あの日、確かに星を掴んだんだ

西東友一

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一度目で二度目の星との出会い

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 ブラックホールを手放した、あの日。
 
 あの日から心は放心状態になり、私の心は宇宙のどこかに行ってしまった。
 
 私の身体が弱く、居心地が悪いがために、星のカケラをブラックホールにしてしまい、ブラックホールに傷つけられた身体はいまだに動けないせいもあってか、私はぼーっと、宇宙を眺め、ブラックホールのことを思い出しては悲しくなる日々を過ごしていた。

 もう、私も宇宙と一緒になってしまおう。
 あのブラックホールのように。

 無に帰るということは、無になってしまった者達と同化するということ。
 昔はあんなにも怖かったのに、無力な私は無が相応しいのではないかと受け入れてしまっていた。

 何もしなければ、無に帰るのは分かっていた。
 けれど、宇宙には星がある。
 億千万の星々が輝いているのだ。

 宇宙にいる私にはそれが簡単に手に入るものではないことを知っている。
 月日が私を老いさせて、さらに困難にさせていることを私は知っている。
 身体が回復したとしても、その分身体能力が落ちていることを私は知っている。

 星を掴み、育みたい。

 それは夢であり欲望だ。
 それは利他であり利己だ。

 その利己的欲望が私の心を燃やした。
 私は命を削る方法を選んだ。
 命を燃やし、星を掴む選択を選んだ。

 輝くものには力がある。
 輝く力には引力がある。
 そして、私も完璧とは言えないが、捨て身になったことで輝くことができたのかもしれない。

 輝く者同士は引かれ合った。
 とはいえ、元々才能がない私が命を燃やしたとしてもその光と引力はわずか。

 でも、ちゃんと届いた。
 私は見つけた。
 届くかもしれない星たちを。

 私だけの力では届かなかったかもしれない。
 けれど、星も私に気づいてくれた。
 一生懸命だけれど、どんな星よりもくすんだ私の光に星たちも気づいてくれたのだ。

 私に気づいてくれた星もそこまで力があったわけじゃない。
 でも、お互いに全力で引きつけ合うことで、私たちは出会うことができたのだ。

 星と星が出会うということはお互いに力を発しなければならない。
 そう、私も彼らに見つけて貰える星になる必要があるのだと気づかされた。

 私は今度こそちゃんと星に出会えた。
 念願である星との出会い。
 
 星のカケラを星じゃないと否定するわけじゃないし、あの星のカケラとの出会いも辛くも大切な思い出。

 でも、星のカケラとの出会いについては私と星のカケラだけの秘密の思い出。

 だって、あんなにも嬉しく、あんなにも悲しい思い出を誰かに伝えたくないし、同じ経験をした人にしかおそらく伝わらない。
 それだけ尊く、何物にも代えがたい思い出だ。
 
 その思い出、その感情が今回の星との出会いをさらに心と震わせた。

 そう、あの出会いは無じゃない。

 あの星のカケラの輝きは、私の心の中で生きているのだ。
 
 
 
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