8 / 13
5 旅立ち
しおりを挟む
「こんにちわ・・・」
サクラが古臭い扉を開けて中に入ると、日中だと言うのに部屋の中は真っ暗で湿気でカビ臭く、思わず鼻をつまみたくなったが、我慢して入っていく。部屋の中は見ずらい上に、散らかっていたけれど、サクラの身体はどう動けばいいのか覚えていた。
「おい・・・バカ弟子。二度と来るなと言っただろうが」
スキンヘッドのいかついおじさんが睨んでおり、サクラは一瞬驚いたけれど、懐かしい顔にホッとした。
「師匠・・・っ」
サクラは師匠であるボトム・ガイに泣き目になりながら抱き着く。ガイは成長したサクラの豊満な身体と香水の香りにドキッとして硬直する。
「会いたかったです、師匠。そして、助けてください」
「あぁん?」
サクラは黒竜ブラックカオスを逃がしてしまったこと、王子に3日以内にこの国から出て行けと言われていること、父親たちからも縁を切ると言われてしまったことを話した。
「それでサクラ。お前はどうするんだ」
ガイは淹れたてのコーヒーを口に入れる。私はカップを置き、ガイを真っすぐと見る。
「お願いです。テイムするモンスターをお貸しください」
ガイはカップを置いて、揺れるコーヒーを見つめて考える。そして、コーヒーが波打つのを止まるとため息をついた。
「はぁ・・・っ。よかろう。好きな奴を持って行け」
「やったっ」
サクラはパッと顔が明るくなる。
「ただし、1体だけだ。それ以上は渡せん」
ガイが人差し指を一本だけ立てて、サクラがはしゃぐのを制した。
「2体は?」
「ダメだ」
「サービスするわよ?」
「・・・ダメだ」
サクラがセクシーポーズを取ると、一瞬ガイは悩んだが、すぐに否定した。
サクラはつまらなそうに視線を下にすると、ガイの足が一本無くなっているのを見つけてしまった。
「・・・っ、師匠・・・それっ」
失礼にもほどがあるが、サクラはガイの義足の足を指さす。
「あぁ・・・これな、ちょっと冒険でしくじってな・・・」
「ちょっと、どころじゃないでしょ・・・それじゃあ・・・」
「あぁ・・・もう冒険に行くことも、新たなモンスターを手に入れることも俺にはもうできない」
サクラが言おうとしていたことを先に言うガイの顔は辛そうだった。しかし、弟子とは言え他人に言われるよりも自分で言う方が幾分か辛さがまぎれるようだった。
「まぁ、いいんだ。どーせ、歳で遠出はしんどいと思っていたころだし、加齢臭のせいかモンスターも俺に懐きずらくなってきていたしな」
自分に言い聞かせるようにガイは痛々しく、サクラは言葉が詰まった。
サクラが古臭い扉を開けて中に入ると、日中だと言うのに部屋の中は真っ暗で湿気でカビ臭く、思わず鼻をつまみたくなったが、我慢して入っていく。部屋の中は見ずらい上に、散らかっていたけれど、サクラの身体はどう動けばいいのか覚えていた。
「おい・・・バカ弟子。二度と来るなと言っただろうが」
スキンヘッドのいかついおじさんが睨んでおり、サクラは一瞬驚いたけれど、懐かしい顔にホッとした。
「師匠・・・っ」
サクラは師匠であるボトム・ガイに泣き目になりながら抱き着く。ガイは成長したサクラの豊満な身体と香水の香りにドキッとして硬直する。
「会いたかったです、師匠。そして、助けてください」
「あぁん?」
サクラは黒竜ブラックカオスを逃がしてしまったこと、王子に3日以内にこの国から出て行けと言われていること、父親たちからも縁を切ると言われてしまったことを話した。
「それでサクラ。お前はどうするんだ」
ガイは淹れたてのコーヒーを口に入れる。私はカップを置き、ガイを真っすぐと見る。
「お願いです。テイムするモンスターをお貸しください」
ガイはカップを置いて、揺れるコーヒーを見つめて考える。そして、コーヒーが波打つのを止まるとため息をついた。
「はぁ・・・っ。よかろう。好きな奴を持って行け」
「やったっ」
サクラはパッと顔が明るくなる。
「ただし、1体だけだ。それ以上は渡せん」
ガイが人差し指を一本だけ立てて、サクラがはしゃぐのを制した。
「2体は?」
「ダメだ」
「サービスするわよ?」
「・・・ダメだ」
サクラがセクシーポーズを取ると、一瞬ガイは悩んだが、すぐに否定した。
サクラはつまらなそうに視線を下にすると、ガイの足が一本無くなっているのを見つけてしまった。
「・・・っ、師匠・・・それっ」
失礼にもほどがあるが、サクラはガイの義足の足を指さす。
「あぁ・・・これな、ちょっと冒険でしくじってな・・・」
「ちょっと、どころじゃないでしょ・・・それじゃあ・・・」
「あぁ・・・もう冒険に行くことも、新たなモンスターを手に入れることも俺にはもうできない」
サクラが言おうとしていたことを先に言うガイの顔は辛そうだった。しかし、弟子とは言え他人に言われるよりも自分で言う方が幾分か辛さがまぎれるようだった。
「まぁ、いいんだ。どーせ、歳で遠出はしんどいと思っていたころだし、加齢臭のせいかモンスターも俺に懐きずらくなってきていたしな」
自分に言い聞かせるようにガイは痛々しく、サクラは言葉が詰まった。
0
あなたにおすすめの小説
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
ひきこもり娘は前世の記憶を使って転生した世界で気ままな錬金術士として生きてきます!
966
ファンタジー
「錬金術士様だ!この村にも錬金術士様が来たぞ!」
最低ランク錬金術士エリセフィーナは錬金術士の学校、|王立錬金術学園《アカデミー》を卒業した次の日に最果ての村にある|工房《アトリエ》で一人生活することになる、Fランクという最低ランクで錬金術もまだまだ使えない、モンスター相手に戦闘もできないエリナは消えかけている前世の記憶を頼りに知り合いが一人もいない最果ての村で自分の夢『みんなを幸せにしたい』をかなえるために生活をはじめる。
この物語は、最果ての村『グリムホルン』に来てくれた若き錬金術士であるエリセフィーナを村人は一生懸命支えてサポートしていき、Fランクという最低ランクではあるものの、前世の記憶と|王立錬金術学園《アカデミー》で得た知識、離れて暮らす錬金術の師匠や村でできた新たな仲間たちと一緒に便利なアイテムを作ったり、モンスター盗伐の冒険などをしていく。
錬金術士エリセフィーナは日本からの転生者ではあるものの、記憶が消えかかっていることもあり錬金術や現代知識を使ってチート、無双するような物語ではなく、転生した世界で錬金術を使って1から成長し、仲間と冒険して成功したり、失敗したりしながらも楽しくスローライフをする話です。
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
婚約破棄は良いのですが、貴方が自慢げに見せているそれは国家機密ですわよ?
はぐれメタボ
ファンタジー
突然始まった婚約破棄。
その当事者である私は呆れて物も言えなかった。
それだけならまだしも、数日後に誰の耳目げ有るかも分からない場所で元婚約者が取り出したのは国家機密。
あーあ、それは不味いですよ殿下。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる