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「タイムヒールッ」
私以外の世界を回復させた。
時空が捻じ曲がる。時間が進むという絶対的な力を止めて、逆方向に進めるとなるとどうしても歪んでしまう。可愛いレイラもムンクの叫びみたいにホラーの顔になっており、テッドは逆にねじ曲がったことでマシになったかもしれない。
世界が元に戻っていく。
私は動かないけれど、時間が遡ると共に世界の方が正常になるためにその瞬間に私がいた場所になるように動いていく。
「おっ、いつものレベルアップキター。んじゃ、サラマンダーでも退治に行きますか」
私たちはギルドでテッドがサラマンダー退治のクエストを選ぶところまで戻っていた。前回と違うところは、テッドたちのレベルが33から36に上がっていることだ。
私のタイムヒールは味方の人生を楽にする。
タイムヒールを行うと私のパーティーたちはレベルが上がるのだ。
ちなみにこの効果は世界を回復した際の神からのおつりだと私は思っている。
そのことを、加護を信じない科学者ノエルに話をしたら、世界が逆方向に進む力から、正方向に進路を映した時の歪みの精算というか膨大な摩擦エネルギーみたいな物の一部がレベルとして還元されているのだと言っていた。私はその理論を“面白い”と思いつつも、神に背く行為だと思ってその考えは認められなかった。
「はぁ・・・」
膨大な力を使って疲れてしまった私はため息をつき、少しふらついてしまう。
「ふっ」
レイラが私を見て笑う。
みんなのレベルが36になっているのに私のレベルは25。今回もレベルは上がらないで差がつく私を憐れんだような目で見る。
「あなたは、本当に神に愛されているのでしょうか?ルーシー」
「おいおい、残念な子をイジメるなよ?レイラ。たとえ事実であっても・・・だっ」
ギースが笑いながら、私の肩を叩く。慰めているように見えて、一番楽しんでいるのはこの男だ。
「ため息なんてついて、試練を乗り越える意志がないからだろう」
リーダーのテッドが私を見て、ため息をつく。
このパーティーに入って3年。
私は彼らに自分のタイムヒールについては話していない。
自分の実力を正確にできないテッドは無謀な挑戦ばかりし続けてきた。腐るほどいる冒険者の中で成果を収めるには必要な時もあるかもしれないが、テッドのそれは勇者というよりも蛮人。そのたびに、私はタイムヒールを使用し、疲弊した。私が彼にタイムヒールのことを話してしまえば、調子に乗った彼はこのレベルで最終ダンジョンに潜るというかもしれない。祈る時間を与えない敵に遭遇することを考えたら、私は彼らに自分の能力を話す気にはなれなかった。
そのせいか、失敗した記憶のないテッドたちは、自分たちのレベルが上がり、ため息だけついている私だけレベルが上がらないのを見て、自分たちが神に選ばれし者だと錯覚しているのだ。
私以外の世界を回復させた。
時空が捻じ曲がる。時間が進むという絶対的な力を止めて、逆方向に進めるとなるとどうしても歪んでしまう。可愛いレイラもムンクの叫びみたいにホラーの顔になっており、テッドは逆にねじ曲がったことでマシになったかもしれない。
世界が元に戻っていく。
私は動かないけれど、時間が遡ると共に世界の方が正常になるためにその瞬間に私がいた場所になるように動いていく。
「おっ、いつものレベルアップキター。んじゃ、サラマンダーでも退治に行きますか」
私たちはギルドでテッドがサラマンダー退治のクエストを選ぶところまで戻っていた。前回と違うところは、テッドたちのレベルが33から36に上がっていることだ。
私のタイムヒールは味方の人生を楽にする。
タイムヒールを行うと私のパーティーたちはレベルが上がるのだ。
ちなみにこの効果は世界を回復した際の神からのおつりだと私は思っている。
そのことを、加護を信じない科学者ノエルに話をしたら、世界が逆方向に進む力から、正方向に進路を映した時の歪みの精算というか膨大な摩擦エネルギーみたいな物の一部がレベルとして還元されているのだと言っていた。私はその理論を“面白い”と思いつつも、神に背く行為だと思ってその考えは認められなかった。
「はぁ・・・」
膨大な力を使って疲れてしまった私はため息をつき、少しふらついてしまう。
「ふっ」
レイラが私を見て笑う。
みんなのレベルが36になっているのに私のレベルは25。今回もレベルは上がらないで差がつく私を憐れんだような目で見る。
「あなたは、本当に神に愛されているのでしょうか?ルーシー」
「おいおい、残念な子をイジメるなよ?レイラ。たとえ事実であっても・・・だっ」
ギースが笑いながら、私の肩を叩く。慰めているように見えて、一番楽しんでいるのはこの男だ。
「ため息なんてついて、試練を乗り越える意志がないからだろう」
リーダーのテッドが私を見て、ため息をつく。
このパーティーに入って3年。
私は彼らに自分のタイムヒールについては話していない。
自分の実力を正確にできないテッドは無謀な挑戦ばかりし続けてきた。腐るほどいる冒険者の中で成果を収めるには必要な時もあるかもしれないが、テッドのそれは勇者というよりも蛮人。そのたびに、私はタイムヒールを使用し、疲弊した。私が彼にタイムヒールのことを話してしまえば、調子に乗った彼はこのレベルで最終ダンジョンに潜るというかもしれない。祈る時間を与えない敵に遭遇することを考えたら、私は彼らに自分の能力を話す気にはなれなかった。
そのせいか、失敗した記憶のないテッドたちは、自分たちのレベルが上がり、ため息だけついている私だけレベルが上がらないのを見て、自分たちが神に選ばれし者だと錯覚しているのだ。
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