【完結】豊穣の聖女な私を捨てない方がいいと思いますよ?あっ、捨てるんですか、そうですか・・・はーい。

西東友一

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16 「人」休み

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 私の言葉はユリウスにどう響いたかわからない。
 私が自分の立ち振る舞いを恥ずかしくなっている間、ユリウスは色々と考えていたようだ。
 きっと、それは頭のいいユリウスの考えだから私には想像できない。

「わかった。ただ、一つだけ条件があるよ」

 ウインクして、顔を近づけてくるユリウス。
 私はそれを目を閉じて待つ・・・

「ダグラス、すぐに準備を」

(あっ、あれぇ?)

 私はユリウスがキスをしてくると思って、硬直しながら待ち構えていたけれど、ユリウスはダグラスに声をかけていた。その声で目を開けると、少しだけ意地悪な笑顔、だけどもいつもの余裕があるユリウスの笑顔があった。

「ユリウス王子・・・っ」

「大臣だよ、僕は。ただ・・・父親が国王なだけさ」

「「「「はっ、ユリウス様の仰せのままに」」」

 それから、私たちは馬車に乗り、再び故郷へと向かった。



 ◇◇

「いやはや、メーテル様は胆力がございますなぁ。がははははっ」

 ガサツな性格、だけど気さくな人。
 さっきまでは借りて来た猫だったようだ、きっと本来は気のいいおじ様なのだろう。

「ユリウス様があんなキョトンとした顔をしたのを俺も初めて見ました」

「「「がははははっ」」」

 てっきり兵士だと聞いていたから、自前の馬に乗って帰ると思った。けれど彼らは馬車の中にちゃっかりいて、今もこうして盛り上がっている。私に人を黙らせる魔法があれば、今すぐ三人の声を消してしまいたいと思った。

 私は人見知りなのだ。気の良さそうなおじ様方とはいえ、まだ今日会ったばかりでこの距離感(空間的・心理的)はちょっと辛い。

「僕はいいけれど、メーテルが困っているからそれくらいにしていただけるかな?御三方。じゃないと、僕は国王に会わないよ?」

 私がユリウスの顔を見ると、ちょっとユリウスも恥ずかしそうな顔をしていた。

「あっ、私をダシに使ってっ」

「はははっ、なんのことかな?」

「もうっ・・・」

 私たちは微笑み合う。
 この1年で、積み上げてきた信頼関係はちょっとやそっとのことでは崩れなかったようだ。むしろ、また一歩ユリウスとの心の距離が近くなった気がする。

「それで・・・この方々は?」

 私は改めてユリウスに聞く。

「この方々は右から順にダグラス」

「よろしくお頼み申します」

「ベータ」

「よろしく・・・」

「ホルン」

「よろしくお願いします!!」

「三人とも国王陛下の忠臣で、建国の際に武勇を上げた御三方だ。国王との付き合いも長い」

「へぇ、そうなんですね」

「今日は、御忍びってやつできたから、勲章を置いてきたが、結構あるんだぜ?これでも」

 ホルンが自慢気な顔をする。

「まぁ、一番モテたのは俺だがな・・・」

 ベータがぼそっと呟く。

「へっ、へーーー」

 私はとりあえず相槌をしておいた。
 そんな話をしていたら、あっという間に王国に着いてしまった。
 国をでるよりも早く感じたのは、行商人の馬車よりもこちらの馬車の方が速かったわけではない、私の心が変化したのだと感じた。


 





 
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