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第5章 王子サマからの溺愛は甘くて甘くて大変です。
24 気づかなくていい ◆クリストフ
しおりを挟む団員たちと話してから、どこか緊張と不安を浮かばせていたアキの表情がよくなった。
多少気になる内容も聞こえてきたが、まあいいだろう。
昼休憩の後、少し眠らせた。
腕はいいが困った男が俺たちに近づかないように、全員で囲んでいるようだった。
「ん……くりす……」
俺の胸元を無意識にでも掴んでくるアキ。
……こんなあどけない寝顔、誰にも見せられない。
しばらく様子を見たが、起きる気配がない。やはり、身体にはかなりの負担がかかっているのだろう。
眠るアキに口付け、唇を割り開いた。
舌を絡ませ唾液を移す。
コクリと喉がなったのを確認し、唇を離して耳元に寄せた。
「深く、眠れ――――」
頬や額に口付けてから、眠ったままのアキを抱き上げ立ち上がる。
「殿下」
「このまま出る。支度を」
「はい。できています」
周囲に視線を巡らすと、ザイルがヴェルを連れてきた。
「オットー」
「はい、すみません」
申し訳無さそうに謝りながら手を出すオットーは、本当によく気がつくと思う。
苦笑しながらぐっすり眠るアキをオットーの腕に抱かせた。……自分がアキに触れることを謝ったのだろう。少し離れたところから、エアハルトの喚く声が聞こえたが、無視だ。
ヴェルに跨り、すぐに手を伸ばす。多少無理な姿勢でも問題はない。
アキの位置を調整し終えてから、オットーとザイルはそれぞれ騎乗した。
左手でアキを支えながら、周囲を確認して右手を上げる。その合図だけで、隊列は動き始めた。
深く眠るようにしたのは俺自身だが、アキは中々目覚めなかった。これほどの深い眠りに落ちるということは、それだけ身体が疲弊しているということなのだろう。
……夜は抱こうと思っているが、少し加減したほうがいいのかもしれない。十分な癒やしと魔力が巡れば、それで。
アキが目を覚ましたのは、そろそろ野営の準備に入ろうかという夕暮時れだった。
寝過ごした…とくすくす笑うアキが可愛い。俺の魔力付与のせいだなんて、少しも思っていないのだろう。言う気もないが。
アキを支える手に力を込めると、アキの手が上に重なった。
俺を信頼して身体を預けてくるアキが本当に愛おしい。
「……夕焼け、きれいだね」
「そうだな」
「明日も晴れかな」
「多分な」
「こうやって遠くに出かけるときって、いつも晴れてるよね…。雨が降らない季節ってわけでもないでしょ?」
「そうだな。運がいい。……大雨のとき構わず駆けたときもあったから」
「うわぁ……しんどそう……」
顔をしかめてるんだろうな。声だけでも伝わってくる。
西の空の色が濃くなった頃、街道を外れ野営の準備に入った。
「アキラ様、お疲れじゃないですか!?私が腰を揉んで……」
「けっこーです」
懲りないエアハルトの言葉を、即座に断るアキ。
アキにしては、言葉が荒い。
これはかなり珍しいことだと思う。
人当たりはいいほうだと思っている。タリカでも、村人たちとすぐ打ち解けていたから。
言葉遣いは柔らかい。貴族の仰々しさや、平民の荒々しさは感じられず、耳に心地いい。
大体、誰に対しても。
俺と二人でいるときのアキは、それよりも幼い感じの甘えた声と言葉遣いになるが、それは俺だけの特権だ。
……なのに、エアハルトに対しては結構辛辣な言葉をかける。けれど、嫌ってはいないようで、無視もしないし本気で怒ることもない。
アキラ様、とか、女神様のような、とか言われたときの心底嫌そうな顔は……まあ、可愛いだけ。
左手が動くようになったとは言え、まだ自由に動かすことはできない。無理に動かそうとすると、熱や痛みを持ってしまう。
天幕の設置も終わり、一旦中に入ってから、アキの左手を用意しておいた布で吊った。
首はつかれるが、それよりもアキからほっとしたような溜息が漏れ、やはりつらかったのか…と思う。
「辛かったら教えろと言ってあるだろ」
「……だって、ヴェルに乗ってたし……」
