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アルトワルトという男
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「今日からお前はオレの『嫁』だ。」
《聖女》より聖女な男が口から紡いだ言葉。
それはあまりにも突拍子がなく、不可解な言葉で、《聖女》を暗殺に来た暗殺者に掛ける言葉では確実にない言葉が聞こえた気がした。
「……えっと。今、何て言ったっすか? 」
そう聞き返すと何だか可哀想なものを見るような目でこちらを見て溜息をついた。
何で一回で理解出来ないんだって顔で見てくる。
…いや、逆に一回で理解出来る方がおかしいわッ。
「お前は今日からオレの『嫁』だ。お前に拒否権はない。その首輪がある限りオレから逃げる事も出来ない。」
「……いや、だから何で。」
何かの聞き間違いかなと聞き直したが、聞き間違いではなかった。
そしてやっぱり何言ってるか分からない。
僕は言葉の通じない外国の方と話しているのだろうか?
それとも僕の頭がおかしいのだろうか?
「……衛兵に引き渡すのでは。」
「何故、オレがそんな面倒な事をしなくてはいけない? それはオレの仕事ではない。」
じゃあ、何で僕を捕まえたの?
何で《聖女》に化けてまで僕を罠に嵌めたの!?
混乱している頭が更に混乱を深める。
何だコイツ!?
「……《聖女》様を暗殺者から守る為に《聖女》のフリしてたんじゃないんすか。」
「何であんな化粧臭い女をオレが身体を張って守らなければならない? オレは女が嫌いだ。…あんな女。野たれ死のうが、八つ裂かれて死のうが知った事ではない。」
「じゃあ、マジでアンタは何しに出てきたんすか!? 」
本当にこの男が何をしに出てきたのか。
衛兵に突き出す気もない。
《聖女》を守る気もない。
じゃあ。何故、僕は罠に嵌められたのか。
何故、僕は暗殺に失敗せねばならなかったのか。
「何しに出てきただと? 」
フンッと鼻で笑い。
しょうがない奴だと言わんばかりに口を開く。
「オレは美しい。」
「は? 」
「オレの美しさは男女問わず惑わす。毎日、見合いの話が舞い込み、恋文も絶えない。」
「自慢話? 僕は一体何を聞かされてるんすか!? 」
ボスンッとベッドに座り、アルトワルトがすらりと長い脚を組む。
胸を張り、堂々とナルシスト全開で話し続ける。
「オレは見合いにも色恋沙汰にも疲れた。別に元々、恋愛にも結婚にも興味がないからな。オレの人生は魔術の探究に捧ぐ人生がいい。その為には恋愛も結婚も邪魔だ。そこでお前だ。」
「何処で僕なんすかね…。」
ちょいちょいとアルトワルトが人差し指で僕を呼ぶ。
すると『行かなくては。』と頭の中で響き、身体がアルトワルトの下へ向かい、膝をつく。
クイッと指を首輪に引っ掛けてアルトワルトが僕を引き寄せた。
「隷属の類っすかね…。」
「安心しろ。オレはオレの目的が達せられるならコレに頼る気などない。協力するならある程度の自由を保障してやる。」
「その目的が『嫁』……。無茶苦茶っすね。」
「オレは煩わしいのは嫌いだ。虫除けとして仮面夫婦を演じ続けてくれる相手を欲している。嫌いな女でもなく、オレの事が好きにならず、オレに何も求めない。従順なら尚いい。」
「その結論が暗殺者の弱み握って、隷属させるって発想がとち狂ってるすね。暗殺者に仮面夫婦求めるって所が最高にとち狂ってる。」
「それはどうも。」
「…何処も褒めてないっすよ。」
僕を見つめる瞳は何処までも青く透き通っている。
その瞳が何故、透き通ってみえるのか。
それはこの男が人間として何処か欠けているからこそ、逆にここまで透き通って見えるのかもしれない。
『…あたすは団員達の中で一番アンタの行く末が心配よ。』
ー 僕も今、初めて自分の行く末に不安を感じたっすよ…。
頭の中の団長にそう苦笑いを浮かべる。
隷属の首輪をしているからか床に落ちている簪を拾って、この男を刺そうとも思えない。
