呪いのネックレスの効力は絶大でしたけれど、結婚前夜に妬んだ妹が奪ってくれたので婚約破棄します。

西東友一

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 シャルル王子はキッパリと妹のジャーネットのアプローチを断った。

「振り向かせたいって、振り向かなかったら?」

 ただ、そのせいでジャーネットは傷つき強がり、貴族としての言葉遣いをする余裕が無くなり、再び不遜な態度を取り出した。

 けれど、これ以上は王家に対して本当に失礼になってしまう。もう男女としての対話は終わり。問答のようなことをするにしても、王族と貴族として話をしなければならない。そうなれば、私は姉として口を出そう。

 それが私たちの家の名誉のためであり、彼女の名誉のためだ。この場を収めて、後で彼女の愚痴をしっかりと聞いて、彼女に寄り添い、傷を癒すのが姉の私の役目だ。

「ジャーネ・・・」

 私が割って入ろうとするけれど、シャルル王子が手で私を制し、目線で「大丈夫」と伝える。その瞳は優しく、そして奥が深くて、シャルル王子の気持ちがよく分からなかった。

「振り向かなかったらを考える暇があったら、ボクは振り向かせるために最善の努力をする。でも、そうだね、自分の気持ちを押し付け続けることが彼女への重みになるようなら・・・」

 シャルル王子の瞳が悲しい瞳に変わり、ジャーネットの目から、それを見ていた私と目が合う。

「うん、やっぱり分からないな。第一王子として血を絶やさないようにしなければならないから、いつか気持ちに整理をつけていい思い出にしなければならないかもしれない。でも、今は考えられない」

「ふん、優柔不断ですね」

 ジャーネットは鼻で笑ってそっぽを向いた。

(そうかしら・・・)

 でも、私は恋に誠実に感じた。
 王家ならある程度は権利で人の気持ちも捻じ曲げられる力がある。捻じ曲げた後、幸せを上書きしてしまえばいいと思っている王家、もしくは貴族だってそれなりにいるだろう。

 幸せにする自信がない、とか、そんなんだから国が揺らいでいるなんて言うこともできると思ったけれど、ジャーネットはムスッとしてそれ以上言わなかった。

 きっと、ジャーネットも私と同じようにシャルル王子の言葉が響いているのだろう。だって妹だもの。私にはわかる。

 それにその言葉は今のジャーネットに突き刺さる。振られても、振り向く努力をするのか、相手のために身を引くのか。

「ああっ!!」

 ジャーネットは横を向いたまま泣いて、大きな声を吐き出した。きっと、怒りや嫉妬を一緒に吐き出して。

「じゃあ、たんまりお金をください」

 シャルル王子の方を見たジャーネットは涙を流していたけれど清々しい顔をしていた。
 
 
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