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「ということで、サラマンダーを討てと神が言っている。俺たちはサラマンダーを討伐に行くぞっ!!!」
他の冒険者たちにも聞こえるようにテッドがクエストの神を掲げると、他の冒険者たちがざわつく。羨望の眼差しで見る者、嫉妬する者、驚く者、半信半疑の者、どのリアクションもテッド達の自尊心を満たした。
「おい、テッド。サラマンダーは止めとけ・・・まだ、お前らには早い・・・っ。仲間を失うぞ?」
顔の片目が隠れるようにターバンをした白髪のハンマー使い。ジェコブお爺ちゃんが私たちに近づいてくる。その隠されたターバンの下には、全盛期にサラマンダーの子どもと戦った時に負った火傷でただれているのをみんな知っている。
「大丈夫だ、俺がみんなを守る」
「ヒューッ」
ギースが口笛を鳴らす。
すると、多くの夢見る若者たちがテッドの格好をつけた言葉に興奮して騒ぎ出す。困惑するジェコブお爺ちゃん。私もその言葉が上辺だけの薄っぺらい言葉であることを知っているので、ため息をつきたくなる。
「あの~」
盛り上がっているのを承知で私は手を挙げる。
「はっ、なんだ?」
睨む三人。
私の発言権を認める気はないようだ。
「あの、サラマンダー退治は無理だと思います」
空気が凍り、一気に重くなる。
ジェコフお爺ちゃんが言った時よりもさらに雰囲気は悪くなった。というか比べるまでもなく、最悪ってやつに違いない。けれど、私はサラマンダーを目の当たりにした。サラマンダーを目の当たりにして生還できた人なんて、ジェコフお爺ちゃんくらいしか見たことないし、無傷の人となれば、大昔の勇者と呼ばれた人しかいないだろう。サラマンダーからしたら、蟻が一回り大きくなったくらいの差しかないと思った。
「じゃあ、お別れだ」
「えっ」
私は三人の顔を見るが、みんなどことなく嬉しそうな顔をしていた。この人たちには話し合うとかそう言う価値観はないのだろうか。
「急に言われても・・・少しは話合・・・」
「急に言い出したのはお前の方だろう、ルーシー」
テッドを庇うようにテッドの肩に手を置いたギースは馬鹿にしたように笑う。
「えー残念だけど、仕方ないようね。バイバイ、ルーシーちゃん」
私の方が年上なのに、“ちゃん呼び”してくるレイラ。三人とも卑しいゴブリンのような笑い方をしていた。
「やっぱりさ、今度の回復師はスタイルいい女にしようぜ、テッド」
「ふっ」
「えーっ、ひどいーーーっ」
「いやいや、レイラはかわいい系だからさ。レイラが一番かわいいぜ」
もう、私の次の回復師を集める話をしているテッド・・・というか、ギース。私はレイラに脅されていたのに加え、性格の悪いレイラと男たちが揉めるのも見ていられなかったから黙っていたけれど、レイラが魅了魔法をかけたり、料理も嫌いな癖にたまに無理やり作るのは、媚薬を入れていたからだ。
薬で繋がった関係を辞めさせようともした世界線もあったけれど、ギスギスして皆不幸になっていたのを思い出して、少し気持ち悪くなった。
他の冒険者たちにも聞こえるようにテッドがクエストの神を掲げると、他の冒険者たちがざわつく。羨望の眼差しで見る者、嫉妬する者、驚く者、半信半疑の者、どのリアクションもテッド達の自尊心を満たした。
「おい、テッド。サラマンダーは止めとけ・・・まだ、お前らには早い・・・っ。仲間を失うぞ?」
顔の片目が隠れるようにターバンをした白髪のハンマー使い。ジェコブお爺ちゃんが私たちに近づいてくる。その隠されたターバンの下には、全盛期にサラマンダーの子どもと戦った時に負った火傷でただれているのをみんな知っている。
「大丈夫だ、俺がみんなを守る」
「ヒューッ」
ギースが口笛を鳴らす。
すると、多くの夢見る若者たちがテッドの格好をつけた言葉に興奮して騒ぎ出す。困惑するジェコブお爺ちゃん。私もその言葉が上辺だけの薄っぺらい言葉であることを知っているので、ため息をつきたくなる。
「あの~」
盛り上がっているのを承知で私は手を挙げる。
「はっ、なんだ?」
睨む三人。
私の発言権を認める気はないようだ。
「あの、サラマンダー退治は無理だと思います」
空気が凍り、一気に重くなる。
ジェコフお爺ちゃんが言った時よりもさらに雰囲気は悪くなった。というか比べるまでもなく、最悪ってやつに違いない。けれど、私はサラマンダーを目の当たりにした。サラマンダーを目の当たりにして生還できた人なんて、ジェコフお爺ちゃんくらいしか見たことないし、無傷の人となれば、大昔の勇者と呼ばれた人しかいないだろう。サラマンダーからしたら、蟻が一回り大きくなったくらいの差しかないと思った。
「じゃあ、お別れだ」
「えっ」
私は三人の顔を見るが、みんなどことなく嬉しそうな顔をしていた。この人たちには話し合うとかそう言う価値観はないのだろうか。
「急に言われても・・・少しは話合・・・」
「急に言い出したのはお前の方だろう、ルーシー」
テッドを庇うようにテッドの肩に手を置いたギースは馬鹿にしたように笑う。
「えー残念だけど、仕方ないようね。バイバイ、ルーシーちゃん」
私の方が年上なのに、“ちゃん呼び”してくるレイラ。三人とも卑しいゴブリンのような笑い方をしていた。
「やっぱりさ、今度の回復師はスタイルいい女にしようぜ、テッド」
「ふっ」
「えーっ、ひどいーーーっ」
「いやいや、レイラはかわいい系だからさ。レイラが一番かわいいぜ」
もう、私の次の回復師を集める話をしているテッド・・・というか、ギース。私はレイラに脅されていたのに加え、性格の悪いレイラと男たちが揉めるのも見ていられなかったから黙っていたけれど、レイラが魅了魔法をかけたり、料理も嫌いな癖にたまに無理やり作るのは、媚薬を入れていたからだ。
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