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朝日が昇った。
息も絶え絶えだった。
鼻血が固まって、肌にこびり付いて気持ち悪いし、汗もだくだくでどうにかしたいのに、身体が疲弊して動けなかった。
そう、俺たちは負けた。
ボコボコに負けた。
さすがに多勢に無勢では勝てなかった。
「動けねーーーーーーっ」
大声で叫ぶミッキー。とても、楽しそうな声だけれど、紫色の痣があったり、鼻血を出していて、まぁなんとも不細工な顔をしている。なのに、目だけはいつも通りキラキラしてやがった。
「おう」
俺は返事をしながら、固まった鼻血を拭く。別にミッキーの無様な顔を見て、俺がミッキーを幻滅することはないけれど、俺の不細工な顔を見て、ミッキーにカッコよくないとは思われたくない。
「ふっ、不細工な顔」
けれど、すぐにバレてしまった。
「・・・うっせ」
「シシシシッ」
でも、ミッキーはそれが嬉しいようだった。
「いやーーー、二十人くらいはやっつけたか?」
「ばーかっ。合計でそんなにいかないだろ」
「俺が7で、えいちゃんが3?」
「逆逆、俺が7人でミッキーが3」
俺たちも最終的にはボコボコにされたけれど、多少は善戦した。ただ
ここで倒れて朝日を迎えたのは俺たち二人だけ。やつらには肩を貸して帰る余裕がある元気な仲間がいたからだ。
「嫌――――死ぬかと思った」
「まぁ・・・・・・なっ」
なんとか歯や骨も折れていない。きっと・・・ここからは良く見えないけれどバイクも無事だと信じている。
「なんかさ、男ってさっ、本当にいっぺんやるまで死ねるかって思うんだなっ」
ボクサーなどが試合前禁欲すると聞いたことがある。なぜなら、性欲が満たされていると生存本能や闘争本能が鈍るらしい。多分そのことを言っているのだろう。
「まぁ・・・・・・な」
「おっ、えいちゃんが珍しいじゃん。ん?」
あんまり下ネタは好きじゃない。だから、こういう時も聞き流していたけれど、今日は共感する気持ちが強くて返事をした。俺は重たい身体をなんとか起こして、ハイハイしてミッキーに近づき、ミッキーの顔の上からミッキーを見下ろした。
チュッ
俺はミッキーにキスをした。
ミッキーは目を丸くして驚いたかもしれないが、俺は目を合わせるのが恥ずかしいと言うか、リアクションを見てしまったら気が迷ってできないと思ったから目を閉じて、その唇を味わった。カサカサで薄い唇は血がついていて、血の味がした。ミッキーも本当に
俺はゆっくりと身体を起こす。唇が離れると、唇に余韻が残り、俺の唇がミッキーの唇を再び求めていたけれど、さすがに俺もそれ以上はできなかった。ミッキーは俺の顔を見ていたけれど、何も言わなかった。俺はもう一度寝転がり、ミッキーと一緒に青空を見た。すると、ミッキーが
「鉄の味かよ」
と急に呟いた。
「ん?」
「だからよ、ファーストキスの味だよ」
ミッキーはどうやら怒っていないようだ。俺はそれを聞いて、答えずにそのまま青空を見ていた。
「俺たちは・・・今、鉄で結ばれた。つまり、鉄の掟だ。いいなっ、えいちゃん。俺たちはいつでも一緒で、互いを守るんだかんなっ」
「・・・・・・ああ、ミッキー」
俺は今不細工な顔をしているだろうけれど、当分顔を洗いたくないと思った。
そして、ミッキーを守っていこう。
カッコよくて、可愛くて、やっぱりカッコイイ男、三木翔太を。
「あっ、でも血の誓約の方がカッコいいかなぁ? どっちだと思う、えいちゃん」
「知らねーよ」
「おい、ひどくねーか」
「じゃあ、愛の誓いとかは?」
「キモッ。それはねぇや」
「キモッって言う方が、ひどくない?」
「ひどくねーよ。てか、なんならファーストキスを急に奪うえいちゃんの方がひどいかんね?」
「あーーー・・・」
「あーーーじゃねーよっ、あーーーじゃっ」
「「あはははは・・・・・・・・・」」
