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プロローグ
今時の異世界って、こんな感じなの!?
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学校のチャイムが鳴り響き、先生からの帰りの挨拶が終わると、すぐさま教室を飛び出して、履き潰した靴を履いて、校門を抜け出す。
急ぐ理由として、今日は俺が好きな漫画の発売日で、購入特典が無くならない内に買わなくては、と思い、急いで本屋に向かっている所だ。
最低限の注意を払って、交通ルールを守りながら、無事本屋に到着する事が出来た。
漫画コーナーを覗いてみると、「本日発売!」のPOPと共に添えられていたお目当ての本が山の様に積んであった。
本の山頂から一冊本を取り、レジに向かおうとすると、小さな男の子が俺の前を割り込んで入ってきた。
「ちょっと僕、割り込みしちゃ駄目だよ? 」
男の子の顔を見ようと声を掛けてみたら、男の子は一冊の絵本を持っていた。
「ご、ごめんなさい......今日は妹の誕生日だから、絵本を買ってあげて早くプレゼントしたいと思って......」
「そ、そっか。じゃあ特別に許してあげるけど、今度からはしちゃ駄目だよ?」
「は、はい。気をつけます......あ、レジ回ってきたから......」
そう言って男の子は、レジのお姉さんに絵本を渡した。タイトルと見てみると「殿坂さんを探せ!」という本だった。
そのタイトルが目に入った瞬間即効で思ったのは、「誰?」という疑問だった。
こういう~を探せ! というのは確かに面白いけど、何故この子は殿坂さんをチョイスしたのだろうか? 妹が喜んでくれたらいいけど......。
※
ちょっとしたハプニングがありながらも、無事漫画を買うことが出来た。後は帰宅してベットの上で娯楽タイム、という所かな……。
そんな考え事をしていると、さっきの男の子が横断歩道を渡っている姿が見えた。しかし、そこに一台の大型トラックが男の子目掛けて走らせてきた。
「危ないっ!!」
俺は急いで男の子の元へ駆けつけ、轢かれないように精一杯前へ押した。そして、トラックと接触した瞬間、今まで感じたことの無い強い衝撃が伝わったと思うと、フッ、と意識が飛んでしまった。
※
「──という訳なのね、駿我。幼い命を救うのに、自分の命を犠牲にしてしまったと......」
「は、はい......」
目が覚めると、神聖なる場所にいた事に気づいた。そして、ツンツンした俺と同じ年齢の子が立っていた。多分女神だと思う。
事情はとっくに知っているようだ。もうこの時点で気づいてしまったのだが、これ完全に異世界転生ルートなんだって。
少しの戸惑いはあるけど、それよりも死後の世界があった事が嬉しく感じる。
ありがちな死に方をしてしまったが、命を助けたんだから、別に後悔はないけど。
「突然だけど質問。あんたは異世界と地獄と天国の三つだったらどれを選ぶ気?」
「そりゃあ、異世界」
答えはすぐ出た。天国はなんか暇そうだし、地獄は辛そうだし、異世界はなんかハラハラする気がして楽しそうだから。
「やっぱりね。最近の若者はみーんな異世界に行きたいなんて言うのよね。...... まぁ、そんな事は聞くまでもないわ。なんせ、私がここに連れてきたと言っても過言じゃないしね」
「──へ? どういう事なの?」
「...... あんたみたいな地球人が欲しくて、わざと死なせてやったのよ! あの子供も私が仕組んだ幻想なのよ! ──って、何言わせんのよバカ!」
え...... 俺は幻想の子を助けたってことなの? でも、俺はここに必要とされたから転生しに来たんだよな?
「ま、まあもう死んじゃった事は仕方ないし……じゃあ早速転生特典を貰って異世界に」
「何言ってんのあんた、そんな簡単にいくと思わないで。いい? あんたを異世界にワープする料金、最低限のフラグ建設料金、更には死亡保険金など色々と私が負担してやってんのよ? これでも足りない訳?」
「ありません私が間違ってました」
えぇ...... 俺は初期アバター状態で異世界に行くって言うの? 反抗したいけどしたら地獄に落とされそうだから黙っとこう。
「...... 私があんたを異世界転生させようとしてる目的はね、異世界で魔王が大暴れしていて、異世界人の力だけじゃ対抗できないの。唯一対抗出来るのは、知能が発達している地球人だけなの。そこで、あんたは以前私ら女神が送り出した他の地球人を探して欲しいの。それで、集まった地球人の力を合わせて、魔王を倒して欲しいってこと」
「へぇ。でもでも、どうやって地球人を探すって言うんだ?」
「さっき言ったじゃない。フラグ建設料は、あんたが地球人と遭遇する確率を上げる為の物よ。それが転生特典だと思いなさい。あと、その学生服じゃ周りから変な目で見られるわ。少しだけお金をあげるから、服でも買っときなさい。そうそう、あっちの世界のレートも日本円だから、あんたが今持ち合わせているお金も使えるわ。少ないでしょうけど」
「あ、ああ......」
この子、ツンツンしてると思いきや、結構俺の事心配してくれてる? 流石ツンデレだ。
「何ニヤニヤしてんのよ気持ち悪い。ほら、目瞑って」
「何かいい事してくれんの?」
「異世界転生の準備よバカ!...... あんた、その調子で異世界過ごすんじゃないわよ。ハーレムとか一切無いからね? 」
「わかった。あ、最後に名前だけ聞かせて!」
「進藤 萌子(しんどう もえこ)よ。じゃあ、行ってらー すぐ死ねばいいのにー」
結構酷い罵倒を受けながら、また意識が飛んでいった。てかあの子も地球人だったの……?