この男から逃げて《聖女》を暗殺しに行こうとも思えない。
「何時、暗殺者だとバレてたんすかね。」
「どうでもいい事だ。」
「……まぁ、知った所で今更変えようもないっすけどね。人間、知りたくなるもんっすよ、普通は。」
「くだらないな。」
アルトワルトの命令が切れたようで身体が自由になる。
ボスンッと柔らかなベッドに身体を預けて、もうどうにでもなれと溜息をついた。
口で言わなくても命じられる強い隷属。
魔術で出来ているからか首輪には金具の類が一切なく、壊せる箇所が見当たらない。
そもそも魔術は専門外だ。
自分で外せる訳がない。
ー まぁ、いいや。別に…。
拷問される事も誰の手のものか探る事もこの男はしないだろう。
《聖女》の事と言い、衛兵に突き出さない事と言い、この男はそんなものには一欠片も興味もなさそうだ。
別に元々、確固たる意思を持って暗殺者をやっていた訳ではない。
幼い頃からそう育てられたから仕事としてこなすだけ。こなさなければならなかったから、そうしなければ生きて来れなかったから従って仕事していただけ。
ー まぁ、一時的に飼い主が変わるだけっすね。
別に今更、何かに縛られるのに抵抗はない。
プライドなんて持ち合わせてないし、縛られていようがその中での自由を楽しんで生きる事は可能だ。
「で、『嫁』って何すりゃあいいんすっかね? 」
「随分と物分かりがいいな。」
「人生諦めが肝心っすよ。」
「…………成程。」
何かを勝手に納得してアルトワルトがするりと僕の首に付けられた隷属の首輪に触れる。
「オレの下から逃げなければ後は自由でいい。『嫁』として側にいるなら必要経費はこちらで出すから働く必要もない。」
「……何だろう。ダメ人間には魅力的な条件に聞こえるのは何故っすかね。」
何だか隷属させられている筈なのに割りかし高待遇でそれが可笑しくてカラカラと笑うとアルトワルトが訝しげな表情を浮かべる。
「…何がおかしい。」
「別に。……それよか、アンタの事は旦那様って呼びゃあいいんすかね。それともダーリン? 」
「アルトでいい。」
「愛称呼びっすか。……まぁ、僕は特に愛称無いんでハニーって呼んでくれても構わないっすよ。」
「……シグリ。」
「何だ。つまらない。」
アルトワルトの瞳に困惑の色が浮かぶ。
まぁ、隷属させた相手が反発も怯える事もせず、この調子だから仕方ない。
ゴロリとベッドの上に転がると何だかウトウトと睡魔が襲ってくる。
ー 僕、普段は早寝遅起きなんすよね。
暗殺はもうする必要はない(厳密にいうと首輪の所為で出来そうにない)。
自害する必要もない(右に同じ)。
逃げられない(以下略)。
ならばもう気を張っている必要もない。
頑張って何かをする必要がない。
そう思うと自然に身体から力が抜ける。
根っからのダメ人間なんでね、僕。
《聖女》より聖女な男が口から紡いだ言葉。
それはあまりにも突拍子がなく、不可解な言葉で、《聖女》を暗殺に来た暗殺者に掛ける言葉では確実にない言葉が聞こえた気がした。
「……えっと。今、何て言ったっすか? 」
そう聞き返すと何だか可哀想なものを見るような目でこちらを見て溜息をついた。
何で一回で理解出来ないんだって顔で見てくる。
…いや、逆に一回で理解出来る方がおかしいわッ。
「お前は今日からオレの『嫁』だ。お前に拒否権はない。その首輪がある限りオレから逃げる事も出来ない。」
「……いや、だから何で。」
何かの聞き間違いかなと聞き直したが、聞き間違いではなかった。
そしてやっぱり何言ってるか分からない。
僕は言葉の通じない外国の方と話しているのだろうか?
それとも僕の頭がおかしいのだろうか?
「……衛兵に引き渡すのでは。」
「何故、オレがそんな面倒な事をしなくてはいけない? それはオレの仕事ではない。」
じゃあ、何で僕を捕まえたの?
何で《聖女》に化けてまで僕を罠に嵌めたの!?
混乱している頭が更に混乱を深める。
何だコイツ!?