FIN
息も絶え絶えだった。
鼻血が固まって、肌にこびり付いて気持ち悪いし、汗もだくだくでどうにかしたいのに、身体が疲弊して動けなかった。
そう、俺たちは負けた。
ボコボコに負けた。
さすがに多勢に無勢では勝てなかった。
「動けねーーーーーーっ」
大声で叫ぶミッキー。とても、楽しそうな声だけれど、紫色の痣があったり、鼻血を出していて、まぁなんとも不細工な顔をしている。なのに、目だけはいつも通りキラキラしてやがった。
「おう」
俺は返事をしながら、固まった鼻血を拭く。別にミッキーの無様な顔を見て、俺がミッキーを幻滅することはないけれど、俺の不細工な顔を見て、ミッキーにカッコよくないとは思われたくない。
「ふっ、不細工な顔」
けれど、すぐにバレてしまった。
「・・・うっせ」
「シシシシッ」
でも、ミッキーはそれが嬉しいようだった。
「いやーーー、二十人くらいはやっつけたか?」
「ばーかっ。合計でそんなにいかないだろ」
「俺が7で、えいちゃんが3?」
「逆逆、俺が7人でミッキーが3」
俺たちも最終的にはボコボコにされたけれど、多少は善戦した。ただ
ここで倒れて朝日を迎えたのは俺たち二人だけ。やつらには肩を貸して帰る余裕がある元気な仲間がいたからだ。
「嫌――――死ぬかと思った」
「まぁ・・・・・・なっ」
なんとか歯や骨も折れていない。きっと・・・ここからは良く見えないけれどバイクも無事だと信じている。
「なんかさ、男ってさっ、本当にいっぺんやるまで死ねるかって思うんだなっ」
ボクサーなどが試合前禁欲すると聞いたことがある。なぜなら、性欲が満たされていると生存本能や闘争本能が鈍るらしい。多分そのことを言っているのだろう。
「まぁ・・・・・・な」
「おっ、えいちゃんが珍しいじゃん。ん?」
あんまり下ネタは好きじゃない。だから、こういう時も聞き流していたけれど、今日は共感する気持ちが強くて返事をした。俺は重たい身体をなんとか起こして、ハイハイしてミッキーに近づき、ミッキーの顔の上からミッキーを見下ろした。
チュッ
俺はミッキーにキスをした。
ミッキーは目を丸くして驚いたかもしれないが、俺は目を合わせるのが恥ずかしいと言うか、リアクションを見てしまったら気が迷ってできないと思ったから目を閉じて、その唇を味わった。カサカサで薄い唇は血がついていて、血の味がした。ミッキーも本当に
俺はゆっくりと身体を起こす。唇が離れると、唇に余韻が残り、俺の唇がミッキーの唇を再び求めていたけれど、さすがに俺もそれ以上はできなかった。ミッキーは俺の顔を見ていたけれど、何も言わなかった。俺はもう一度寝転がり、ミッキーと一緒に青空を見た。すると、ミッキーが
「鉄の味かよ」
と急に呟いた。
「ん?」
「だからよ、ファーストキスの味だよ」
ミッキーはどうやら怒っていないようだ。俺はそれを聞いて、答えずにそのまま青空を見ていた。
「俺たちは・・・今、鉄で結ばれた。つまり、鉄の掟だ。いいなっ、えいちゃん。俺たちはいつでも一緒で、互いを守るんだかんなっ」
「・・・・・・ああ、ミッキー」
俺は今不細工な顔をしているだろうけれど、当分顔を洗いたくないと思った。
そして、ミッキーを守っていこう。
カッコよくて、可愛くて、やっぱりカッコイイ男、三木翔太を。
「あっ、でも血の誓約の方がカッコいいかなぁ? どっちだと思う、えいちゃん」
「知らねーよ」
「おい、ひどくねーか」
「じゃあ、愛の誓いとかは?」
「キモッ。それはねぇや」
「キモッって言う方が、ひどくない?」
「ひどくねーよ。てか、なんならファーストキスを急に奪うえいちゃんの方がひどいかんね?」
「あーーー・・・」
「あーーーじゃねーよっ、あーーーじゃっ」
「「あはははは・・・・・・・・・」」
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