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本編 婚約破棄編(仮)
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思い立った日が吉日。
私は教会でのお手伝いが終わり、太陽が一番高くなるよりも前にお父様の部屋を訪ねて伝えた。
「エレメンタル王国に身を寄せる話。私も協力させていただきます」
私がそう告げると、お父様は目をうるっとさせて、
「おおっ、そうか」
と私の言葉をかみしめるように答えてくれた。あまりにもお父様が嬉しそうな顔をするので、次の言葉を言うのを躊躇いそうになるけれど、私のため、お父様のため、そして、みんなのために勇気を振り絞る。
「ただし、エレメンタル王国への使者は私が行きます」
「なっ」
私の手を握り締めようとしていたお父様がピタっと止まる。
「この目で、この耳で、エレメンタル王国に身を寄せるのがこの領地にとって良いのか見極めさせていただきたいです」
お父様はゆっくりと手を元の位置に戻し、私の目を見る。その目はいつもの私に向ける優しい父の目ではなく、この辺境の土地を発展させてきた敏腕領主の真剣な目で挫けそうになる。だけど、その目はお父様が私の覚悟を試しているというメッセージであるとすぐにわかった。だから、私も「私を信じて」と目で訴えた。
「はぁ・・・・・・っ」
ため息をついたのはお父様だった。
「私はこの領地から動けない」
そう言いながら、窓の外を見るお父様。未だにこちらの領地を狙っている西のエガスト王国のことを考えているのだろう。
「私自身も、手紙だけでエレメンタル王国がいい返事をくれるとは思っていなかった。彼のエレメンタル女王の心を動かすのであれば、相応の使者を派遣しなければと思うと・・・」
お父様は窓から私に目線を移した。その目は、いつものお父様の目だったけれど、少し頼りなく困った顔をしていた。
(今だわっ)
私は今こそ私がお父様に恩返しをするチャンスだと思った。
「任せてよ、お父様っ。私ももう、16歳。完璧にこなして見せるわ!」
私は自分の胸を叩いた。
「ミシェルっ」
お父様が私を抱きしめてくれた。温かくて、一番頼りになって、安心できるお父様の胸。こんなに落ち着ける場所は古今東西ないだろう。
「ミシェルは傷ついていることに気づいていないかもしれないが、私にはわかる。キミが傷ついていることを。そんな娘に安息を与えてやるのが本来の親の務めなのに、それができない・・・自分の無力さが・・・憎い」
歯を食いしばっているお父様。お父様が言うなら、傷ついているかもしれない。でも、今のお父様の方がもっと傷ついているように感じた。
「何を言っているんですか、お父様。私は十分な愛情をお父様から貰いました。それに、私たちは家族でしょ? たまには娘にいいところ見せるチャンスをちょうだい」
私がそう伝えると、
「大きくなったな・・・・・・ミシェル」
と髪を撫でてくれた。最初は優しかったけれど、徐々に私の髪で遊ぶお父様。
「ちょっと、犬じゃないんだからっ」
「あぁ、そうだな」
そう言いながらも、お父様は止めてくれない。昔の私だったら、くすぐったくて笑ったけれど、今はもうそんな歳じゃない。そろそろお父様にも子離れしてもらわないと、と思って、上を向くと、
「あぁ・・・・・・本当にかわいいーなぁーーーっ」
お父様は満面の笑みで泣いていた。
私は教会でのお手伝いが終わり、太陽が一番高くなるよりも前にお父様の部屋を訪ねて伝えた。
「エレメンタル王国に身を寄せる話。私も協力させていただきます」
私がそう告げると、お父様は目をうるっとさせて、
「おおっ、そうか」
と私の言葉をかみしめるように答えてくれた。あまりにもお父様が嬉しそうな顔をするので、次の言葉を言うのを躊躇いそうになるけれど、私のため、お父様のため、そして、みんなのために勇気を振り絞る。
「ただし、エレメンタル王国への使者は私が行きます」
「なっ」
私の手を握り締めようとしていたお父様がピタっと止まる。
「この目で、この耳で、エレメンタル王国に身を寄せるのがこの領地にとって良いのか見極めさせていただきたいです」
お父様はゆっくりと手を元の位置に戻し、私の目を見る。その目はいつもの私に向ける優しい父の目ではなく、この辺境の土地を発展させてきた敏腕領主の真剣な目で挫けそうになる。だけど、その目はお父様が私の覚悟を試しているというメッセージであるとすぐにわかった。だから、私も「私を信じて」と目で訴えた。
「はぁ・・・・・・っ」
ため息をついたのはお父様だった。
「私はこの領地から動けない」
そう言いながら、窓の外を見るお父様。未だにこちらの領地を狙っている西のエガスト王国のことを考えているのだろう。
「私自身も、手紙だけでエレメンタル王国がいい返事をくれるとは思っていなかった。彼のエレメンタル女王の心を動かすのであれば、相応の使者を派遣しなければと思うと・・・」
お父様は窓から私に目線を移した。その目は、いつものお父様の目だったけれど、少し頼りなく困った顔をしていた。
(今だわっ)
私は今こそ私がお父様に恩返しをするチャンスだと思った。
「任せてよ、お父様っ。私ももう、16歳。完璧にこなして見せるわ!」
私は自分の胸を叩いた。
「ミシェルっ」
お父様が私を抱きしめてくれた。温かくて、一番頼りになって、安心できるお父様の胸。こんなに落ち着ける場所は古今東西ないだろう。
「ミシェルは傷ついていることに気づいていないかもしれないが、私にはわかる。キミが傷ついていることを。そんな娘に安息を与えてやるのが本来の親の務めなのに、それができない・・・自分の無力さが・・・憎い」
歯を食いしばっているお父様。お父様が言うなら、傷ついているかもしれない。でも、今のお父様の方がもっと傷ついているように感じた。
「何を言っているんですか、お父様。私は十分な愛情をお父様から貰いました。それに、私たちは家族でしょ? たまには娘にいいところ見せるチャンスをちょうだい」
私がそう伝えると、
「大きくなったな・・・・・・ミシェル」
と髪を撫でてくれた。最初は優しかったけれど、徐々に私の髪で遊ぶお父様。
「ちょっと、犬じゃないんだからっ」
「あぁ、そうだな」
そう言いながらも、お父様は止めてくれない。昔の私だったら、くすぐったくて笑ったけれど、今はもうそんな歳じゃない。そろそろお父様にも子離れしてもらわないと、と思って、上を向くと、
「あぁ・・・・・・本当にかわいいーなぁーーーっ」
お父様は満面の笑みで泣いていた。
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