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1 望んだ出会い
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待ち望んでいた再会は
出会った瞬間、絶望へと変わった。
会いたくてたまらなかったお父さま——ローレンス・マクスウェル公爵。
(どうしてなの……)
ようやく会えたお父さまは、前世、私と一緒に命を絶った恋人だった。
◇◇◇
「リディアお嬢様、八歳のお誕生日おめでとうございます!」
それは八歳の誕生日。
私は、とある事情により両親と離れ、乳母のノエル、メイドのジャスミン、使用人のジョンと、領地の最果てにある別邸で暮らしていた。
今日は私の誕生日を祝う為、ノエルとジャスミンが豪華な料理を作ってくれた。美味しそうな料理が並べられたテーブルの中央には、これまで見たことのない大きさのケーキが置かれている。
「うわぁ……」
大きくて丸いケーキには、色とりどりのクリームでデコレーションされていた。
「先に料理をいただきましょう。ケーキはその後です」
私が、待ちきれないとばかりに急いで食事を終えると、ジャスミンは笑いながら「では、ロウソクに火を灯しますね」と円を縁取るように立てられた八本のロウソクに火を灯した。
これから私は、歳の数のロウソクの火を吹き消すのだ。
一息で吹き消すことができれば、心に念じた願いが叶う。これは、古くからある誕生日のおまじないに過ぎないのだけれど。
私は、叶うと信じている。
ジャスミンが、一つ一つロウソクに火を灯していくのを、少し緊張しながら待っていると、ノエルが私の肩に手を添えた。
「いいですかリディアお嬢様。願いごとを心に強く念じながらロウソクの火を一息に吹き消すのですよ」
「うん!」
残念ながら昨年も、その前の年も吹き消すことはできていない。
だから、私の願いはかなえられないのかな。
——私の願いは、毎年同じ。
離れて暮らすお父さま、お母さまに会いたい。一緒に暮らしたい、ただそれだけ。
本当に、願いはただそれだけ………。
「がんばる……」
ぎゅっとこぶしを握り、気合を入れる。
大丈夫、八歳になった私は去年よりも大きいから。
(ケーキも去年より大きい気がするけど、きっと吹き消すことができるはず!)
すっと大きく息を吸い、頬をパンパンに膨らませた。
すぐにロウソクの火をめがけ、ぶうっと息を吹きかけて——。
「リディアお嬢様~!」
ジャスミンの声援に応えようと、がんばって吹いたけど、残念ながら一本だけ残ってしまった。
「ううっ……」
がんばったのに……。
今年もダメだった。
「ああ、ごめんなさいお嬢様。ケーキが大きすぎたのよ」
ジャスミンが肩を落とす。
誕生日のケーキは、両親と会うことができない私を気遣い、寂しい思いをしないようにとジャスミンがどこよりも大きなケーキを焼いてくれていた。
「ジャスミンのせいじゃないわ」
ロウソクの火が消せなかったのは私の息が足りなかったせい。ジャスミンのせいじゃないのに、
「もう少しロウソクを寄せて立てればよかったのよ、私のバカ」
ジャスミンは私が悪いと呟いた。
「大丈夫よ、私の誕生日はまた来年もあるもの。それに大きいケーキのほうが嬉しいから!」
ジャスミンを悲しませたくなくて、私は明るく笑ってみせた。それから、もう一度息を吸って残った一本のロウソクの火を消した。
「八歳おめでとう、リディアお嬢様」
パチパチと手を叩き、ジョンが花束をプレゼントしてくれた。
「来年はもっと大きなケーキを作ります。そして、ロウソクは端に寄せます」とジャスミンが声を弾ませる。
和やかな笑い声に包まれる。
(みんながそばにいてくれる。私は幸せだわ)
ノエルはケーキを切り分け、特別な日に使う薔薇の花模様の皿に盛ると、私の前に置いた。
「すごくキレイ、おいしそう!」
ケーキの皿を並べ終え席に着くと、ノエルが真剣な顔をした。
「リディアお嬢様、ケーキを食べる前に私から大切なお話があります」
「…………はい」