「……《聖女》様を暗殺者から守る為に《聖女》のフリしてたんじゃないんすか。」
「何であんな化粧臭い女をオレが身体を張って守らなければならない? オレは女が嫌いだ。…あんな女。野たれ死のうが、八つ裂かれて死のうが知った事ではない。」
「じゃあ、マジでアンタは何しに出てきたんすか!? 」
本当にこの男が何をしに出てきたのか。
衛兵に突き出す気もない。
《聖女》を守る気もない。
じゃあ。何故、僕は罠に嵌められたのか。
何故、僕は暗殺に失敗せねばならなかったのか。
「何しに出てきただと? 」
フンッと鼻で笑い。
しょうがない奴だと言わんばかりに口を開く。
「オレは美しい。」
「は? 」
「オレの美しさは男女問わず惑わす。毎日、見合いの話が舞い込み、恋文も絶えない。」
「自慢話? 僕は一体何を聞かされてるんすか!? 」
ボスンッとベッドに座り、アルトワルトがすらりと長い脚を組む。
胸を張り、堂々とナルシスト全開で話し続ける。
「オレは見合いにも色恋沙汰にも疲れた。別に元々、恋愛にも結婚にも興味がないからな。オレの人生は魔術の探究に捧ぐ人生がいい。その為には恋愛も結婚も邪魔だ。そこでお前だ。」
「何処で僕なんすかね…。」
ちょいちょいとアルトワルトが人差し指で僕を呼ぶ。
すると『行かなくては。』と頭の中で響き、身体がアルトワルトの下へ向かい、膝をつく。
クイッと指を首輪に引っ掛けてアルトワルトが僕を引き寄せた。
「隷属の類っすかね…。」
「安心しろ。オレはオレの目的が達せられるならコレに頼る気などない。協力するならある程度の自由を保障してやる。」
「その目的が『嫁』……。無茶苦茶っすね。」
「オレは煩わしいのは嫌いだ。虫除けとして仮面夫婦を演じ続けてくれる相手を欲している。嫌いな女でもなく、オレの事が好きにならず、オレに何も求めない。従順なら尚いい。」
「その結論が暗殺者の弱み握って、隷属させるって発想がとち狂ってるすね。暗殺者に仮面夫婦求めるって所が最高にとち狂ってる。」
「それはどうも。」
「…何処も褒めてないっすよ。」
僕を見つめる瞳は何処までも青く透き通っている。
その瞳が何故、透き通ってみえるのか。
それはこの男が人間として何処か欠けているからこそ、逆にここまで透き通って見えるのかもしれない。
『…あたすは団員達の中で一番アンタの行く末が心配よ。』
ー 僕も今、初めて自分の行く末に不安を感じたっすよ…。
頭の中の団長にそう苦笑いを浮かべる。
隷属の首輪をしているからか床に落ちている簪を拾って、この男を刺そうとも思えない。
この男から逃げて《聖女》を暗殺しに行こうとも思えない。
「何時、暗殺者だとバレてたんすかね。」
「どうでもいい事だ。」
「……まぁ、知った所で今更変えようもないっすけどね。人間、知りたくなるもんっすよ、普通は。」
「くだらないな。」
アルトワルトの命令が切れたようで身体が自由になる。
ボスンッと柔らかなベッドに身体を預けて、もうどうにでもなれと溜息をついた。
口で言わなくても命じられる強い隷属。
魔術で出来ているからか首輪には金具の類が一切なく、壊せる箇所が見当たらない。
そもそも魔術は専門外だ。
自分で外せる訳がない。
ー まぁ、いいや。別に…。
拷問される事も誰の手のものか探る事もこの男はしないだろう。
《聖女》の事と言い、衛兵に突き出さない事と言い、この男はそんなものには一欠片も興味もなさそうだ。
別に元々、確固たる意思を持って暗殺者をやっていた訳ではない。
幼い頃からそう育てられたから仕事としてこなすだけ。こなさなければならなかったから、そうしなければ生きて来れなかったから従って仕事していただけ。
ー まぁ、一時的に飼い主が変わるだけっすね。
別に今更、何かに縛られるのに抵抗はない。
プライドなんて持ち合わせてないし、縛られていようがその中での自由を楽しんで生きる事は可能だ。
「で、『嫁』って何すりゃあいいんすっかね? 」
「随分と物分かりがいいな。」
「人生諦めが肝心っすよ。」
「…………成程。」
何かを勝手に納得してアルトワルトがするりと僕の首に付けられた隷属の首輪に触れる。
「オレの下から逃げなければ後は自由でいい。『嫁』として側にいるなら必要経費はこちらで出すから働く必要もない。」
「……何だろう。ダメ人間には魅力的な条件に聞こえるのは何故っすかね。」
何だか隷属させられている筈なのに割りかし高待遇でそれが可笑しくてカラカラと笑うとアルトワルトが訝しげな表情を浮かべる。
「…何がおかしい。」
「別に。……それよか、アンタの事は旦那様って呼びゃあいいんすかね。それともダーリン? 」
「アルトでいい。」
「愛称呼びっすか。……まぁ、僕は特に愛称無いんでハニーって呼んでくれても構わないっすよ。」
「……シグリ。」
「何だ。つまらない。」
アルトワルトの瞳に困惑の色が浮かぶ。
まぁ、隷属させた相手が反発も怯える事もせず、この調子だから仕方ない。
ゴロリとベッドの上に転がると何だかウトウトと睡魔が襲ってくる。
ー 僕、普段は早寝遅起きなんすよね。
暗殺はもうする必要はない(厳密にいうと首輪の所為で出来そうにない)。
自害する必要もない(右に同じ)。
逃げられない(以下略)。
ならばもう気を張っている必要もない。
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そう思うと自然に身体から力が抜ける。
根っからのダメ人間なんでね、僕。
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