【完結】鉄の掟、血の契約、愛の絆。~暴力は嫌いだが、お前の隣に立つためならばこの身を捧げよう~

西東友一

文字の大きさ
3 / 3

しおりを挟む
 朝日が昇った。

 息も絶え絶えだった。
 鼻血が固まって、肌にこびり付いて気持ち悪いし、汗もだくだくでどうにかしたいのに、身体が疲弊して動けなかった。

 そう、俺たちは負けた。
 ボコボコに負けた。
 さすがに多勢に無勢では勝てなかった。

「動けねーーーーーーっ」

 大声で叫ぶミッキー。とても、楽しそうな声だけれど、紫色の痣があったり、鼻血を出していて、まぁなんとも不細工な顔をしている。なのに、目だけはいつも通りキラキラしてやがった。

「おう」

 俺は返事をしながら、固まった鼻血を拭く。別にミッキーの無様な顔を見て、俺がミッキーを幻滅することはないけれど、俺の不細工な顔を見て、ミッキーにカッコよくないとは思われたくない。

「ふっ、不細工な顔」

 けれど、すぐにバレてしまった。

「・・・うっせ」

「シシシシッ」

 でも、ミッキーはそれが嬉しいようだった。

「いやーーー、二十人くらいはやっつけたか?」

「ばーかっ。合計でそんなにいかないだろ」

「俺が7で、えいちゃんが3?」

「逆逆、俺が7人でミッキーが3」

 俺たちも最終的にはボコボコにされたけれど、多少は善戦した。ただ
ここで倒れて朝日を迎えたのは俺たち二人だけ。やつらには肩を貸して帰る余裕がある元気な仲間がいたからだ。

「嫌――――死ぬかと思った」

「まぁ・・・・・・なっ」

 なんとか歯や骨も折れていない。きっと・・・ここからは良く見えないけれどバイクも無事だと信じている。

「なんかさ、男ってさっ、本当にいっぺんやるまで死ねるかって思うんだなっ」

 ボクサーなどが試合前禁欲すると聞いたことがある。なぜなら、性欲が満たされていると生存本能や闘争本能が鈍るらしい。多分そのことを言っているのだろう。

「まぁ・・・・・・な」

「おっ、えいちゃんが珍しいじゃん。ん?」

 あんまり下ネタは好きじゃない。だから、こういう時も聞き流していたけれど、今日は共感する気持ちが強くて返事をした。俺は重たい身体をなんとか起こして、ハイハイしてミッキーに近づき、ミッキーの顔の上からミッキーを見下ろした。

 チュッ

 俺はミッキーにキスをした。
 ミッキーは目を丸くして驚いたかもしれないが、俺は目を合わせるのが恥ずかしいと言うか、リアクションを見てしまったら気が迷ってできないと思ったから目を閉じて、その唇を味わった。カサカサで薄い唇は血がついていて、血の味がした。ミッキーも本当に

 俺はゆっくりと身体を起こす。唇が離れると、唇に余韻が残り、俺の唇がミッキーの唇を再び求めていたけれど、さすがに俺もそれ以上はできなかった。ミッキーは俺の顔を見ていたけれど、何も言わなかった。俺はもう一度寝転がり、ミッキーと一緒に青空を見た。すると、ミッキーが

「鉄の味かよ」

 と急に呟いた。

「ん?」

「だからよ、ファーストキスの味だよ」

 ミッキーはどうやら怒っていないようだ。俺はそれを聞いて、答えずにそのまま青空を見ていた。

「俺たちは・・・今、鉄で結ばれた。つまり、鉄の掟だ。いいなっ、えいちゃん。俺たちはいつでも一緒で、互いを守るんだかんなっ」

「・・・・・・ああ、ミッキー」

 俺は今不細工な顔をしているだろうけれど、当分顔を洗いたくないと思った。
 そして、ミッキーを守っていこう。
 カッコよくて、可愛くて、やっぱりカッコイイ男、三木翔太を。

「あっ、でも血の誓約の方がカッコいいかなぁ? どっちだと思う、えいちゃん」

「知らねーよ」

「おい、ひどくねーか」

「じゃあ、愛の誓いとかは?」

「キモッ。それはねぇや」

「キモッって言う方が、ひどくない?」

「ひどくねーよ。てか、なんならファーストキスを急に奪うえいちゃんの方がひどいかんね?」

「あーーー・・・」

「あーーーじゃねーよっ、あーーーじゃっ」

「「あはははは・・・・・・・・・」」

 FIN


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

幼馴染み

BL
高校生の真琴は、隣に住む幼馴染の龍之介が好き。かっこよくて品行方正な人気者の龍之介が、かわいいと噂の井野さんから告白されたと聞いて……。 高校生同士の瑞々しくて甘酸っぱい恋模様。

もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?

藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。 なんで?どうして? そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。 片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。 勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。 お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。 少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。 (R4.11.3 全体に手を入れました) 【ちょこっとネタバレ】 番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。 BL大賞期間内に番外編も完結予定です。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

王様の恋

うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」 突然王に言われた一言。 王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。 ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。 ※エセ王国 ※エセファンタジー ※惚れ薬 ※異世界トリップ表現が少しあります

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

ポメった幼馴染をモフる話

鑽孔さんこう
BL
ポメガバースBLです! 大学生の幼馴染2人は恋人同士で同じ家に住んでいる。ある金曜日の夜、バイト帰りで疲れ切ったまま寒空の下家路につき、愛しの我が家へ着いた頃には体は冷え切っていた。家の中では恋人の居川仁が帰りを待ってくれているはずだが、家の外から人の気配は感じられない。聞きそびれていた用事でもあったか、と思考を巡らせながら家の扉を開けるとそこには…!※12時投稿。2025.3.11完結しました。追加で投稿中。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

処理中です...