【9話完結】お茶会? 茶番の間違いでしょ?『毒を入れるのはやり過ぎです。婚約破棄を言い出す度胸もないなら私から申し上げますね』

西東友一

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「なっ何をおっしゃっているのですか、お姉様?」

 慌てた振りをすりけれど、嬉しそうな顔をする妹のリューネ。
 お父様もお母さまも、国王や王妃、そしてカイザーの兄弟も驚いている。

「失礼します」

「そっそれは、本当に失礼であるぞっ!?」

 カイザーが私を引き留めようと腕を掴むので、私は彼の顔を見た。

(ああ、終わりました)

 隠し切れない喜びの顔。

 今まで結婚式を急ぐようにと言っていたカイザー。こころのどこかで、それが本心で、毒を盛るというのが嘘で私へのサプライズをリューネと企画しているんじゃないのかと淡い期待をしておりましたが、見たまま、感じたままのとおりだったようです。

「離してください」

 私は彼の腕を払って出口へと急いで歩いていく。
 


 だって・・・泣いたら、みじめじゃないですか?
 


「待てと言ってるだろうがっ!!」

 けれど、腕を払われたことが屈辱に感じたカイザーは顔を真っ赤にして、紅茶のポットを無造作に掴み私のところにやってきました。

「何をっ!?」

「うるさいっ!!」

 私は後ろから抑えつけられ、彼の左手で鼻をつままれて、右手に会った紅茶のポットを無理やり口に入れられました。私は紅茶に毒が入っていたことを知っていたので必死に拒みましたが、訓練をしているカイザーの力に勝てず、彼の兄弟やお父様がカイザーを抑えるまでに中身を飲んでしまいました。

「うっ・・・・・・」

「スノウッ!?」

 お母様が呼ぶ声が聞こえましたが、私は喉の腫れと激しい吐き気と全身が針で刺されたような痛みと高熱に答えることができませんでした。

(私・・・・・・死んじゃうの?)

 死にたくない。
 瞼の裏に浮かんでくるのが、浮かれる妹のリューネとカイザーが満面の笑みで仲良く肩を寄せ合っている姿。
 こんな・・・人生なんて・・・・・・・・・

「これを飲んでっ!!」

 意識の遠くで澄んだ声が遠くで聞こえた。でも、妹にも婚約者にも裏切られた私が誰を信じればいいのよ・・・。

(それに、もうそんな力・・・残って・・・・・・な・・・い・・・)

 水・・・滴・・・

 唇に何かが触れる。固形物だけど粉っぽさも・・・

(また・・・毒? でもそれはそれで・・・)

 痛みはまだある。それなら、いっそのことこと早く死ねる方が気楽なものだ。

「生きてくださいっ!! スノウ!!」

 お父様でも、お母様でもないその声。強いて言えば・・・カイザー?

(って、殺そう・・・としている人が生きろなんて言うわけないじゃない)

「御免っ!!」

 唇に何かが触れる。今度触れたものは、温かくて、柔らかくて・・・。その感触は心地よくて痛みを忘れその感触のことで頭がいっぱいになる。そして、液体と共に先ほどの固形物が口の中に入って来た。

 ゴクッ

 先ほどは必死に抵抗したけれど、今度は全てを受け入れた。

 
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