我が恋心は貴方様の背中だけでは足りません、騎士団長様

西東友一

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5 知りたくもない世界

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(どうする、どうする、どうするっ)

 気が緩めば、涙腺が緩む。
 
(くそっ、くそっ、くそっ―――)

 この状況ではなく、自分の弱さが恨めしかった。
 ローズベルトに顔向けできるように心技体を養ってきたと言うのに、これしきのことで動揺して、涙目になるだなんて、男らしくない。

(ボクの覚悟はそんなもんだったのか? 違うだろクリストファー)

「お前ら、何のようだ」

「ふっ、そんなの分かり切っているだろうが」

 歯抜けの緩い口から涎を垂らす下級兵。

「お前みたいな新人の可愛い奴にはかわいがりをするのさ」

「はっ? かわいい? かっこいいの間違いだろ?」

 歯抜けは間抜けなのだろうか。

「・・・・・・・・・」

「「「はっはっはっはっはっ!!!」」」

 大声で笑い合う下級兵たち。

(なんだ、なんなんだ?)

「やばいぜ、興奮するぜ。やっぱりオレにヤらせろ」

「はぁ!? オレが先だって博打で決めたろうが」

「まぁ、いいじゃねえか。次の晩飯の握りを分けてやるからよ、お前は握ってもらえや」

「上手くねぇんだよ、てめぇのギャグはよう」

 揉め出す下級兵。
 ハッキリ言ってバカだ。
 統率力がない。練度が足りない。
 作戦をきっちり遂行できない。

「だから、下級兵なんだよ」

「「「ああああん!!!」」」

 胸ぐらを掴み合っていた下級兵は一斉にボクを睨む。

(はっ、ボクも思わずツッコミを入れていないで逃げれば良かった)

 また、ふりだしに戻ってしまった。

「お前ら勘違いしているけれど、ボクは・・・・・・男だぞ?」

 恐る恐るボクは聞いてみた。
 女だとバレていたのであれば、ローズベルトに会ってもバレてしまうかもしれないし、男装したにも関わらず、こんなバカ共に気づかれるのであれば、ボクはとんだピエロだ。

「がははっ、そこまでは知っているのか」

「そこ・・・・・・まで?」

「男同士の楽しいことを教えてやるよ。なあに、女よりも気持ちよく仕方は分かってんだから安心しろ。何なら、手だけじゃなくて・・・・・・まぁ、これ以上は言葉は不要だな」

 俗世から離れていたこともあるけれど、どうやら家での最低限の教養は貴族以上の知識だったらしい。
 寒気がする。

(・・・・・・が、身ぐるみを剥がされてしまえば女であることがバレてしまう)

 ローズベルトの傍らにいたい。
 そのためには女とバレてしまえば叶わない。

 ボクの覚悟。
 それは揺るがない。
 ボクは女を捨てたのだ。

 自尊心も捨てたくはないが、ローズベルトに会うためならそんなものくれてやる。

(つまり、こいつらの滾った精を果てさせればいいわけだ)
 
「よし、分かった。それがお前らのやりたいことなのであれば、条件がある」

 辱めを受けたとしてもローズベルトを守る存在になるんだ。
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