寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ

文字の大きさ
87 / 131

王都組⑨

しおりを挟む
ずっと憧れてた。
ずっと求めていた。

絵本を読み、恋愛小説を読み、ずっと憧れていた愛ある結婚。でも貴族社会で、侯爵に生まれたワタクシにはそれは所詮物語のもの。


「ねぇ、何で君はこんな所で身を縮めているの? 」

父に王子達と懇意になってこいと送り出された王宮のお茶会で、心の弱いワタクシは重圧に負けそうになって庭園に隠れていた。

そんなワタクシを見つけ出して手を差し出してくれたあの人。

ワタクシにとってあの人が白馬の王子様だった。でもワタクシはその後直ぐにリヒト様との婚約が決まってしまった。

淡い初恋だった。
たった一瞬で破れた初恋。

それでもワタクシは何時だって貴方を目で追っていた。せめて、リヒト様と結婚するまでは少しだけ。少しだけでも貴方の姿を焼き付けていたい。



クリスタ・シャルロッテは夢見がちな所がある。

だからクリスタは激しい系のBLではなく、純愛系のBLが好き。まぁ、そこはカールにも通じる所があるが。

「とっても、どうでもいい情報だね。」

ふぁっとフェルゼンが退屈そうに欠伸をする。基本シュネーの事以外どうでもいいこの人は本当にどうでも良さそうにわたくしとクリスタとの美しき友情腐女子仲間話を聞き流している。


フェルゼンのもとへ寄った所為で気付けばシャルロッテ侯爵家に着いたのは夜。

流石に明日に出直そうと思ったのだが、クリスタは快く迎え入れてくれた。

何時ものカールとわたくしとの女子会の際はクリスタの部屋で恋バナやBL談義に花を咲かせるのだが、フェルゼンが居るので中庭だ。


白い花々が咲き乱れる中庭に白い鳥籠のような可愛いテラス。白いワンピースを着たクリスタの姿は悪役令嬢というには程遠い姿で清純さがある。

顔は悪役顔の彼女だが、部屋の色も服は白で統一。何時か真っ白なウェディングドレスを着て素敵なお嫁さんになるのが夢な可愛い女の子だ。

「まぁ、今日はフェルゼン様も一緒ですのね。」

「お久しぶりです。クリスタ様。」

フェルゼンが何時もの少し抜けた優しい善人の皮を被り、クリスタに挨拶する。

その手際は見事で、さっきまで興味なさそうに退屈そうにしてた姿は一欠片もない。

「素敵ですね。本当にクリスタ様は白がお似合いで。」

「いえ、そんな…。フェルゼン様にそう言って頂けて嬉しい限りですわ。」

クリスタが褒められて嬉しそうに頰を赤らめる。

まさか…、シュネーの為に純粋なクリスタを堕とす気じゃないだろうな。

「ローレン第一王子いえ、ローレン王太子とご婚約なさるのですよね。おめでとうございます。」

お祝いですと何時手に入れたのだか分からない花束をクリスタに渡す。

えっ? 
クリスタ、ローレン王子と婚約すんの!? 
ローレン王子、王太子になったの!?

驚くわたくしに耳打ちで、「昨日、王太子になったんだよ、ヴィル。」とカールが教えてくれたが、何故知らないのって顔をしてた。

だって前世でも『花君』のローレン王子には興味がなかったんだもん。ローレン攻略の時もずっと過去の恋愛引き摺ってウジウジと面倒……、ごほんっ。

うん、そういえば昨日は何だか王都も騒がしかったような気がする。そんな気がしてきた。


「ええ……、ありがとうございます。」

フェルゼンから花束を受け取り、微笑むクリスタ。ずっとローレン王子を慕っていた筈ほクリスタだが、その表情はあまり嬉しくなさそう。

リヒト王子の事があるから素直に喜べないのだろうか? 
クリスタは悪役令嬢なのに優しいからな。

そんな事を想って心配してクリスタを見ているとクリスタに、にっこりと優しくフェルゼンが微笑んで。

「貴女はそうやって何時まで自身を偽るつもりですか? 」

……訳の分からない事を言い出した。

何事!?
偽るって何? 

その言葉にクリスタの目がカッ開かれ、その瞳は目に見えて泳ぐ。

えっ、図星なの!? 

