まどマギのワルプルギスの夜について

aruna

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2022年6月22日

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 前回の考察の結論として「ワルプルギスの夜はほむらの願望を叶える事が存在意義」と結論づけたが。
 そう仮定すると自分の中で新しい解釈が生まれたので思いつきを纏めて見ようと思う。

 先ず今回のテーマから、それは

 円環の理の超解釈。

 何が言いたいかと言うと、まどかとほむらは、神と主人公という役割をループしているのでは無いかという可能性だ。

 例えるなら、まどかはアニメの最後にて魔法少女として契約し、神となった。

 だけどそれが実は、円環の理に於いて予定調和されていた出来事であり、まどかは最初から神で、劇中の全てを操っていて、我々が観測していたのはまどかが作り出した分身の一部なのでは無いかという可能性だ。

 まどかは「過去と未来の全ての魔女を否定する」概念であり、神だ、だとするのならば、進撃の巨人のように、最初から未来から干渉を受けたかのような伏線が存在していてもいい、少なくともシュタゲにはその伏線があったし、後発のまどマギがそこを踏襲しない理由も無いのである。

 これはFateで例えると分かりやすいか。

 皆が認識しているまどマギの物語は、Fateに於ける英霊エミヤの物語がまどマギ本編に当たる。
 英霊エミヤは守護者になった時点で人の理から外れ、その過去は永遠に不可侵にして存在しないものとなった。
 だから英霊エミヤが既に存在している事で、衛宮士郎は絶対に英霊エミヤにはならないというある種矛盾した現象が発現する。

 その例に沿って考えれば、まどマギ本編は正しくFateにおける英霊エミヤの物語に該当するような話に見える。

 だが、まどマギの再構築後の世界には、まどかが存在しないという矛盾が存在する。
 本来ならば、まどかが神になったからと言って、最初からワルプルギスの夜が無かったら事になるのならば、まどかが契約する理由も無くなり、Fateのように二重で存在する事が出来てもいい。
 それが、平行世界に於ける一つの可能性からまど神が生まれ、新たな世界へと再構築がなされたのなら、まどかの存在が消える事の方が矛盾しているのだ。

 魔女の消滅により、まどかが契約するという事象、過去も消滅する。

 であればその辻褄合わせは

 1.平行世界のまどかがやった

 2.まど神が自分の都合のいい様な世界に歴史ごと改竄した

 という、2つの時系列の流れでしかなし得ない事になるが。

 だが、既にまどかの存在が抹消されている為に1の平行世界という可能性は低い
 これにさらに付随して考えるなら、ほむらの行っていたループとは、平行世界を移動するような物ではなく、テープを巻き戻すように同じ世界を繰り返すというものになる。

 そして、同じ世界を繰り返す事と、平行世界を移動する事による違い、それはループ観測者が、全く同じ地点に回帰できるかどうかという点にある。

 平行世界は無限の可能性を内包しているので、ループ観測者に観測されなかったとしても、その世界は存在し続け、シュタゲゼロとシュタゲのように、自分の知らない自分が自分を手助けするような現象も起こりうる。

 しかし巻き戻しのループには、ループ観測者が見たものしか観測されず、世界に「続き」が存在しない。

 だから仮にまどかが神になって、ほむらがそれを拒んでもう一度巻き戻したとしたら、「過去を改変」したはずのまど神の存在の方が消えるという話になるのだ。

 これはつまり歴史改変のダブルブッキングであり、恐らくは円環の理という上位の物理法則、摂理に位置するまど神に優位制がある可能性が高いが、だが、仮にほむらの力がまどかを上回った場合においては、ほむらがまどかの存在を覆すという事も可能になる。
 そもそも、魔女の存在が消えたのにほむらが魔法少女のままでいる事こそ矛盾している。
 だからこの巻き戻しのループから、一つの結論が導き出す事が出来る。

 それは前回の
「ワルプルギスの夜とは、暁美ほむらの願望を叶える為に生まれた存在」
 とした事から生まれる可能性から。

 ワルプルギスの夜が平行世界の暁美ほむらが生み出したという可能性を除外出来る事を意味し(Fateにおける英霊エミヤのような存在では無いという事)

 そしてそれはすなわち、ワルプルギスの夜が過去か未来、同じ時間軸上に存在するどちらかの暁美ほむらから生まれたものであるという結論になる訳だ。

 ここまで来ればほぼ、ワルプルギスの夜の核心に近づいたと言って間違いないだろう。

 ここから考えられるワルプルギスの夜の正体の可能性は二つだ。


 1.未来、純粋に悪魔ほむらが過去に送り込んだ、過去の暁美ほむらという時間軸を引き伸ばし、延命させるために作り出したもの。

 まど神の存在は過去と未来の全てに干渉する概念であり、無限で、無限であるが故に暁美ほむらはその最期の時までまどかに会えず、そしてそこで永遠の別離をする事になってしまう。
 だからこそ悪魔ほむらは、まど神の無限に拮抗させる為に、自身の過去を無限に極限まで近い数まで引き伸ばすことにした。
 これはほむらのループ回数が不明であるが故にできるこじつけではあるが、まど神が無限だからこそ、ほむらは自分も無限に極限まで近い時間を繰り返す為に、ワルプルギスの夜を差し向けるという構図は、対比としてはとても妥当なものであり、可能性として有り得る話だろう。
 少なくとも、舞台装置の魔女という名称とは、これ以上なく合致した役割にも思える。


