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愛しい人を手に入れたい二人の話

現れた花籠に歓喜した十八歳の春

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◆side:レイナルド

 アルムニアの処分が決定した翌日の夕刻。
 セレスが学院を休んでいると報告を受けた。
 手元にあった執務自体は片付いたため学院の寮にむかい、合鍵で部屋に入った。

「セレス?」

 室内は暗く、どこか肌寒い。
 そんな中で荒く苦しげな呼吸音を聞いて、俺は早足でベッドに近づいた。

「セレスっ」

 荒い息遣い。
 部屋の明かりをつけると、赤い顔に玉のような汗をかき、意識のはっきりしないセレスが横たわっていた。

 セレスが目を開けるまで生きた心地がしなかった。
 一度部屋を出て薬を用意し、すぐに戻ってから汗で湿った服を脱がせた。
 額に冷たいタオルを載せ、薬を口移しで飲ませ、ようやく目を開けたかと思えば、俺のことを『殿下』と呼ぶ。

 忌々しいあの男のせいだ。
 廃嫡、修道院送りだけでは足りなかっただろうか。
 ……けれど、喜ばしいこともあった。
 あの男がきっかけとは思いたくないが、着替えさせたとき、セレスの下腹部に薄っすらとした花籠が現れていたのだ。
 何度もその場所を撫でていた。
 仕方ないとは言え、口移しで薬も飲ませたのだし、もう口付けくらいいいだろう。
 何度も俺を『殿下』と呼ぶセレスに、口付けながら繰り返し言い聞かせた。
 俺たちは変わらないのだから。いつでも傍にいる、と。

 ほっとしたように口元にかすかな笑みを浮かべたセレスだったが、熱は中々下がらず、意識が朦朧としている時間が長かった。
 目が覚めてる時に果物と水分を取らせながら一晩過ごした。
 熱で苦しいだろうに、俺が額に手を乗せると酷く安心した顔になる。
 俺たちが思い描く未来は、誰にとっても幸福とは限らない。
 親を騙し、家を騙し、国をも騙しぬく未来。
 でも俺たちはもう決めたんだ。

「セレス……。セレスは受け入れてくれるよな?」

 俺たちが三人で共に過ごすために。
 俺の仄暗い欲望を満たすために。

 ある意味、セレスもアベルも、俺の犠牲者だ。
 俺に関わらなければ、もっと穏やかで、普通の人生で終われた筈なのに。

「……それでも、もう後には引けない」

 思い描いた未来に進むだけ。

 熱を持って熱くなったセレスの唇に口付ける。
 むき出しにしたままの下腹部に手を這わせ、まだ微かに浮かび上がるだけの花籠を、優しく撫でた。

 早く、花が咲きますように。





◆side:アベルシス

 レイからセレスが熱を出したと連絡が来た。
 翌早朝に必要そうなものを持って寮に戻ると、セレスの枕元で椅子に座っているレイを見た。

「レイ」
「ああ。来たのか」
「うん。セレスは?」
「アベル……」

 レイは僕を呼んで、セレスにかけていた毛布を捲った。

「ちょっと、熱出てるんでしょ?寝間着くらいちゃんと――――」

 毛布の下のセレスは上にしか寝間着を着ていない状態だった。
 下には何もつけていなくて、襲ってくださいと言わんばかりの状態だったけど、そんなことよりも僕の目はセレスの下腹部に薄っすらと浮かび上がっている痣のようなものに釘付けになった。

「花籠――――」
「ああ。まだ完全ではないらしいが」
「そっか……。よかった……っ」

 下腹部に思わず口付けていた。
 ほとんどない下生えは、この際剃ってしまってもいいな。

「あー……、じゃあ、この熱も現出のせいかも」
「そうだな。……どちらにせよ、セレスの熱が完全に下がるまではどこにも行くつもりはないが」
「そうだね。浄化剤も持ってきたから、お尻のもできるし」
「そのうち自分でも気づくだろうから、あえて言うつもりはない。……それでいいか?」
「ん、僕は構わないけど」
「セレスに、ちゃんと自覚してほしいんだ。俺たちのこと」
「今のままだと幼馴染み枠でしかなくて、僕たちみたいな恋情ではないからね」

 セレスが今自覚しているのは、僕たちは『仲のいい幼馴染み』だということ。恐らくセレスも、僕たちがセレスを想うように、僕たちのことを想ってくれているだろうけど、ちゃんと自覚してもらいたい。
 自分の意志で、僕たちの傍に居続けることを選んでほしい。

「自分の花籠を見て、花籠持ち――――僕たちの子どもを孕めるんだって自覚してもらわなきゃね」

 息が荒くて、頬が赤いセレス。
 こんなに発熱するなんて知らなかったけど。
 額に載せられてるタオルで汗を拭いて、薄く開いた唇に口付けた。
 意識が朦朧としているセレスの手が僕に伸びてくることはなかったけれど、それでも充分だ。
 舌で口内を嬲る。漏れる吐息も酷く熱い。
 そのうち、セレスの瞳が僅かに開いて僕を見た。

「寝間着、着替えないとね」

 耳元で囁いても薄っすら開いた瞳に拒否の色は浮かばない。
 譫言のように小さな声で、僕たちを呼ぶ。

 熱めのお湯とタオルを準備して、裸にしたセレスを、僕とレイが全身くまなく清拭する。
 プツリと勃ち上がった胸の飾りのように可愛いピンク色の乳首を、指先で丁寧に愛撫して、タオルで拭いては舌で転がす。
 僕たちにいじられてきた胸の飾りは、すぐに果実へと変わっていく。

「あ~~~挿れたいっ」
「……まだ早い」
「わかってるけどさっ」

 レイはセレスの可愛いお尻を片手で割広げ、香油を纏わせた二本指で浄化剤をアナルの中に押し込んだ。
 花籠持ちが性的興奮を覚えると、揺籠は愛液を分泌する。それがアナルの中を常に清浄に保つ役割をしているのだけど、浄化剤はその代替品。一種の魔法薬。
 病人によく使われる。清潔第一だからね。
 まあ、排泄器官であるアナルにペニスを挿入するために作られた、先人たちの知恵の結晶なんだけど。ありがたい魔法薬だ。

「意識はっきりしてきてもこれは続けよう。眠ってる時にやるのもいいけど、今は熱出してるし、意識がはっきりしてる時にやってもいいと思うんだ。看病だからさ。……ま、というか、起きてるセレスの可愛い声が聞きたいんだけど」
「俺も聞きたい」
「ん。じゃ、次挿れるときは僕がするからね!」
「はいはい」

 レイは笑いながら、セレスの小さなアナルに挿れた指をぐりぐり動かしていた。



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