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本編
第87 華やかな祭 7
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「……ギガイ様……」
レフラは心配げな声で呼びながら、ギガイの胸元を引っ張った。ギガイに限ってまさか、とは思う。それでも万が一にでも、このことが切っ掛けで跳び族の地に何か起きてしまったら。はっきりと言うならば、あの土地に価値を見出したギガイが、跳び族の地を攻め込むようなことになれば、レフラは一生自分を許せない。
「何をそんなに、不安そうにしている?」
ジッと見つめていたギガイが、そんなレフラの様子に苦笑を浮かべた。そのまま纏っていた険しさを解いて、ギガイの服をギュッと握り締めたままのレフラの手に、指を掛ける。
いつの間にこんなに力が籠もってしまっていたのだろう。
強張るほどに力が入っていた指を1本1本開かせて、ギガイは優しく摩って解してくれた。
「侵略など、する気はないぞ」
フッと呆れたように笑ったギガイが、レフラの額を軽く小突いた。その言葉にカッとレフラの頬が熱くなる。ハッキリと口にされて、そうやって疑っていたこと自体が、どれだけ失礼なことなのか、ようやくレフラも気が付いたのだ。
「も、申し訳ございません……!!」
「別に気にしていない。謝るな」
解いた後、握り締めていたレフラの手を、ギガイがスッと持ち上げる。そのまま指にキスをして、目を瞬かせたレフラをグイッと引き寄せた。唇にも触れた温かい感触。それが何か理解する前に、ギガイの唇が軽いリップ音を残して離れていく。
「ギ、ギガイ様……!」
レフラは慌てて周囲を見回した。人払いは完璧にされている。そのうえ、建物の壁へ向かい合って立つギガイの背に隠れて、レフラの姿は全く周りからは見えていない。そんな状況に気が付いて、レフラがホッと息を吐き出した。
「ギガイ様……外では止めて下さい、居たたまれません……」
顔がとても熱かった。また真っ赤に染まっているのだろう。
さすがにギガイの過剰なスキンシップに、少しずつ慣れてきてはいる。それでも誰彼かまわず、こんな姿を見られることは、レフラにはいまだに恥ずかしい。
だけどギガイが、レフラを慰めようと思って、こんな風にキスをしたことも分かっている。
レフラは困りながらギガイを見上げた。
「たったこれぐらいもダメなのか? 」
「他の方がいる場所では……」
「私に、他の者の存在を考慮しろと?」
なぜかあらぬ疑いをかけた時よりも、ギガイは面白くなさそうな雰囲気になっていた。せっかくの配慮を無碍にしたせいで、機嫌を損ねてしまったのかもしれない。
「他の誰かじゃなくて……私のためでも、ダメですか……?」
そんなギガイへお願いをすることは、まだドキドキしてしまう。でも、もう前とは違うのだ。
それにどんな風にお願いすれば、1番聞いてくれるのか。何となく分かり始めたレフラは、ギガイを上目遣いに見上げながら、伺うように小首を傾げた。
その仕草にギガイがわずかに息を詰めた。そのまま視線が彷徨って、小さな唸り声が聞こえてくる。だけどレフラをもう一度見つめる頃には、ギガイの方から漂ってくる雰囲気が変わっていた。まるで、仕方ない、と項垂れるような雰囲気なのだ。
「……分かった、考慮しよう……」
自分が言ったことだった。こんな風にお願いすれば、聞いてもらえるかもしれない、と狙って言った言葉ではあった。でも思った以上の効果だったのだ。
レフラは、その諦めを感じさせるギガイの返事に、思わず目を丸くした。
レフラは心配げな声で呼びながら、ギガイの胸元を引っ張った。ギガイに限ってまさか、とは思う。それでも万が一にでも、このことが切っ掛けで跳び族の地に何か起きてしまったら。はっきりと言うならば、あの土地に価値を見出したギガイが、跳び族の地を攻め込むようなことになれば、レフラは一生自分を許せない。
「何をそんなに、不安そうにしている?」
ジッと見つめていたギガイが、そんなレフラの様子に苦笑を浮かべた。そのまま纏っていた険しさを解いて、ギガイの服をギュッと握り締めたままのレフラの手に、指を掛ける。
いつの間にこんなに力が籠もってしまっていたのだろう。
強張るほどに力が入っていた指を1本1本開かせて、ギガイは優しく摩って解してくれた。
「侵略など、する気はないぞ」
フッと呆れたように笑ったギガイが、レフラの額を軽く小突いた。その言葉にカッとレフラの頬が熱くなる。ハッキリと口にされて、そうやって疑っていたこと自体が、どれだけ失礼なことなのか、ようやくレフラも気が付いたのだ。
「も、申し訳ございません……!!」
「別に気にしていない。謝るな」
解いた後、握り締めていたレフラの手を、ギガイがスッと持ち上げる。そのまま指にキスをして、目を瞬かせたレフラをグイッと引き寄せた。唇にも触れた温かい感触。それが何か理解する前に、ギガイの唇が軽いリップ音を残して離れていく。
「ギ、ギガイ様……!」
レフラは慌てて周囲を見回した。人払いは完璧にされている。そのうえ、建物の壁へ向かい合って立つギガイの背に隠れて、レフラの姿は全く周りからは見えていない。そんな状況に気が付いて、レフラがホッと息を吐き出した。
「ギガイ様……外では止めて下さい、居たたまれません……」
顔がとても熱かった。また真っ赤に染まっているのだろう。
さすがにギガイの過剰なスキンシップに、少しずつ慣れてきてはいる。それでも誰彼かまわず、こんな姿を見られることは、レフラにはいまだに恥ずかしい。
だけどギガイが、レフラを慰めようと思って、こんな風にキスをしたことも分かっている。
レフラは困りながらギガイを見上げた。
「たったこれぐらいもダメなのか? 」
「他の方がいる場所では……」
「私に、他の者の存在を考慮しろと?」
なぜかあらぬ疑いをかけた時よりも、ギガイは面白くなさそうな雰囲気になっていた。せっかくの配慮を無碍にしたせいで、機嫌を損ねてしまったのかもしれない。
「他の誰かじゃなくて……私のためでも、ダメですか……?」
そんなギガイへお願いをすることは、まだドキドキしてしまう。でも、もう前とは違うのだ。
それにどんな風にお願いすれば、1番聞いてくれるのか。何となく分かり始めたレフラは、ギガイを上目遣いに見上げながら、伺うように小首を傾げた。
その仕草にギガイがわずかに息を詰めた。そのまま視線が彷徨って、小さな唸り声が聞こえてくる。だけどレフラをもう一度見つめる頃には、ギガイの方から漂ってくる雰囲気が変わっていた。まるで、仕方ない、と項垂れるような雰囲気なのだ。
「……分かった、考慮しよう……」
自分が言ったことだった。こんな風にお願いすれば、聞いてもらえるかもしれない、と狙って言った言葉ではあった。でも思った以上の効果だったのだ。
レフラは、その諦めを感じさせるギガイの返事に、思わず目を丸くした。
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