あの日、あの場所、君に出逢えた奇跡

ゆずは

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君に出逢えた奇跡

6 『シエル』

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「シエル……会いたかった。探したんだ、ずっと…!!」
「え?」
「なぜ俺の前から姿を消した?どこにも行かないと、お前が言ったのに」
「いや、」
「シエル、愛してる――――」
「え、いや、………ん!?」

 激情のまま、シエルの腰を左手で捉え、右手で顎を固定して唇を奪う。

「ちょ………っ、んっ!」

 シエルが力を込めて胸を押してくる。
 僅かな抵抗。それすら愛おしい。

 閉ざしたままの唇に、舌をねじ込んだ。久しぶりの逢瀬に緊張しているのか、シエルの舌は縮こまったままで、中々応えてこない。
 それでも何度も吸い付き、絡めとる間に、鼻から抜けるような吐息を感じた。
 両手は縋り付くように胸元にあてられている。
 ………ああ。シエルだ。俺のシエルが、腕の中にいる。

「っ」

 シエルの目尻には薄っすらと涙が滲んでいた。
 シエルも再会を喜んでくれているのか。

「シエル……シエル…っ」

 腕の中のシエルの身体からは力が抜けた。俺に全身を預け、委ねてくる。そのことに酷く興奮し、歓喜し、ひたすらその甘い唇を貪った。

 あの日のように花畑の中もよかった。再会できたなら、ベッドの中で優しく抱きしめ、甘く啼かせてやろうと決めていた。
 …けれど、いざシエルを目の前にし、腕の中に閉じ込めてしまうと、そんな決意は霧散した。
 今すぐにシエルがほしい。
 余計な言葉はいらない。
 シエルは俺の心を読むのだから。

 焦る想いそのままに、口付けながら店の奥にシエルを誘導した。
 あの日の、俺を誘う瞳が思い出される。
 シエルの身体を壁に押し付け、手首を縫い止めた。
 ゆっくりと唇を離せば、赤い唇が俺を誘う。
 瞳は伏せたまま。
 何度か唇を舐めれば、身体はピクピクと反応した。

「今までどこにいた?お前は俺のことを知ることができただろう?なぜ…俺のもとに来なかった?」

 シエルは何も応えてはくれない。
 そのことに焦燥感が生まれる。
 シエルは俺に会うために、わざわざこの街に来たのではないのか?
 例えそうであったとしても、俺はもうシエルを手放すつもりはない。必ず俺のものにする。

 未だ涙の滲む目尻に口付けるが、固く閉じられた瞳は開かない。

「シエル……愛してるんだ」

 応えてほしい。
 その声で俺を呼んでほしい。

 細い首筋に唇を押し当てた。
 僅かな身体の震えを感じつつも、拒否されない行為。
 それならば…と、衣服のボタンを外す。
 月明かりの下で見たときよりも、肌は白く艶めかしかった。
 誰の跡も無い無垢な肌。
 ここに触れたのは俺だけなんだろうか。それとも、俺にしたように何人もの男を誘い込んだのか。
 会えなかった数ヶ月のことを思うとどうしても邪念が頭をよぎる。
 …恋人になったわけではないのだから、そんな独占欲は表に出していいものではない。
 これから、だ。この先、この肌に触れるのは俺だけでいい。俺だけがいればいいと、シエルにも想ってもらいたい。

 胸の上の桃色の小さな蕾の真上を、強く吸う。白い肌に散った赤色に酷く満足する。
 シエルは俺のものだ。俺だけの、愛しい人。
 桃色の蕾にも舌を這わせる。何度か舐めれば、そこはツンと、硬くなった。

「や………」

 シエルから漏れた声に、既に勃起していた己の中心が、更に張り詰める。

 ……抱きたい。抱きたくて仕方ない。

 シエルの身体を反転させ、後ろから壁に押さえつけ、背筋から掌を滑らせた。片手でウエスト部分の紐を解き、背筋を滑らせていた手で下着ごとズボンを足元に落とす。

「っ」

 シエルの身体が強張った。
 初心な様子に思わず笑みが溢れる。
 あの日以来、誰もこの身体を開いてはいないのかもしれない。
 露わにしたシエルの中心をやんわりと手中に収めた。

