38 / 67
竜司と子猫の長い一日
二人の最初の朝食は、目玉焼きの好みを知るところから
しおりを挟む「のぞみ、サラダ美味い」
「……ちぎって切って盛っただけ……」
「パンの焼き加減絶妙だな」
「トースターのおかげだし……」
「目玉焼きは半熟が好きなのか」
「うん。竜司さんは?堅焼きのほうがいい?」
「…………いや、俺も半熟が良い」
「嘘だぁ」
「いや、ほんと」
「や、絶対嘘。間があったし、竜司さんの口、ちょっとピクピクしてる。ほら、ホントは?」
「……堅焼き派。ついでに醤油」
「僕はソースとかマヨネーズ。……なんで嘘つくの」
「のぞみが作ってくれてんだから、文句言うなんて失礼だろ」
「失礼とかそんなんいらないし。……竜司さんの好みとか知らないと、次だって美味しく食べてもらえないし」
「………のぞみ」
「なに?」
「『次』も作ってくれるんだ?」
「………あ」
「これからずっとのぞみが朝食を作ってくれたら嬉しいなぁ。作ってくれなきゃ俺は朝食食べないからなぁ」
「えっと……」
「このスープも。あんなにあっさり作ってたのに美味い。味噌汁もきっとうまいんだろうなぁ」
「あの……」
「そうか。明日の朝も作ってくれるのか。うん。それはいいな」
「うー……」
「のぞみ?」
「……来て、いいなら、来るけど。でも、毎日は……困る」
「じゃあ次はいつ?」
「……わかんない。だって、講義とか、予定とか、あるし。バイトもあるし……」
「金曜は?」
「バイト、あるけど」
「バイト終わってからでいい。土日もバイトがあるなら送っていく。金曜から来て月曜の朝まで。どう?」
「週末お泊りってこと?」
「そう」
「……でも、竜司さん、他の子とか……」
「呼ばないし抱かない。マッチングも使わない。……ああ、いや、のぞみが俺との連絡をマッチングを通してしたいってんなら、まあ、使うことにはなるが」
「……連絡先……、交換、する?」
「いいのか?」
「うん」
「なら、交換しよう。さっさとしよう。ほら、スマホ持ってきて」
「急かさないでよ……。まだ朝ごはん中!」
「そうだな。味わって早く食べよう」
「……竜司さんは、僕がここで料理しても嫌じゃないの?」
「なんで?」
「……僕、ずっと自炊はしてたけど、そんなに料理うまくないし……、自分の家のキッチンとか勝手にいじられたら嫌な人はいるだろうし……」
「俺は嬉しい。だって、これ、俺のために作ってくれてんだろ?そんないじらしいことされて嫌な気分になんてならないよ。逆にもっと、いと――――可愛く思えて困るだけ」
「ほんと?」
「これは本当。絶対本当。ほら、口元ピクピクしてるか?」
「……してない」
「な?」
「うん」
「のぞみは色々考えてるんたな。考えすぎて不安になるくらいなら、なんでも俺に言えばいい」
「……そんなの、ただ迷惑だし、鬱陶しいじゃん……」
「そんなことはないな。俺のそばにいるときくらい、のぞみは素のままでいればいいんだよ。料理がしたいならすればいいし、寝たいなら寝ればいい。テレビが見たいなら見ればいいし、俺とシたいなら襲えばいい」
「……最後のは、ちょっと、恥ずかしいんだけどっ」
「そうか?」
「そう!」
「つまり、襲われたいと」
「そんなこと言ってないし!」
「俺は襲いたくなったらいつでも襲うぞ?流石に時と場合ってのは選ぶが」
「……今朝も襲われたっ」
「あれは可愛かったな。……食べ終わったら風呂に入ろうか。中で出さなかったが、それなりに濡れたからな。綺麗にしてやる」
「や……自分で……」
「それは聞けないなぁ」
「うー……」
「のーぞーみー?」
「竜司さん、すけべ」
「そうだな。問題ない。もうこの先ずっとのぞみ専用だからな」
「……僕、専用?」
「そうだ。……のぞみも、俺だけにしておけよ。マッチングするの禁止」
「……しないし。竜司さんの相手するだけで一杯一杯だし……」
「だろうな。他のやつとやりたいなんて思えないくらい搾り取ってやるから」
「……搾り取るのは僕の方!」
「ん?そうか。俺の種がなくなるまで搾り取ってくれるんだな?」
「はう…」
「昨夜のアレだけじゃまだ空にはなってなかったからな。いやぁ、楽しみだな、のぞみ」
「……あれだけしてまだ空じゃない、って……っ、竜司さん、絶倫なの……?」
「のぞみ以外にこんなことなかったんだけどな。まあ、一ヶ月も続けば落ち着くだろ」
「一ヶ月……」
「まあ、最初は一週間でもいいが」
「一週間……」
「とりあえず次の金曜からお泊りは決定だ。いいよな?」
「……うん」
「そういえば、のぞみのバイトって、何してるんだ」
「カフェの店員」
「へえ。なんてとこ?」
「ちょっと住宅街よりの、『アリス』ってとこ。カフェだけど、ランチとかディナーメニューもあるとこ」
「ふうん。何時まで?」
「閉店が九時だから、遅くても九時頃」
「店長って、男?女?」
「男の人」
「……のぞみにセクハラとか、してない?」
「されてないけど?」
「他の店員は?」
「何人かいるけど……、あんまり親しくないよ……?」
「ん。ならいいか」
「何が」
「いや。こっちの話」
「竜司さん、マスターとおんなじ顔してる」
「は!?」
「マスターも僕がバイト始めるって言ったらあれこれ聞いてきて、『うん、それなら大丈夫か……』って変な納得してた。なんかね、心配したお父さんみたいだなぁ、って思って。……僕、心配した父さんなんて見たことないけど」
「………そうか。大志も心配したんだな。俺も心配してる。けどな、それは父親としてじゃないからな」
「じゃあ、なに?」
「なんだろうな?」
「僕に聞き返さないでよ……」
「のぞみが考えてくれればそれでいい。……そうだな宿題にでもするか」
「そんな宿題いりません。……あ、そうだ。目玉焼き、ちょっとチンする?そしたら堅焼きぽくなるし……」
「いや、今日はこれがいい。ありがとうのぞみ」
「……えと……、どういたしまして?」
*****
竜司の心の声
『やっべ。愛しいとか普通に言うとこだった。子猫が可愛過ぎるのが悪いんだよな。はぁ。言いたい。好きだよ。愛してるよ。お前の行動全部が可愛くて可愛くてどんどん好きになるし。はぁ……子猫、さっさとここに住んでくれないかね……』
*****
子猫の心の声
『どうしよう……竜司さんに喜んでもらえた……!ずっと食べたい、って!!嬉しい、すごく嬉しい!!でも、ずっと、って、毎朝、って、僕、ここまで毎朝通うのかな?……だって、毎日泊まったら迷惑……だよね。……あ、でも、金曜日、泊まりに来いって言ってくれた。一週間くらい後だけど……、でも、僕のこと呼んでくれた。嬉しい。すごく嬉しい!』
112
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる