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9 フランソワ視点(過去の話)
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女の子が生まれた。
名前はアンナと名付けられた。
私は求めていた妹が生まれたけれど、どう接しようか決めかねていた。
(いい子なら・・・・・・うん)
とりあえず、様子を見ることにした。
「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー」
泣き顔は本当にブサイク。
そして、ウ〇コは臭いし、どこでもする。
やっぱり、お姉様と同じで品格も何もない。
「あいつ、うるさいわよね」
同族嫌悪なのか、ヘルミンの方が私よりもアンナを毛嫌いしていた。
「ええ、本当に」
なので、私は自分の理想の姉妹という関係よりも、今のヘルミンみたく姉として接しようかなと思っていた。
でも、あの日―――
「お嬢様、フランソワお嬢様」
「なに?」
「ちょっとだけ、ほんとーにちょっとだけアンナ様を見ていてくださいませ」
そう言って、もう名前も覚えていないメイドが私にお願いをしてどこかに行ってしまった。
その時、私はなんでなのってモヤモヤした。
今分析すれば、王家の、しかも歳が二桁にも満たない子どもに赤ん坊を預けるメイドなんて許さないし、即刻クビにすべきだと思ったからに違いない。とにもかくにも、私は少しそのせいで不機嫌になっていた。
だから、
「ブースっ」
ヘルミンが大人のいないところでよく私の悪口を言うから、私もドキドキしながら、アンナに悪口を言ってみた。
スリルというか背徳感が溜まらなかった。
「ほらっ」
ヘルミンみたいに私はアンナの頬をつねろうとした。でも、暴力の加減がわからないから、そーっとそっと、優しくつねると、お肌がすべすべでもちもちのほっぺは感触が良かった。
「キャッ…・・・」
寝ていたアンナが声を反応して、私はびくっとして、指を離す。
すると、
「キャッキャッキャッ」
泣くかと思ったアンナは笑い出した。
「かわいい・・・・・・」
思わず、私はアンナに釘付けになった。
「ふふっ、わたしみたいに可愛くなりなさいよ。アンナ」
私はアンナの鼻をツンツンとつつくと、
クシュンッ!!
とくしゃみをして、
「オギャ、オギャッ、オギャーーーーっ!」
とても泣かれてしまった。
「ああ、泣かれていらっしゃるっ!!」
その声を聞いたメイドが駆け寄って来て、アンナをあやすのを見て、私はそそくさとその場を離れた。
「ふふふっ」
(過度な期待はしない。けど、万が一、万が一・・・・・・ふふふっ)
結局、お父様とお母様はアンナのことを可愛がり、私を可愛がる時間は減った。もちろんヘルミンを可愛がる時間もだ。まぁ、あいつはもとから可愛がるような要素はないと思ったけれど、アレはアレで無邪気さが可愛いなんてお母様やお父様が言うこともあって、それは納得がいっていないのだけれど。
まぁ、そんなわけで、私は姉からも妹からも色々奪われるようになった。
奪う相手のアンナとヘルミン。どちらにつくかと言われれば、アンナはどんくさい上奪ってくるし、ヘルミンと一緒の時は自分の保身のためヘルミン側にいた方が居心地が良かったから、アンナとはほとんど遊んでいない。
ほとんどね、ほとんど。
たまにの、たまにだけ。
ちょっとだけ、遊んであげた。
だけど、あの子、おままごとも、お化粧も、オシャレも、歳を重ねても理解してくれないから止めた。そのくせ、一緒に遊ぼうと言ってくるから、私は冷めた態度をとっていた。
でもそう、それもほとんど。
ほんのたまにだけ、私は理想の姉妹をやれていて、これは自分がやりたいこと。
そう言い聞かせて、あの子を大事にしようと思った。
あの日を境に、あの子があんな酷いことをして、私から優しさを奪うまでは―――
名前はアンナと名付けられた。
私は求めていた妹が生まれたけれど、どう接しようか決めかねていた。
(いい子なら・・・・・・うん)
とりあえず、様子を見ることにした。
「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー」
泣き顔は本当にブサイク。
そして、ウ〇コは臭いし、どこでもする。
やっぱり、お姉様と同じで品格も何もない。
「あいつ、うるさいわよね」
同族嫌悪なのか、ヘルミンの方が私よりもアンナを毛嫌いしていた。
「ええ、本当に」
なので、私は自分の理想の姉妹という関係よりも、今のヘルミンみたく姉として接しようかなと思っていた。
でも、あの日―――
「お嬢様、フランソワお嬢様」
「なに?」
「ちょっとだけ、ほんとーにちょっとだけアンナ様を見ていてくださいませ」
そう言って、もう名前も覚えていないメイドが私にお願いをしてどこかに行ってしまった。
その時、私はなんでなのってモヤモヤした。
今分析すれば、王家の、しかも歳が二桁にも満たない子どもに赤ん坊を預けるメイドなんて許さないし、即刻クビにすべきだと思ったからに違いない。とにもかくにも、私は少しそのせいで不機嫌になっていた。
だから、
「ブースっ」
ヘルミンが大人のいないところでよく私の悪口を言うから、私もドキドキしながら、アンナに悪口を言ってみた。
スリルというか背徳感が溜まらなかった。
「ほらっ」
ヘルミンみたいに私はアンナの頬をつねろうとした。でも、暴力の加減がわからないから、そーっとそっと、優しくつねると、お肌がすべすべでもちもちのほっぺは感触が良かった。
「キャッ…・・・」
寝ていたアンナが声を反応して、私はびくっとして、指を離す。
すると、
「キャッキャッキャッ」
泣くかと思ったアンナは笑い出した。
「かわいい・・・・・・」
思わず、私はアンナに釘付けになった。
「ふふっ、わたしみたいに可愛くなりなさいよ。アンナ」
私はアンナの鼻をツンツンとつつくと、
クシュンッ!!
とくしゃみをして、
「オギャ、オギャッ、オギャーーーーっ!」
とても泣かれてしまった。
「ああ、泣かれていらっしゃるっ!!」
その声を聞いたメイドが駆け寄って来て、アンナをあやすのを見て、私はそそくさとその場を離れた。
「ふふふっ」
(過度な期待はしない。けど、万が一、万が一・・・・・・ふふふっ)
結局、お父様とお母様はアンナのことを可愛がり、私を可愛がる時間は減った。もちろんヘルミンを可愛がる時間もだ。まぁ、あいつはもとから可愛がるような要素はないと思ったけれど、アレはアレで無邪気さが可愛いなんてお母様やお父様が言うこともあって、それは納得がいっていないのだけれど。
まぁ、そんなわけで、私は姉からも妹からも色々奪われるようになった。
奪う相手のアンナとヘルミン。どちらにつくかと言われれば、アンナはどんくさい上奪ってくるし、ヘルミンと一緒の時は自分の保身のためヘルミン側にいた方が居心地が良かったから、アンナとはほとんど遊んでいない。
ほとんどね、ほとんど。
たまにの、たまにだけ。
ちょっとだけ、遊んであげた。
だけど、あの子、おままごとも、お化粧も、オシャレも、歳を重ねても理解してくれないから止めた。そのくせ、一緒に遊ぼうと言ってくるから、私は冷めた態度をとっていた。
でもそう、それもほとんど。
ほんのたまにだけ、私は理想の姉妹をやれていて、これは自分がやりたいこと。
そう言い聞かせて、あの子を大事にしようと思った。
あの日を境に、あの子があんな酷いことをして、私から優しさを奪うまでは―――
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