「貴女は別にローレンの事好きじゃないでしょう? ローレンの事を目で追ってたのも、僕に聞いてたのもフリだ。実際、貴女自身、ローレンに何の興味もない。きっとリヒト王子が駄目になった時の保険をシャルロッテ侯爵がかけさせていただけだ。」

「…………。」

「第二王子との婚約は当主の意志。しかし娘が本当に愛していたのは第一王子。そんな時、第二王子は罪を犯し、婚約は破棄。失意の中、今度こそ娘は愛したいた第一王子と晴れて結ばれて二人はこの国を力を合わせて守っていくのでした。めでたしめでたし。」

フェルゼンの顔から被っていた筈の善人面が剥がれる。その表情は冷え冷えとしていた。

「本当に馬鹿だよね。貴女のお父上。恋愛小説じゃないんだからそんな簡単に物事が行く訳ないのにね。……そもそもあの、ローレンが婚約を受ける訳がない。アイツは不器用で一途だ。」

クリスタの目尻に涙が溜まる。
身体は寒空の下にいるようにブルブルと震えている。


着いた瞬間、アクセル全開で始まった修羅場。

悪役令嬢なのに正義感溢れるクリスタに助力を頼もうと着た筈のわたくし達は何故か背景と化してる(レオノールが仲間になったんだからクリスタもイケると安直に考えていた)。

ー どういう事!?

「なら…、ワタクシはどうすれば良いのですか!? ワタクシは侯爵令嬢。シャルロッテ家の為にこの身を捧げなければならないの。好きでもない相手でも一生……一生、愛ある幸せな結婚は叶わないッ!! 」

ワッとついに泣き出してしまったクリスタ。ストロベリーブロンドの縦ロールの髪が悲しげに揺れる。

えっ!? 恋バナでずっと第一王子の話してたじゃん!! 
わたくしその話もびっくりしたんだからね!! 

リヒトのルートで出でくる悪役令嬢だからてっきりリヒトの事が好きだと思ってたのにローレン好きだって……嘘なのアレ!?

同じ腐の沼にどっぷりハマった戦友の筈だったのに。
わたくしとカールは衝撃の事実に今にもぶっ倒れそうだった。

信じてたのにーーッ!! 
我ら生まれは違えど同じ腐の盃飲んだ兄弟だろぉーーッ!!


しかし目の前では尚も劇的な寸劇が繰り広げられている。

どっかの悲恋の物語のようにクリスタがその場に泣き崩れ、縋るようにフェルゼンの服を掴む。

「ワタクシは…もう、耐えられない。それでも例え思惑のある婚約でも何時かは愛そうと思っていたリヒト様は無実の罪で流刑。次はローレン様まで、父は…。愛もない、周りを苦しめるだけの婚約。我が家の利益の為だけに…こんな酷い。」

「で? 」

ー その返し酷くない!?

クリスタがリヒトの事や周囲の人達の事を考えて更に苦しんでいるというのに何の感慨もない顔でただそれを見つめてる。

鬼だ。
シュネーの事以外本当に興味ないのな!!
クズだよ、オマエ!!

フェルゼンへのない好感度が更に降下する中、鬼畜は更にクリスタを追い詰める。

「人はそういうものでしょう? どう綺麗事言ったって、皆自分の事ばかりだ。何悲劇のヒロインぶってるの? 何も出来ない、しもしない小娘が。」

「ちょっとフェルゼンくんッ!! それは酷……。」

「自身の望みくらい。自身で掴みとればいい。それすら出来ない、しもしない癖にお偉い事で。」

「ちょっとぉ!? 」

もうクリスタは悪役顔も崩れる程グズグズに泣いている。
テメェの血は何色だ!! 

「ならッ、……なら、ワタクシを貴方の手で殺して下さい。」

「えっ!? ちょっとクリスタ様!! 」

「ワタクシの本当の望みは愛する方と結ばれる事ですわ。本当はッ…本当は好きでもない相手と結婚するのもッ、その先もッイヤ!! 」

「何で僕が…面倒臭い。」

「ちょっと屑は黙りなさいな!! クリスタ様、落ち着いて。」

ついにクリスタが壊れた。
相当今までのストレスがたまっていたのかもしれない。……と少しは思うが確実にこの屑の所為だろ。
クリスタは子供のように泣きじゃくりながらテーブルに用意されていたケーキ用のナイフを持ちだし、フェルゼンに渡す。

フェルゼンはそれをさも面倒臭そうに受け取……受けとんな!! 
止めろやッ!!

「どうせ…、どうせ赦してもらえない。身分が低いと父は赦して下さらない。だったら貴方の手で殺してッ!! 」

「落ち着い…。」

「面倒…。」

「黙れッ、フェルゼンッ!! 貴方の撒いたタネでしょう!? 止めて下さいな!! 」

「うるしゃーい!! もうほっといてぇーッ。」

こっちは必死に場を鎮めようとしているのにクリスタが地団駄を踏む。

何時もの令嬢らしい姿は全くない。
何時もの友人想いな姿も。
後、興奮し過ぎて舌が回ってない…。

「わたくは、ずっとフェルゼンしゃまさまが好きなのぉ。ずっと、第一おーじ王子話きくのを口実にしてたんだもん。フェルゼンしゃまさまとおはなし、したかっただけだもん。だからこりょしてよころしてよ。叶わないんだったらぁー。」

ポカポカとフェルゼンをクリスタが殴る。子供の駄々のようだが、内容は恐ろしい。

それよりクリスタはフェルゼンが好きなの!? 趣味悪ッ!!


