伯爵令息は心トキメク恋がしたい!〜指南書は恋愛小説。R18ってなんですか?〜

ゆずは

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豊穣の国の王都についたよ!

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 僕の初めての旅は他国訪問の同行。
 訪問の主役は第三王子のハインリヒ。ほぼおまけの僕は、今回なんの目的で豊穣の国を訪れたかも知らされてなかった。
 王室御用達の馬車はとても快適で、ハリーの甘い台詞と熱い楔に翻弄されっぱなしでも、どこかにぶつけて痛いとか背中が擦れるとか、そんなことは全然なかった。
 夜は宿に泊まるけど、そこでも馬車の中でのことを聞いてくるミアの熱に翻弄される。

 ……つまりだ。
 この数日間、僕は非常に爛れた生活をしていたと言える。主に二人のせいだけど、拒みきれない自分に全く非がないとも言えない。
 僕は抱かれることが好きだし、二人の格好いい声が震えるくらい好きだから、結局全部受け入れて許しちゃうんだけど、ミアには好きな人がいるし、ハリーには結婚したい人がいるのに、こんなことしてていいのかな……って、胸の奥がスカスカしてちょっと寂しくなったりもした。

 国境の門をくぐって更に数日かけて王都に到着した。
 簡単な身元確認がされたが、王族の紋を掲げている馬車を長く引き止めておく兵士はいなかった。
 馬車は速度を落として王都の中を進む。
 僕たちが通っているのはお城の東側にある区画で、通称が東町。この王都の西町には、僕たちの国出身で冒険者宿の店主をしている方がいる。
 リーデンベルグの貴族家出身だけど、魔法騎士団、魔法研究所に所属してわずか数年だけその力と知識を国のために使い、さっさと引退して冒険者になった人だ。
 僕よりかなり年上の人で、僕の両親と同じかそれよりも少し上の世代。
 結局、冒険者になったあともリーデンベルグにとどまることはなくて、今は豊穣の国の冒険者宿の店主をしてる。
 ……そんなにこの国は住みやすかったんだろうか。自由を謳う祖国よりも?

「エリアス、何か気になる?」
「あ、んと」

 僕が食いつくように窓の外を見ていたからか、ハリーが少し心配そうな顔で声をかけてきた。
 僕が声を出すと、ハリーが僕を膝の上に座らせてくる。

「…元最高位魔法師の人って、どんな人なのかと思って」
「ああ。そういえば。あの家はその人の次男が継いだけれど、今はその息子が当主になったかな」
「僕とそんなに年が変わらなかったと思ったけど…」
「二十五だよ。私達よりも年上」
「あ、そうなんだ」

 それにしても若い。

「あの家は魔力が膨大でね。前当主も今は魔法研究所で好きな研究に没頭してるし、現当主は魔法騎士団の副騎士団長をしてる」
「すごいね……」
「うん。すぐ上の兄上が、『あの家は化け物の集まりだ』って楽しそうに笑ってたよ」

 第二王子殿下は魔法師でもあるから、もっと詳しいんだろうな。『化け物』って、笑いながら言う言葉じゃないよね。

「今回の視察も本当はそのリグレヒト兄上が来る予定だったんだけど、どうしても魔研の実験との調整が利かなくて、私に回ってきたってわけ。…ま、エリアスが喜ぶだろうなって思ってたから、無理矢理でも来るつもりだったけどね」
「第二王子殿下が来る予定……って、じゃあ、魔法絡み?」
「魔法学院の視察、かな。こちらの学院はできてからまだ数年しか経っていないけど、エリアスが気にしていたあの人も教壇に立ってるらしいし、今後の交換留学についても話し合いたいし」
「わぁ……」

 案外意外と大真面目な案件の訪問だった。
 ……なのに、毎日のように淫行に耽っててごめんなさい……。

「……ハリーって、王子様だったんだね」
「いやいや、それはおかしいよね?私が王子だってこと、エリアスは知ってるでしょ?」
「うん。知ってる。……けど、いつも僕やミアをからかいに来てるから、ずっとフラフラしてるような感じが……」
「嘘でしょ……」

 ハリーは何やら深い深い溜め息を付くと、前髪をかきあげて僕を見据えた。

「見直した?」
「うん」
「真面目に公務に取り組んでる私は格好いいかな?」
「うん」
「私に惚れた?」
「う、んんん???」

 惚れた、とは。
 僕が盛大に首を傾げていると、ハリーは苦笑して僕の頬にキスをした。

「もうすぐ到着だから、流石にできないけど」
「ん……」

 頬から、唇に移ってくる。
 くちゅ、くちゅ、って舌を絡めながら、ハリーに抱きつく。ハリーの両手は僕の背中を抱きしめる。

「は……ん、んっ」
「ん、エリアスの舌……、熱いね」
「んっ、んう」

 背中を抱いてた手にするりとお尻を撫でられた。
 唇が離れて、濡れたハリーの唇が、僕の首筋にあたる。

「……はぁ。私だけのものにしてしまいたい」

 ぼそぼそ言ったハリーの言葉は僕に届かない。
 僕は全身に巡る甘い快感に酔いながら、つ…と、ミアがいる方の窓を見た。
 確かにそこにはミアがいた。…けど、僕と目があった瞬間、ミアに目をそらされた。
 いつもなら穴が空くほど見続けてるのに。

「……っ」

 胸の奥がキュッて締まった。
 それが痛みに変わる予感がして、僕は目の前のハリーにしがみついた。


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