになるのかもしれない。
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