 では逆に
 2.過去、これは本編の時間軸とはまど神の作り出した観劇であり、ワルプルギスの夜とは、「まどマギ本編で一単位のループ」として考えた際に、前回のループの時点から既に存在していた存在という可能性だ。

 これは、まど神とほむらの過去改変のダブルブッキングという矛盾から考えられる話になるので少しややこしく、自分でも上手く纏められるかは分からないが。
 取り敢えず結論だけ言わせてもらうと、初めに、まど神と悪魔ほむらという二柱の神が存在しており、二人は最初から円環の理という概念であって、劇中におけるまどかとほむらは、その分身、もしくは人格だけ模倣した人形のような存在であるという話だ。

 なぜ、本編開始前からまどかと悪魔ほむらが存在する必要があるのか、という話だが。

 繰り返しになるが、まどマギ本編は平行世界では無く、巻き戻しのループである。

 だからこそ、過去に干渉するまど神と過去改編をするほむらが同時に力を行使した場合に、「既に存在していて、過去にまで影響を及ぼしているはずの存在が消失」し、そして「過去が改変されて、魔法少女になる因果が消えたのに過去が改変されない」という矛盾が生まれる。

 つまり、「ほむらの巻き戻しで、「円環の理」が無かった事になるのか」
 まど神の存在で「ほむらが魔法少女になる運命はどうして変わらないのか」

 という矛盾。

 平行世界ならば、それは別世界の出来事であり、運命だったから、現在の自分とは無関係という話だが、巻き戻しのループだと、過去改変のダブルブッキングにより矛盾が生じるのである。

 変わるはずの無いものが変えられて、変わるはずの物が変わらないという矛盾。

 それを説明づける一つの解答として、最初から円環の理も、悪魔ほむらも存在していた。
 だからループによって巻き戻した所で行き着く先にまど神は存在するし、悪魔ほむらという結末にも帰結する。

 要約すると、劇中は「まどマギ本編を一単位とするループ」の中に存在していて、まど神と悪魔ほむらの誕生が、結末であり始まりであるとする考え方だ。

 だからこそ、ほむらの魔法少女化は不変のものであるし、同じくまどかの神化も決して覆せないが故に、ほむらは何度巻き戻しても結末にたどり着けないものになっているという考え方だ。

 こちらにおけるワルプルギスの夜の役割とは、ほむらを追い詰めて悪魔ほむらに覚醒させるほどの意志を育む事であり、ほむらを育てる存在だと考えられるだろう。

 そしてその場合においては、ワルプルギスの生みの親は悪魔ほむらだけではなく、まど神も、ほむらの存在ごと自分を諦めさせる為の尖兵として、ワルプルギスの生みの親という可能性が浮上する。

 実は今回の考察は、ワルプルギスの生みの親がまど神なのでは無いかという可能性に思いいたり、今回の説を纏めようと思ったのである。

 まどかは救済の魔女という姿があり、まど神は概念なので魔女化するのかは不明だが、可能性の一つとして有り得ない話では無いだろう。

 なぜ、ワルプルギスの夜を作り出したのがまど神になるのかというと。

 まど神は未来と過去全てに干渉する神であり、万物を従わせる円環の理という概念である。
 だからこの説に則るのならば、魔女が存在していた過去にも、まど神の存在は既に有る物として考えなければならない。

 しかしこれは、パラレルワールドである事を否定したまどマギ世界に於いては、存在を否定された未来の存在が過去にいるという矛盾を孕む。

 だから、暫定の解決案として、まどマギ世界は観劇の劇中劇のような物であるとして、本編のお話を延々とループしているのでは無いかという仮定で、一先ずの辻褄を合わせるとする。

 だとするのならば、ワルプルギスの夜正体における選択肢は、結末にして始まりの存在である悪魔ほむらが生み出したもの、そしてまど神が生み出したもの、という二通りの選択肢しか無い。

 なぜ魔女を殺す概念である筈のまど神がワルプルギスの夜を生み出す必要があるのかという話なのだが。

 これはあくまで参考例として聞いて欲しい。



 1.まど神が穢れを貯めて魔女化して、ワルプルギスの夜が誕生する

 2.最強の魔女であるワルプルギスの夜は、まど神にしか倒せないので、世界が滅びる

 3.そうならない為に、ほむらのループ、もしくはワルプルギスの夜を過去に送り込む事で、過去のまど神にワルプルギスの夜を倒してもらう



 という循環構造の完成である。

 未来の存在であるまど神の未来の姿であるワルプルギスの夜が過去に干渉する事は、矛盾しているようにも見えるが、これは地続きの時間軸ではなく、循環構造だからこそ成り立つ可能性だ。

 過去に干渉する概念である筈のまど神が、まどか、ほむらの魔法少女化を無かった事に出来ないのは、おそらく、この一連のループが、円環の理の根幹的な構造として組み込まれたからでは無いか、という考察。

 そして、この説により、まどマギのストーリーは、アニメ本編だけで十分纏まりを得て、自己完結していると言えるし。

 叛逆の物語は、この「救い難い」結末に対するほむらの叛逆だという解釈をする事も出来る。

 だからこそ、今までずっと、ワルプルギスの夜とは暁美ほむらの可能性の一つとして考えて来たが。

 
 まど神がワルプルギスの夜であった方が、ストーリー的な締まりが物凄くいいのでは無いかと思い至ったのである。

 今回は思いつきをまとめただけなので、かなり支離滅裂な文章になったと自覚しているが、また思いつきが整理された機会にでも、追記しようと思う。



 

 
 

 
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