「そういえば…クリスタ様ってフェルゼン  × シュネー推しだったよね。まさか……冊子のシュネー様に自身を置き換えてたとか……。」

カールが苦笑いを浮かべる。
そういや何を勧めても頑なにフェル × シュネ 推しだった。

シュネーと自身を置き換えて…いた? 
まさか腐女子では…ない!? 
わたくしの冊子楽しみにしてたのってそういう……。

「貴方も本当に馬鹿だね。」

「うわぁーんッ。ごろじでぇー。」

「何じゃこりゃ。」

混沌カオスだ。
フェルゼンの存在で場が一気に混沌カオスだ。
当の本人はどうでも良さそう。

いや、せめて関心を持て。
頼むから。

やがてフェルゼンは面倒臭そうに受け取ったケーキ用のナイフを振り上げた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

なんちゃってキャラ紹介

ヴィルマ・イーリス
なんちゃって男爵令嬢。前世の記憶持ち。本来のゲームのシナリオではカール・アーバインルートの主人公ゲルダのライバル。だが、ゲームの彼女は今の真逆で気弱。ボスの悪役令嬢クリスタに泣きつく。

カール・アーバイン
伯爵家子息でヴィルマの婚約者。ゲームでは攻略対象で女装癖が主軸になるが、ここでは平気で女装するし、女子力は日に日に高くなって行く。

フェルゼン・ハースト
シュネールートの悪役令息にしてシュネーの血の繋がった兄。エリアスと同じでシュネー以外に容赦がない。女性でも子供でも関係ない。血の色は勿論、赤。

クリスタ・シャルロッテ
リヒトの元婚約者。侯爵令嬢にして悪役。しかしその優しいその性根から悪役になれてない。寧ろ友達想いのいい人。なんちゃって悪役令嬢。だが……。

ローレン
フォルメルン王国の元第一王子。つい最近、王太子になった。ヴィルマは『花君』の攻略対象なのにローレンに興味がない。婚約者の『友人』なのに……。

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

回帰したシリルの見る夢は

riiko
BL
公爵令息シリルは幼い頃より王太子の婚約者として、彼と番になる未来を夢見てきた。 しかし王太子は婚約者の自分には冷たい。どうやら彼には恋人がいるのだと知った日、物語は動き出した。 嫉妬に狂い断罪されたシリルは、何故だかきっかけの日に回帰した。そして回帰前には見えなかったことが少しずつ見えてきて、本当に望む夢が何かを徐々に思い出す。 執着をやめた途端、執着される側になったオメガが、次こそ間違えないようにと、可愛くも真面目に奮闘する物語! 執着アルファ×回帰オメガ 本編では明かされなかった、回帰前の出来事は外伝に掲載しております。 性描写が入るシーンは ※マークをタイトルにつけます。 物語お楽しみいただけたら幸いです。 *** 2022.12.26「第10回BL小説大賞」で奨励賞をいただきました! 応援してくれた皆様のお陰です。 ご投票いただけた方、お読みくださった方、本当にありがとうございました!! ☆☆☆ 2024.3.13 書籍発売&レンタル開始いたしました!!!! 応援してくださった読者さまのお陰でございます。本当にありがとうございます。書籍化にあたり連載時よりも読みやすく書き直しました。お楽しみいただけたら幸いです。

巻き戻った悪役令息のかぶってた猫

いいはな
BL
婚約者のアーノルドからある日突然断罪され、処刑されたルイ。目覚めるとなぜか処刑される一年前に時間が巻き戻っていた。 なんとか処刑を回避しようと奔走するルイだが、すでにその頃にはアーノルドが思いを寄せていたミカエルへと嫌がらせをしており、もはやアーノルドとの関係修復は不可能。断頭台は目の前。処刑へと秒読み。 全てがどうでも良くなったルイはそれまで被っていた猫を脱ぎ捨てて、せめてありのままの自分で生きていこうとする。 果たして、悪役令息であったルイは処刑までにありのままの自分を受け入れてくれる友人を作ることができるのか――!? 冷たく見えるが素は天然ポワポワな受けとそんな受けに振り回されがちな溺愛攻めのお話。   ※キスくらいしかしませんが、一応性描写がある話は※をつけます。※話の都合上、主人公が一度死にます。※前半はほとんど溺愛要素は無いと思います。※ちょっとした悪役が出てきますが、ざまぁの予定はありません。※この世界は男同士での婚約が当たり前な世界になっております。 初投稿です。至らない点も多々あるとは思いますが、空よりも広く、海よりも深い心で読んでいただけると幸いです。 また、この作品は亀更新になると思われます。あらかじめご了承ください。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~

荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。 弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。 そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。 でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。 そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います! ・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね? 本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。 そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。 お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます! 2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。 2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・? 2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。 2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。

処理中です...