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5話
しおりを挟む栗山千佳は俺の方に近づいてきた。
「……何してたんですか?! 」
俺は今日のことを細かく説明をした。
どうやら、俺に彼女ができたのかと勘違いしたらしい。
「ええ?! 近藤みさきさんだったんですか?! 私もファンなんですよね! 私も会ってみたいです! 」
「いや、本当にびっくりしたよ。まさか、みさきさんが居るとは…」
「ふーん。みさきさんって呼んでるんですね。私も千佳って呼んでほしいです! 」
彼女いつも通り拗ねた顔をしている。
「わかったよ! 千佳! 」
「で? さっきのキスはどういうことなんですか?! 」
「い、いや、あれは俺も急にされて…そんなことより、こんな所で何やってるんだ?! 」
「本当ですか…? 誤魔化してませんか? まっ、信じます。私は今ちょうど友達と買い物に来てて! 」
「友達?! 」
栗山千佳には新しく友達ができていた。
「そうだ、千佳明日空いてる? 」
「空いてるよ! 」
「写真撮りにいこうよ! 」
「わかった! 帰ったらメッセージ送るね! 」
「了解! 」
携帯の通知が鳴り確認すると、御門圭からのメッセージだった。
『早くしろ! 何時まで待たせているんだ! 』
「ごめん俺、今御門先輩待たせてて。」
「全然大丈夫だよ! 私も友達待たせてるから! じゃあまた明日ね! 」
彼女の後姿に何故か見惚れてしまった。
駅に向かうと、御門圭が怒っていた……。
「遅いぞ、何があったんだ。」
理由を説明すると、呆れた顔をした。
「相変わらずだな春…」
「ごめんなさい、そうだ! 御門さん、写真撮りませんか? 」
「俺は写真苦手なんだ。俺が撮ってやるよ! ほら、携帯貸して! はい、そこに立って。」
大都会をバックに写真を撮ってもらったが、他人に写真を撮られる事が恥ずかしかった。
ーー何事もなく家に着いた。
部屋に行き、最近写真を投稿していないことを思い出した。
SUTERAを開こうとすると、アップデートが来ていた。
アップデートを終わらせて開き、何を投稿しようか迷ったが、御門圭に撮ってもらったやつを上げた。
題名は『友達に撮ってもらいました! 初めての大都会! 』
そこで、栗山千佳が上げた投稿が気になり、
見てみると俺との写真が上がっていて、星の数やフォロワーが増えていて驚いた。
題名が、『ばったり会いました! 』
気を使ってくれているのが分かった。
明日のことでメッセージを送ろうとしたとき、栗山千佳から電話がかかってきた。
「もしもし! 春君? 」
「え?! もしもし、なにこれ? こんな機能あったっけ? 」
「さっきSUTERAアップデートしたら、電話機能が追加されていて、かけちゃいました…。」
「すこしびっくりしただけだよ、全然大丈夫! あ、投稿気を使ってくれてありがとうね! 」
「いえいえ、友達って書くとややこしくなったらいけないので。 でも、おかげさまで、すっごいフォロワーとか増えてびっくりはしちゃいました! 」
「ごめんごめん! そういや、明日どうする? 場所合わせるよ! 」
「本当ですか? じゃあ! 学校近くの河川敷にしましょ! 時間は11時で! 」
「わかった! 11時に河川敷に向かう! 」
「明日私早いのでもう寝ますね! おやすみなさい! 」
「おやすみ! 」
まさか、俺がこんな会話を出来るなんて思いもしなかった。
そういえば、ふと俺のことを良くないと思っている人がいるんじゃないかと思い、検索をかけた。
すると、俺の学校での様子が撮影された投稿があり、題名が少し不気味だった。
『彼の隣は私なの、みんな邪魔したら許さない、』と書かれていた。
その人の投稿画面に行き最近の投稿も確認をした、すると、
国道大河の事を悪く言っている投稿もあった。
しかもその投稿に対しての周りの反応もなかなか多い。
「同じ学校なのか、こういう子には気を付けないと、トラブルになってからじゃ遅いからな。」
そう思い、アイコンと名前を確認した。
名前は、『なかわうといさ』アイコンは『バラ』だった。
ーー翌朝。
リビングから騒がしい音がして目が覚めた。
「春?! あんた、いろんな事務所からモデルや雑誌からの電話がすごい来ているわよ! どうなってるの? 」
リビングに行き、テレビを確認しに行くと話題になっていた。
「ええ~。この投稿を見てください。彼は今話題の藤宮春君ですが…今モデルの間で大人気になっておりまして…」
SUTERAを開き投稿を確認すると、とんでもないことになっていた。
「え?! 星の数120万?! フォロワーは…140万人?! 人気度……1万?!どういうことだ?!」
よく確認すると、どうやら近藤みさきが俺の投稿を保存して、題名を『ファンになりました』と投稿してから、
他のモデルたちも同じような投稿をしてモデル業界に知れ渡っていた。
家の電話が鳴りやまない状態になっている。
俺はすぐに、近藤みさきに電話をかけた…。
「みさきさん! これどういうことですか?!」
「あっ! 見てくれた?! でも私これ本音ですよ? しかも学校を広めるのにいいじゃないですか! あと、これを機に一緒にモデルしましょ! 」
「いや、そうですけど、これはさすがにやりすぎですよ。あと、モデルなんかやったことないですし。」
「ごめんね? でも、正直嬉しいんでしょ? 」
「いや、まあ 嫌ではないですけど。そういや!昨日のあれはなんですか?! 」
「え? もしかして意識しちゃったんですか? かわいいですね、春君も」
「いや、そういう事じゃなくて!! 」
「ごめん! これから打ち合わせがあるから切るね! またね! 」
電話を切り、しょうがないと思っていると、母は戸惑っていた。
「どうするの?! モデルやってみるの? 一応念のため事務所メモしておこうか? 」
「まだやるかわからないけど、メモしておいて……」
「わかったわ! 」
母は何故か困った顔ではなく、嬉しそうな顔をしていた。
俺は家を出て、河川敷に向かった。
栗山千佳は先に着いていた。
「あれ? まだ時間じゃないのに早いね! 」
「春君こそ! 早いですね! 」
栗山千佳はいつもと違った。
とても……綺麗で…。
ーー俺はまた見惚れてしまった。
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藤宮春
フォロー 3人
フォロワー 140万人
星の数 120万
人気度 1万%
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なかわうといさ
フォロー 1
フォロワー 6800人
星の数 3万
人気度 120%
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近藤みさき
フォロー 1670人
フォロワー 580万人
星の数 630万
人気度 6万%
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栗山千佳
フォロー 2
フォロワー 1万450人
星の数 4万
人気度 660%
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国道大河
フォロー 757人
フォロワー 325万人
星の数 331万
人気度 1万%
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