急ぐ理由として、今日は俺が好きな漫画の発売日で、購入特典が無くならない内に買わなくては、と思い、急いで本屋に向かっている所だ。
最低限の注意を払って、交通ルールを守りながら、無事本屋に到着する事が出来た。
漫画コーナーを覗いてみると、「本日発売!」のPOPと共に添えられていたお目当ての本が山の様に積んであった。
本の山頂から一冊本を取り、レジに向かおうとすると、小さな男の子が俺の前を割り込んで入ってきた。
「ちょっと僕、割り込みしちゃ駄目だよ? 」
男の子の顔を見ようと声を掛けてみたら、男の子は一冊の絵本を持っていた。
「ご、ごめんなさい......今日は妹の誕生日だから、絵本を買ってあげて早くプレゼントしたいと思って......」
「そ、そっか。じゃあ特別に許してあげるけど、今度からはしちゃ駄目だよ?」
「は、はい。気をつけます......あ、レジ回ってきたから......」
そう言って男の子は、レジのお姉さんに絵本を渡した。タイトルと見てみると「殿坂さんを探せ!」という本だった。
そのタイトルが目に入った瞬間即効で思ったのは、「誰?」という疑問だった。
こういう~を探せ! というのは確かに面白いけど、何故この子は殿坂さんをチョイスしたのだろうか? 妹が喜んでくれたらいいけど......。
※
ちょっとしたハプニングがありながらも、無事漫画を買うことが出来た。後は帰宅してベットの上で娯楽タイム、という所かな……。
そんな考え事をしていると、さっきの男の子が横断歩道を渡っている姿が見えた。しかし、そこに一台の大型トラックが男の子目掛けて走らせてきた。
「危ないっ!!」
俺は急いで男の子の元へ駆けつけ、轢かれないように精一杯前へ押した。そして、トラックと接触した瞬間、今まで感じたことの無い強い衝撃が伝わったと思うと、フッ、と意識が飛んでしまった。
※
「──という訳なのね、駿我。幼い命を救うのに、自分の命を犠牲にしてしまったと......」
「は、はい......」
目が覚めると、神聖なる場所にいた事に気づいた。そして、ツンツンした俺と同じ年齢の子が立っていた。多分女神だと思う。
事情はとっくに知っているようだ。もうこの時点で気づいてしまったのだが、これ完全に異世界転生ルートなんだって。
少しの戸惑いはあるけど、それよりも死後の世界があった事が嬉しく感じる。
ありがちな死に方をしてしまったが、命を助けたんだから、別に後悔はないけど。
「突然だけど質問。あんたは異世界と地獄と天国の三つだったらどれを選ぶ気?」
「そりゃあ、異世界」
答えはすぐ出た。天国はなんか暇そうだし、地獄は辛そうだし、異世界はなんかハラハラする気がして楽しそうだから。
「やっぱりね。最近の若者はみーんな異世界に行きたいなんて言うのよね。...... まぁ、そんな事は聞くまでもないわ。なんせ、私がここに連れてきたと言っても過言じゃないしね」
「──へ? どういう事なの?」
「...... あんたみたいな地球人が欲しくて、わざと死なせてやったのよ! あの子供も私が仕組んだ幻想なのよ! ──って、何言わせんのよバカ!」
え...... 俺は幻想の子を助けたってことなの? でも、俺はここに必要とされたから転生しに来たんだよな?
「ま、まあもう死んじゃった事は仕方ないし……じゃあ早速転生特典を貰って異世界に」
「何言ってんのあんた、そんな簡単にいくと思わないで。いい? あんたを異世界にワープする料金、最低限のフラグ建設料金、更には死亡保険金など色々と私が負担してやってんのよ? これでも足りない訳?」
「ありません私が間違ってました」
えぇ...... 俺は初期アバター状態で異世界に行くって言うの? 反抗したいけどしたら地獄に落とされそうだから黙っとこう。
「...... 私があんたを異世界転生させようとしてる目的はね、異世界で魔王が大暴れしていて、異世界人の力だけじゃ対抗できないの。唯一対抗出来るのは、知能が発達している地球人だけなの。そこで、あんたは以前私ら女神が送り出した他の地球人を探して欲しいの。それで、集まった地球人の力を合わせて、魔王を倒して欲しいってこと」
「へぇ。でもでも、どうやって地球人を探すって言うんだ?」
「さっき言ったじゃない。フラグ建設料は、あんたが地球人と遭遇する確率を上げる為の物よ。それが転生特典だと思いなさい。あと、その学生服じゃ周りから変な目で見られるわ。少しだけお金をあげるから、服でも買っときなさい。そうそう、あっちの世界のレートも日本円だから、あんたが今持ち合わせているお金も使えるわ。少ないでしょうけど」
「あ、ああ......」
この子、ツンツンしてると思いきや、結構俺の事心配してくれてる? 流石ツンデレだ。
「何ニヤニヤしてんのよ気持ち悪い。ほら、目瞑って」
「何かいい事してくれんの?」
「異世界転生の準備よバカ!...... あんた、その調子で異世界過ごすんじゃないわよ。ハーレムとか一切無いからね? 」
「わかった。あ、最後に名前だけ聞かせて!」
「進藤 萌子(しんどう もえこ)よ。じゃあ、行ってらー すぐ死ねばいいのにー」
結構酷い罵倒を受けながら、また意識が飛んでいった。てかあの子も地球人だったの……?
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