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「なんだ、サクラ?そんなに大声を出して?お前らしくもない」
余裕の表情で見下すアレキサンダー王子。
それを見て、悔しい気持になったサクラだったけれど、ぐっと我慢して堪える。
「私が黒竜を捕まえてきますから、許していただけませんか?」
サクラが決心した顔でアレキサンダー王子を見る。
恐怖もある。けれど、その黒竜の魅力にも惹かれていたサクラはもう一度黒竜ブラックカオスに会いたいとも思っていた。
「ふん、無理だ。無能のお前には」
「・・・っ」
勇気を出して、言ったサクラ。心の奥底で転生したことをきっかけに変わりたいとも思っていたからに違いない。けれど、アレキサンダー王子の言葉に一蹴されて、前世の記憶がフラッシュバックするサクラは、暗い顔になり、顔をあげたままにいることができなかった。
「なんでもします。だから、お父様は許してくれませんか・・・?」
アレキサンダー王子はニヤッと笑った。
「なら、この国から出て行け。二度と戻ってくるな」
「え・・・っ」
「もちろん、まぁ、ガジェット。お前たちも付いて行ってもいいが・・・はははっ、そうすれば貴族とは言えんかもな」
サクラは弱った父を見る。
「父の怪我が治ったらで・・・」
「ならん」
サクラは身体が強張り、再びアレキサンダー王子を睨もうとすると、ガジェットが力を振り絞ってサクラの腕を掴む。
「・・・っ、・・・っ」
首を横に振るう。
ガジェットの目は潤んでいた。
サクラはその目を見たら、怒りの感情よりも慈しみの心が勝った。
「わかりました・・・私一人で行きます」
「・・・らんっ」
「よしっ、さぁ、行けっ!!」
ガジェットの声なんて無視して、アレキサンダー王子が立ち上がり、扉の向こうを刺す。
サクラがガジェットから離れて、立ち上がろうとする。それをガジェットが身体を起こして引き留めようとするけれど、腰が激痛が走り力が入らなくなる。
「お世話になりました・・・お父様」
サクラは精一杯笑った。それをガジェットは見送るしかなかった。
「ふふっ、いいぞ。厄介者が両方とも消えて言ってくれたわ」
アレキサンダー王子はほくそ笑む。
アレキサンダー王子は思い出す。
高名な占い師が彼の前にやって来て、黒竜ブラックカオスと婚約者サクラ・ブレンダ・ウィリアムがこの国を破滅に導く、と彼に伝えた。最初はアレキサンダー王子も最初はその占い師を疑ったが、占い師は彼の怪我を当てたり、彼女の言うとおりにしたら、外交問題が解決した。そして、
「あの娘こそあなたに相応しい娘じゃ」
占い師が指さした女性をアレキサンダー王子が見ると、一瞬でその女性に魅了された。それが、決定的だった。
その選択がこの国の未来を決めることになるとは、この時はだれも知らなかった。
余裕の表情で見下すアレキサンダー王子。
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「私が黒竜を捕まえてきますから、許していただけませんか?」
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恐怖もある。けれど、その黒竜の魅力にも惹かれていたサクラはもう一度黒竜ブラックカオスに会いたいとも思っていた。
「ふん、無理だ。無能のお前には」
「・・・っ」
勇気を出して、言ったサクラ。心の奥底で転生したことをきっかけに変わりたいとも思っていたからに違いない。けれど、アレキサンダー王子の言葉に一蹴されて、前世の記憶がフラッシュバックするサクラは、暗い顔になり、顔をあげたままにいることができなかった。
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「なら、この国から出て行け。二度と戻ってくるな」
「え・・・っ」
「もちろん、まぁ、ガジェット。お前たちも付いて行ってもいいが・・・はははっ、そうすれば貴族とは言えんかもな」
サクラは弱った父を見る。
「父の怪我が治ったらで・・・」
「ならん」
サクラは身体が強張り、再びアレキサンダー王子を睨もうとすると、ガジェットが力を振り絞ってサクラの腕を掴む。
「・・・っ、・・・っ」
首を横に振るう。
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サクラはその目を見たら、怒りの感情よりも慈しみの心が勝った。
「わかりました・・・私一人で行きます」
「・・・らんっ」
「よしっ、さぁ、行けっ!!」
ガジェットの声なんて無視して、アレキサンダー王子が立ち上がり、扉の向こうを刺す。
サクラがガジェットから離れて、立ち上がろうとする。それをガジェットが身体を起こして引き留めようとするけれど、腰が激痛が走り力が入らなくなる。
「お世話になりました・・・お父様」
サクラは精一杯笑った。それをガジェットは見送るしかなかった。
「ふふっ、いいぞ。厄介者が両方とも消えて言ってくれたわ」
アレキサンダー王子はほくそ笑む。
アレキサンダー王子は思い出す。
高名な占い師が彼の前にやって来て、黒竜ブラックカオスと婚約者サクラ・ブレンダ・ウィリアムがこの国を破滅に導く、と彼に伝えた。最初はアレキサンダー王子も最初はその占い師を疑ったが、占い師は彼の怪我を当てたり、彼女の言うとおりにしたら、外交問題が解決した。そして、
「あの娘こそあなたに相応しい娘じゃ」
占い師が指さした女性をアレキサンダー王子が見ると、一瞬でその女性に魅了された。それが、決定的だった。
その選択がこの国の未来を決めることになるとは、この時はだれも知らなかった。
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