「や……やだっ!!」

 久しぶりで恥ずかしいのか。
 あの日のシエルにはそんな素振りは見られなかった。男を誘いなれているような、そんな雰囲気すらあった。
 慣らしもしていないのに柔らかく解れていた蕾は、他の男の物を咥え込んだ後だったからなのか?
 沸々とどす黒い感情が沸き起こる。
 俺の怒気を感じているのか、シエルの中心は柔らかいままだ。
 ……ああ、だめだ。抑えなければ。
 項を吸いながら、片手でシエルの胸を弄った。
 少し舐めただけで硬くなった胸の蕾を、指でつまみ上げる。

「っ、いたいっ、やだっ、離して…っ」

 涙混じりの声音。
 離すはずがない。
 少し強くやりすぎたか。指の腹で宥めるように蕾をいじれば、シエルからは吐息が漏れ始めた。

「シエル…っ」

 胸を弄っていた手を離し、己のズボンの前を寛げ、すでに怒張しきった己を取り出した。それをシエルの白くほっそりとした臀部の谷間にこすりつける。

「ひ……っ」

 シエルの喉の奥で引きつった音がした。
 身体はガクガク震え、呼吸が早くなる。
 二本の指に唾液を絡め、シエルの窄まりの中に侵入させた。

「あ゛、や、やだっ」

 内腔は酷く熱く、うねっていた。
 緊張からなのか、うまく力が抜けないようで、そこは指を締め付けてくる。
 この締め付けは暫くは誰にも抱かれていない証拠だろう。
 あの時の快感を、すぐにでも思い出させてやる。
 幾分か解れた窄まりを、指で広げた。
 俺のものはすでに先走りで濡れている。挿入に特に問題はないだろう。

「シエル…」

 可愛い、可愛い、俺だけのシエル。
 震える背中に口付けを落とし、そのまま項まで舐め上げた。

「愛してる…シエル」

 ゆっくりと腰を推し進めれば、くぷりと亀頭がシエルの中に飲み込まれていく。

「や、やだっ、痛い、やだっ」

 シエルの震えは止まらない。
 入り口が広げられる痛みはあるだろうが、そこを抜けてしまえばあとは快感だけ。
 シエルの細い腰を両手で掴み、抵抗のある内側をさして気にもせず一気に腰を押し進めた。

「あ、ああっ、痛い……痛い痛いいたいぃぃ――――!!!やだ、抜いて、やめてっ!!!」
「あの日と同じだから…シエル……っ」

 最奥まで届いた。
 シエルの中はやはり心地よすぎる。
 何度か腰を揺らしてる間に、強すぎる締め付けが緩くなり、内側は滑りやすくなった。
 ああ、いい。
 ギリギリまで引き抜き、最奥まで一気に貫く。
 そのたびにシエルの身体は震え、嬌声が漏れた。

「ひぃ……っ!!いや、いやああっっ!!!」

 動くたびにぐちゅぐちゅと水音が店内に響く。

 シエルの身体から力が抜けた。
 腕は下がり、激しい息遣いだけが聞こえてくる。
 右手で身体を抱えおこし、左手でシエルの左足を抱え上げた。
 ビクンビクンと痙攣するように震える身体。激しくイったのだろう。
 俺もまた限界だった。
 最奥に腰を打ち付け、ぐぽっと更に奥に入り込んだ瞬間、欲を吐き出した。

「……っ、ん」

 最後の一滴までもシエルの中に注ぎ込み、息をついた。

「シエル…」

 息を整えながら、ずり…っとシエルの中から己を引き抜く。――――と、己の物に絡みつく白濁のものと鮮血の色を見て、息を呑んだ。
 開いたままの後孔からは、同じように白濁の精液と血液が流れ出る。ひどく鮮明な色に見える血液は、止まることなく太腿をつたい床に流れ落ちていた。

「……え?」

 その光景に呆然とし、腕から力が抜けた。
 途端、腕に抱えていたシエルの身体が、力なくその場に崩れ落ちた。

「……シエル?」

 慌てて腕に抱いたとき、シエルの瞳が俺を捉えた。

「っ」

 僅かな、本当に一瞬だけ。
 閉じた瞳から涙がとめどなく流れていた。


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