「まったく……」
何度か口付けてから天幕をでたが、アキの左腕を吊る姿を見たエアハルトが、またわめき出した。
こういうときは同じ貴族のザイルに任せるのが一番だ。
夕食を食べ、オットー、ザイルと明日の打ち合わせをしている間に、腕の中のアキの身体が揺れ始めた。
話も早々に切り上げて天幕の中に入る。
眠気にぼんやりしているアキの服を緩めながら、レヴィから借りた洗浄魔導具を使うと、落ちかけていた瞼がはっきりと開き、俺の手の中を見る。
「それ」
「洗浄魔導具だ」
使い方や消費魔力量、効果範囲を聞いてから、アキが腕組みをして考え始めた。
「……すごく便利だよな……」
時々、ぽつりぽつりと独り言のように言葉を紡ぐ。
「……いや、でも……」
すごく真剣に。
その表情は、楽しそう…というより、研究者のようだ。
思わず笑ってしまうと、アキは思考の海から戻ってきたようで、きょとんと俺の顔を見る。
「少ない魔力で使えるなら、魔力量の少ない魔法師じゃない人でも使えないかな、って。そしたら、クリス隊のみんなも、楽になるよね、って思って」
「そうだな」
確かに、魔法師のような高い魔力でなくとも使えるのなら、遠征は随分楽になる。
市井にその方法を流せば、住民の生活もガラリと変わるだろう。
……そういった研究も、魔法師たちの勤めの一つなのに。
「……俺、みんなのこと好きだし、なにか役に立てないかなぁって」
内心、溜息をついていると、アキが唐突にそんなことを口にした。
……『好き』?
「…?クリス?」
恐らく、俺の表情が変わったんだろう。アキが不思議そうに俺を見てくる。
「アキ」
当然、意味が違うことはわかってる。
メリダやラルのことも『好き』と表現していた。
けど……駄目だ。
「クリス?」
「……『好き』は、駄目」
「へ?」
この口から俺以外の誰かを『好き』と言うのは聞きたくない。
醜い独占欲だとはわかっているが、こればかりは引くことができない。
……メリダやラル、義姉上に対してだけは、許してもいいが。
「お仕置きだな」
酷いことはしない。
だが、アキに分かってもらうためにも、抱き潰すくらいのことはしてもいいだろう。
移動はすべて俺が抱き上げるのだから。今日のように付与を使ってもいい。
無理な体位は取らせない。
ひたすら甘やかし、快感を与え、揺さぶるだけ。
以前使った香油よりも、媚薬が少し多く含まれているものを持ってきているし。ある意味、このための遮音と洗浄魔導具だ。
狙い通りというか、アキは俺の下で悶喘いだ。
潮まで吹かせてしまうくらい、俺自身もかなり興奮していたのだろう。アキを全裸にしたのに、俺は服も着たままだった。
「くりす………ふく、やら……」
潤んだアキの瞳。
そうだな。抱き合うなら素肌がいい。
アキは満足そうに俺の背中に腕を回すが、まだ終われない。
騎乗位になるようアキを誘導し、下からアキの痴態を眺めていた。
顔を真っ赤にさせて、それでも自分の蕾を押し広げ、俺のを咥えようとする姿に、欲情しないわけもない。
ゆっくりと腰を下ろしていくアキを見ながら、ふと気配を感じて視線を巡らせた。
天幕の入り口の布が少しだけ開けられ、男がこちらを見ていた。
踏み込んでくるつもりはないらしいが、すぐに去るつもりもないらしい。
アキの媚態を堪能していたかったのに。
すぐに起き上がり、アキの肩を抱いた。
「あ……ん、んんぅ」
上がる嬌声を口付けで奪い取りながら、用意されていた薄手の肌掛けをアキの裸の背中にかける。
「ん………な、に……?」
「汗で体が冷えるから」
「ん……ぅん…」
アキは気づかなくていい。
どうせ、あの男だ。
再び視線を入り口に戻すと、俺の視線を感じたのか男はいなくなった。
……どうしてやろうか、あの男。
その後は何度も下から突き上げ、アキが意識を飛ばすまで続けた。
再び洗浄魔導具を起動させ、アキと自分とベッドを清めたあと、裸のアキに肌掛けをかけ、簡単に服を整えて俺は天幕を出た。
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