家柄が悪いから婚約破棄? 辺境伯の娘だから芋臭い? 私を溺愛している騎士とお父様が怒りますよ?

西東友一

文字の大きさ
23 / 38
本編 婚約破棄編(仮)

20 ウォーリー伯爵視点

しおりを挟む
 
 あぁ、ミシェル。

 かわいい、ミシェル。



 目に入れても痛くないし、私が死んで彼女が幸せになるのであれば、喜んでこの命を差し出そう。ずーっと、手元に置いておきたい。ミーシャと私の愛の結晶。どことなく、ミーシャの面影を感じることで、ミーシャは確かに生きていたと実感できる。少しやんちゃをしていた頃の私に似たのか、行動力があるのが恐ろしいが、ちゃんといい子に育っていて、思いやりがあるところがとても素敵だ。周りのみんなも協力はしてくれたけれど、それでも親は私一人。しっかりしないと、と思って育ててきたけど、まーーー、本当に可愛い。本当に親になれてよかった。

 でも、ミシェルの幸せが一番嬉しい。
 幸せそうな顔をしているミシェルの顔が大好きだ。
 だから、彼女が幸せを求めるなら背中を押したい。

 今、彼女は成長しようとしている。
 そして、飛び立とうとしている。
 飛び立ったら、レオナルド王子に折られかけた。でも、それにも負けずにミシェルは飛ぼうとしている。その翼を休めろと言うべきか、それとも応援するべきか。

 昔、ミシェルが転んだ時、私がミシェルを助けようとしたときにミーシャが怒った。なぜ、自分で頑張ろうとしている時に手を差し伸べようとするの、と。「だって、かわいいんだもん」と言うと、少し拗ねたミーシャの顔が忘れられない。

 あぁ、ミシェルの成長をミーシャと見たかった。やっぱり、ミシェルを手元に置きたいのは自分のためかもしれない。ミシェルまでいなくなったら、私が生きる意味なんてなくなってしまうだろう。

(でも、ミシェルが帰ってくる場所はここだ)

 ミシェルが疲れた時、悩んでいる時でもなんでもいい、彼女の心の拠り所を作っておくのが私の役目。



「さぁ、行っておいで。ミシェル」

「はいっ」

 朝日に包まれたミシェルの笑顔はやっぱり女神のようだ。心が洗われるような気持ちになった。この子には悲しい顔は似合わない。絶対に幸せになって欲しい。

「頼んだぞ、アーサー。何があってもミシェルを守るんだぞ」

 私がそう言うと、アーサーは片膝をつき、右手の拳と左手の手のひらを合わせ、

「はっ。この、アーサー。この身に変えても姫様をお守りいたします」

 と、答えてくれた。一時、アーサーはミシェルを好きなんじゃないかと疑ったこともあり、ミシェルを遠のけたこともあったが、アーサーは立派な騎士になりたいと私とミシェルに忠義を誓った。少し荒くれ者な部分もあるが、この戦も多い辺境の地でやっていくには、それぐらいの野性味もあるくらいがいいのかもしれない。

「じゃあ、行ってきます」

 二人はそれぞれの馬に乗って、朝日の向こうへと向かった。ミシェルの隣に誰かがいるのを見て、あれが自分だったらな、と思ったけれど、彼女の隣にいるべきはこれから未来を切り開いていくべき人間なのだと自分に言い聞かせた。

「いや、アーサーはダメだ。あんなハナタレ小僧にミシェルは渡さん。旅の途中でミシェルに手なんか出したら・・・・・・ああああああああっ!! ぜったい、即刻追放だああああっ!!」

 アーサーが成長したのは私もわかっている。けれど、そんな旅の途中で手を出すなんてことをしたら、許さん。

「ちゃんと、順序をつんで、まず、ミシェルを恋愛対象と見させてもらいますと、私に宣言をして・・・それからだ」

『そんな恋愛、貴方が言いますか?』

 私は懐かしく、愛おしい声が隣から聞こえた気がして、バッと隣を見る。すると、太陽の光が形を成して、ミーシャになっていた・・・・・・・・・ように感じた。

 そうだ。

 私の隣には、心の中には、ミーシャがいる。

「これから、忙しくなる。墓にでも行ってくるか」

『まだ来ちゃだめだよ、ウォーリー』

 小鳥の鳴き声で騒がしかったけれど、先ほどよりもはっきりとミーシャの声が聞こえた。私この領地の未来を委ねたミシェルに背を向けて、この領地の今を守るために屋敷へと向かった。

 

 
 

 
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

新しい聖女が優秀なら、いらない聖女の私は消えて竜人と暮らします

天宮有
恋愛
ラクード国の聖女シンシアは、新しい聖女が優秀だからという理由でリアス王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。 ラクード国はシンシアに利用価値があると言い、今後は地下室で暮らすよう命令する。 提案を拒むと捕らえようとしてきて、シンシアの前に竜人ヨハンが現れる。 王家の行動に激怒したヨハンは、シンシアと一緒に他国で暮らすと宣言した。 優秀な聖女はシンシアの方で、リアス王子が愛している人を新しい聖女にした。 シンシアは地下で働かせるつもりだった王家は、真実を知る竜人を止めることができない。 聖女と竜が消えてから数日が経ち、リアス王子は後悔していた。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!

近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。 「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」 声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。 ※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です! ※「カクヨム」にも掲載しています。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。

ムラサメ
恋愛
​「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」 ​婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。 泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。 ​「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」 ​汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。 「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。 ​一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。 自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。 ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。 ​「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」 ​圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...