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「いらっしゃいませ」
数名の店員さんが笑顔で私に挨拶をしてくれるので、私も会釈をする。
どなたもカケルのような傲慢さはなく、心が落ち着く感じがした。
「じゃあ、ユリさん。私は料理に取り掛かります。彼女に案内をさせますので。じゃあ、案内をよろしく」
「はい、シェフ。ではこちらへどうぞ」
(あぁ、ウィッ、シェフみたいな感じじゃないんだ)
「あっ、はい。お願いします」
私は女性に連れられて店内を歩く。
とてもシックな感じで、異世界、もしくは貴族になったような非日常観を私は味わう。
「こちらです」
「えっ」
私が案内されたのは、個室、もしくは半個室のような場所だった。
「さすがにここは…」
私は身に余ると思って、女性のスタッフを見ると、
「お気に召さなかったですか?」
心配そうな顔をさせてしまった。
「あっ、すいません。急に来た私がこんないいお部屋で食事なんてしていいのかと…」
そういうと、女性のスタッフは安堵したような顔をして、
「大丈夫ですよ。我々はお客様一人一人が幸せなひと時をお過ごしいただけるようご案内させていただいておりますので、どうかお気になさらずにお過ごしください」
そう言って、女性スタッフが深々と頭を下げたので、私は恐れ多いと思いつつもその部屋を受け入れた。
席に座ろうとすると、女性スタッフが椅子を押してくれる。
「こちらが本日のメニューです」
綺麗なハガキのようなところに11品のメニューが書かれていた。
どれも美味しそうだ。
「続いて、こちらがお飲み物のメニューでございます」
私は見せてもらうメニュー表を見る。
「んんっ」
「…大丈夫ですか?」
「えっ、ええ…っ」
いや、わかっていた。
こういうところの飲み物が高いことは。
当然水だって、良い値段をする。
ただ、たまたま目に入ったのが、年季の入ったボトルのワインだったので、その値段が、ちょっと…うん。
(そういえば…興奮して予約しちゃったけど、コースの値段ってどれくらいなんだろ?)
私も頑張って働いてきたOLだ。
それなりには頑張って今の地位があるけれど、普段食べに行くのは普通のところ。行っても、ラ・フランチェスカでカケルの社員割みたいな形で食べていたので、ある程度安くしてもらっていたと聞いている。
(ええい、貧乏根性止めて、今日は楽しむんだっ)
「キールのグラスでお願いします」
「はい、かしこまりました。よろしければ、メニューをお下げしてよろしいですか?」
「お願いします」
私が女性スタッフに手渡すと、「ありがとうございます」と笑顔で受け取って、一礼をして部屋から出ていった。
私は大きく深呼吸をする。
「よーし、楽しむぞぉ~」
私は小声で言いながら、両手で小さくガッツポーズした。
数名の店員さんが笑顔で私に挨拶をしてくれるので、私も会釈をする。
どなたもカケルのような傲慢さはなく、心が落ち着く感じがした。
「じゃあ、ユリさん。私は料理に取り掛かります。彼女に案内をさせますので。じゃあ、案内をよろしく」
「はい、シェフ。ではこちらへどうぞ」
(あぁ、ウィッ、シェフみたいな感じじゃないんだ)
「あっ、はい。お願いします」
私は女性に連れられて店内を歩く。
とてもシックな感じで、異世界、もしくは貴族になったような非日常観を私は味わう。
「こちらです」
「えっ」
私が案内されたのは、個室、もしくは半個室のような場所だった。
「さすがにここは…」
私は身に余ると思って、女性のスタッフを見ると、
「お気に召さなかったですか?」
心配そうな顔をさせてしまった。
「あっ、すいません。急に来た私がこんないいお部屋で食事なんてしていいのかと…」
そういうと、女性のスタッフは安堵したような顔をして、
「大丈夫ですよ。我々はお客様一人一人が幸せなひと時をお過ごしいただけるようご案内させていただいておりますので、どうかお気になさらずにお過ごしください」
そう言って、女性スタッフが深々と頭を下げたので、私は恐れ多いと思いつつもその部屋を受け入れた。
席に座ろうとすると、女性スタッフが椅子を押してくれる。
「こちらが本日のメニューです」
綺麗なハガキのようなところに11品のメニューが書かれていた。
どれも美味しそうだ。
「続いて、こちらがお飲み物のメニューでございます」
私は見せてもらうメニュー表を見る。
「んんっ」
「…大丈夫ですか?」
「えっ、ええ…っ」
いや、わかっていた。
こういうところの飲み物が高いことは。
当然水だって、良い値段をする。
ただ、たまたま目に入ったのが、年季の入ったボトルのワインだったので、その値段が、ちょっと…うん。
(そういえば…興奮して予約しちゃったけど、コースの値段ってどれくらいなんだろ?)
私も頑張って働いてきたOLだ。
それなりには頑張って今の地位があるけれど、普段食べに行くのは普通のところ。行っても、ラ・フランチェスカでカケルの社員割みたいな形で食べていたので、ある程度安くしてもらっていたと聞いている。
(ええい、貧乏根性止めて、今日は楽しむんだっ)
「キールのグラスでお願いします」
「はい、かしこまりました。よろしければ、メニューをお下げしてよろしいですか?」
「お願いします」
私が女性スタッフに手渡すと、「ありがとうございます」と笑顔で受け取って、一礼をして部屋から出ていった。
私は大きく深呼吸をする。
「よーし、楽しむぞぉ~」
私は小声で言いながら、両手で小さくガッツポーズした。
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