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本編
27話 回想と夢想
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「そういえば、ボッド王子とその兵士たちはどうしたんだい?」
クリスは思い出したかのように私に尋ねてくる。
「それはですね・・・」
私はクリスが毒矢に撃たれて気を失ったあとのことを話した。
クリスが倒れた後、兵士たちを七聖剣が倒して、ボッド王子を捕まえた。ゴウさんがボッド王子の首を刎ねようとしたけれど、私が必死に止めてしまい、クリスの判断を仰ぐということで落ち着いた。私たちラフィン家として牢屋に入れることもできず、客室に幽閉していることを伝えた。
「うん、さすがシャーロット。君の判断で間違っていないと思うよ。それで、兵士の方は?」
「兵士の皆さんは、シルヴァさんの発案で開墾作業をしてもらっているの」
私は思わず思い返して笑ってしまった。
シルヴァさんは言葉巧みにお父様と兵士に話をつけ、荒れ果てた未開の土地を兵士たちに耕すように提案した。
私たちは兵士たちに敗者のような扱いや奴隷のような扱いをせずに、ちゃんと休みと食事を提供しながら、働いてもらった。みんな、ラフィン家のご飯がおいしいと笑顔が溢れて働いてくれている。こんなに笑顔が溢れているのは、やはりシルヴァさんの演説が上手かったからだと私は思った。
「シルヴァか・・・。ふふっ、確かにあいつならうまくやってくれそうだ」
「そうなのよ、クリス・・・様には本当にいい仲間がいるのね」
私は危うくクリスのことをまた呼び捨てにしようとしてしまった。
そんな私をクリスがニヤッとしながら見る。
「何よっ」
「別に、なんでもないよ?」
「もう・・・いじわるっ」
クリスの顔がちょっと嬉しそうになって私は悔しくなる。
(けど・・・やっぱり・・・)
悪い気はしない。
それはつまり・・・私はクリスのことを・・・。
キキョウさんの顔が思い浮かぶ。
綺麗な顔をするキキョウさん。
「私、キキョウさんを呼んできます」
二人のこの瞬間をまだ味わいたい気持ちはいっぱいあるけれど、医学に乏しい私や、医療に乏しいこの国の医師たちよりも瞬時に毒を判別し、解毒薬を作れたキキョウさんを呼んでクリスの様子を見てもらわないと思った。だって、クリスの身体が心配なんだもの。
ガシッ
再び立ち上がった私の手首をクリスが握る。
「いてててっ」
急に動いたからかクリスがまた痛がるので、私は振り返る。
「もう少し・・・二人でいたいな」
ウインクしてくるクリス。
(この人は・・・)
ウインクするなんて、自分がかっこいいのがわかっているクリスが少し憎たらしい気もしたけれど、憎めないでいる私。
「もうっ、仕方ないですね」
私は嬉しくて、顔が緩んでしまいそうなのを堪えながら再び座る。
「ふふっ」
「何がおかしいんですか」
「いや・・・」
クリスは再びベットに横たわりながら天井を見る。
「幸せだなって思って」
『私もよ』
そんな言葉が喉まで出かかったけれど、私はその言葉を言わずにクリスの手を握ってあげた。
すると、クリスは安心したかのように穏やかな顔で目を閉じたので、私も微笑みながら目を閉じた。
あぁ、心地のよい昼過ぎだなぁ、と私は思った。
クリスは思い出したかのように私に尋ねてくる。
「それはですね・・・」
私はクリスが毒矢に撃たれて気を失ったあとのことを話した。
クリスが倒れた後、兵士たちを七聖剣が倒して、ボッド王子を捕まえた。ゴウさんがボッド王子の首を刎ねようとしたけれど、私が必死に止めてしまい、クリスの判断を仰ぐということで落ち着いた。私たちラフィン家として牢屋に入れることもできず、客室に幽閉していることを伝えた。
「うん、さすがシャーロット。君の判断で間違っていないと思うよ。それで、兵士の方は?」
「兵士の皆さんは、シルヴァさんの発案で開墾作業をしてもらっているの」
私は思わず思い返して笑ってしまった。
シルヴァさんは言葉巧みにお父様と兵士に話をつけ、荒れ果てた未開の土地を兵士たちに耕すように提案した。
私たちは兵士たちに敗者のような扱いや奴隷のような扱いをせずに、ちゃんと休みと食事を提供しながら、働いてもらった。みんな、ラフィン家のご飯がおいしいと笑顔が溢れて働いてくれている。こんなに笑顔が溢れているのは、やはりシルヴァさんの演説が上手かったからだと私は思った。
「シルヴァか・・・。ふふっ、確かにあいつならうまくやってくれそうだ」
「そうなのよ、クリス・・・様には本当にいい仲間がいるのね」
私は危うくクリスのことをまた呼び捨てにしようとしてしまった。
そんな私をクリスがニヤッとしながら見る。
「何よっ」
「別に、なんでもないよ?」
「もう・・・いじわるっ」
クリスの顔がちょっと嬉しそうになって私は悔しくなる。
(けど・・・やっぱり・・・)
悪い気はしない。
それはつまり・・・私はクリスのことを・・・。
キキョウさんの顔が思い浮かぶ。
綺麗な顔をするキキョウさん。
「私、キキョウさんを呼んできます」
二人のこの瞬間をまだ味わいたい気持ちはいっぱいあるけれど、医学に乏しい私や、医療に乏しいこの国の医師たちよりも瞬時に毒を判別し、解毒薬を作れたキキョウさんを呼んでクリスの様子を見てもらわないと思った。だって、クリスの身体が心配なんだもの。
ガシッ
再び立ち上がった私の手首をクリスが握る。
「いてててっ」
急に動いたからかクリスがまた痛がるので、私は振り返る。
「もう少し・・・二人でいたいな」
ウインクしてくるクリス。
(この人は・・・)
ウインクするなんて、自分がかっこいいのがわかっているクリスが少し憎たらしい気もしたけれど、憎めないでいる私。
「もうっ、仕方ないですね」
私は嬉しくて、顔が緩んでしまいそうなのを堪えながら再び座る。
「ふふっ」
「何がおかしいんですか」
「いや・・・」
クリスは再びベットに横たわりながら天井を見る。
「幸せだなって思って」
『私もよ』
そんな言葉が喉まで出かかったけれど、私はその言葉を言わずにクリスの手を握ってあげた。
すると、クリスは安心したかのように穏やかな顔で目を閉じたので、私も微笑みながら目を閉じた。
あぁ、心地のよい昼過ぎだなぁ、と私は思った。
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