ノエルがこんな顔をするということは、きっと楽しい話じゃない。
嫌な予感に、思わず身がすくんだ。
出会った瞬間、絶望へと変わった。
会いたくてたまらなかったお父さま——ローレンス・マクスウェル公爵。
(どうしてなの……)
ようやく会えたお父さまは、前世、私と一緒に命を絶った恋人だった。
◇◇◇
「リディアお嬢様、八歳のお誕生日おめでとうございます!」
それは八歳の誕生日。
私は、とある事情により両親と離れ、乳母のノエル、メイドのジャスミン、使用人のジョンと、領地の最果てにある別邸で暮らしていた。
今日は私の誕生日を祝う為、ノエルとジャスミンが豪華な料理を作ってくれた。美味しそうな料理が並べられたテーブルの中央には、これまで見たことのない大きさのケーキが置かれている。
「うわぁ……」
大きくて丸いケーキには、色とりどりのクリームでデコレーションされていた。
「先に料理をいただきましょう。ケーキはその後です」
私が、待ちきれないとばかりに急いで食事を終えると、ジャスミンは笑いながら「では、ロウソクに火を灯しますね」と円を縁取るように立てられた八本のロウソクに火を灯した。
これから私は、歳の数のロウソクの火を吹き消すのだ。
一息で吹き消すことができれば、心に念じた願いが叶う。これは、古くからある誕生日のおまじないに過ぎないのだけれど。
私は、叶うと信じている。
ジャスミンが、一つ一つロウソクに火を灯していくのを、少し緊張しながら待っていると、ノエルが私の肩に手を添えた。
「いいですかリディアお嬢様。願いごとを心に強く念じながらロウソクの火を一息に吹き消すのですよ」
「うん!」
残念ながら昨年も、その前の年も吹き消すことはできていない。
だから、私の願いはかなえられないのかな。
——私の願いは、毎年同じ。
離れて暮らすお父さま、お母さまに会いたい。一緒に暮らしたい、ただそれだけ。
本当に、願いはただそれだけ………。
「がんばる……」
ぎゅっとこぶしを握り、気合を入れる。
大丈夫、八歳になった私は去年よりも大きいから。
(ケーキも去年より大きい気がするけど、きっと吹き消すことができるはず!)
すっと大きく息を吸い、頬をパンパンに膨らませた。
すぐにロウソクの火をめがけ、ぶうっと息を吹きかけて——。
「リディアお嬢様~!」
ジャスミンの声援に応えようと、がんばって吹いたけど、残念ながら一本だけ残ってしまった。
「ううっ……」
がんばったのに……。
今年もダメだった。
「ああ、ごめんなさいお嬢様。ケーキが大きすぎたのよ」
ジャスミンが肩を落とす。
誕生日のケーキは、両親と会うことができない私を気遣い、寂しい思いをしないようにとジャスミンがどこよりも大きなケーキを焼いてくれていた。
「ジャスミンのせいじゃないわ」
ロウソクの火が消せなかったのは私の息が足りなかったせい。ジャスミンのせいじゃないのに、
「もう少しロウソクを寄せて立てればよかったのよ、私のバカ」
ジャスミンは私が悪いと呟いた。
「大丈夫よ、私の誕生日はまた来年もあるもの。それに大きいケーキのほうが嬉しいから!」
ジャスミンを悲しませたくなくて、私は明るく笑ってみせた。それから、もう一度息を吸って残った一本のロウソクの火を消した。
「八歳おめでとう、リディアお嬢様」
パチパチと手を叩き、ジョンが花束をプレゼントしてくれた。
「来年はもっと大きなケーキを作ります。そして、ロウソクは端に寄せます」とジャスミンが声を弾ませる。
和やかな笑い声に包まれる。
(みんながそばにいてくれる。私は幸せだわ)
ノエルはケーキを切り分け、特別な日に使う薔薇の花模様の皿に盛ると、私の前に置いた。
「すごくキレイ、おいしそう!」
ケーキの皿を並べ終え席に着くと、ノエルが真剣な顔をした。
「リディアお嬢様、ケーキを食べる前に私から大切なお話があります」
「…………はい」
ノエルがこんな顔をするということは、きっと楽しい話じゃない。
嫌な予感に、思わず身がすくんだ。
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