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第22話 温もりと引き換えに ※
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寝室はしっかりと空調が効いていて、何も身に纏っていない身体でも、寒さを感じる事はなかった。
剥き出しの肌に触れるリネンの感触も柔らかく。それだけでその布の質の良さが分かってくる。だけど、そんな亜樹が好きだった感触も、いまは何の慰めにもならない。
さらけ出された肌を隠すように、シーツの上で小さく膝を抱え込む。
部屋の中は明かりが絞られている。それでも、身体のホクロまで確認できるだけの明るさが十分にあった。
心臓がドクドクと跳ねていた。
もう二度と触れ合えないと思っていたから、その中で感じる肌の温もりを思えば切なさが募ってくる。だけどそれと同じぐらい、この後の行為への不安も強かった。
カチャリ───。
静かな部屋の中に、扉が開く音が響く。
ビクッと顔を上げた亜樹の目の前に、スウェットパンツだけを身に着けた和真が入ってきた。
一瞬だけ亜樹の姿を確認するように、和真の視線がベッドへ向く。その視線を不安げに見つめ返した亜樹に気が付いているはずなのに、和真の視線はあっけなく外れた。
髪から垂れる雫を首にかけたタオルで拭きながら、和真がウォークインクローゼットの方へ歩いていく。そのまま中に和真の姿が消える。次に姿が見えた時には、手には何度か目にしたことがあるケースを持っていた。
「…やっ、和真、それはイヤ」
中に詰まっているのは様々な形状の玩具だ。使った事のある物から、用途の分からない物まであるそれに、身も蓋もなく乱された記憶が頭を過る。
戯れに求められて、しぶしぶながら受け入れて。
人間にはあり得ないような動きに、限界のない稼働。もうムリだと、訴える身体を何回も追い詰められ、最後は意識を飛ばした覚えがあった。
快楽の波から降りられないまま、嬲られ続けたその時の記憶に身体が竦みそうになる。
だが、それよりも心を竦ませるのが。
さんざん煽られて放り出された身体の疼きに耐えきれなくて、思わず自分で慰めた結果、玩具を差し出された時の記憶だった。
仕事が終わらないと書類を捌く和真の前で玩具を奥に含まされ、無機質な玩具からの快感のみで熱をさんざん煽られた。スイッチのオン、オフだけで翻弄されて疼く身体に泣く亜樹に、その日は結局。
『相手をする余裕がないから、イキたければ自分でやってろ』
目の前に放り出された玩具で一人で身体を弄る以外、イク方法はなかった。
最初から最後まで与えられたのは無機質な玩具からの刺激だけ。和真自身の温もりを一切与えられなかったその時の記憶はひどく辛くて、亜樹の表情が強張っていく。
「お願い、やだ、玩具はいや」
首をフルフルと振る亜樹の目の前で和真がケースの蓋を開いた。
中から覗いたのは、やっぱり記憶にある玩具達。
その中から、和真のサイズよりは小ぶりなバイブと大小の玉が連なる玩具が取り出された。
「自分でそのバイブを使うのと、俺がビーズを使うのと、どちらにするか選んだらいい」
和真が手にしたビーズに亜樹から血の気が引いていく。それは。和真が持つ1番太いバイブさえ、ビーズの全てを含まされた時の苦しさに比べればマシに思えるような玩具だった。
何度も出し入れされる苦しさも、捲られた窄みの縁を嬲られる辛さも、二度と味わいたいものではない。だけど。
「ビーズ、なら……和真が、触れ、て…くれ、るの……?」
縋るように目を向けた先で、和真が「ああ」と頷いていた。
それなら、もう選びようが無かった。
「ビ…ズが…いい……」
引き攣って掠れた声でも和真には聞こえたのだろう。かすかに喉で笑うような音が聞こえ、和真がバイブをケースの中へ放り込んだ。
剥き出しの肌に触れるリネンの感触も柔らかく。それだけでその布の質の良さが分かってくる。だけど、そんな亜樹が好きだった感触も、いまは何の慰めにもならない。
さらけ出された肌を隠すように、シーツの上で小さく膝を抱え込む。
部屋の中は明かりが絞られている。それでも、身体のホクロまで確認できるだけの明るさが十分にあった。
心臓がドクドクと跳ねていた。
もう二度と触れ合えないと思っていたから、その中で感じる肌の温もりを思えば切なさが募ってくる。だけどそれと同じぐらい、この後の行為への不安も強かった。
カチャリ───。
静かな部屋の中に、扉が開く音が響く。
ビクッと顔を上げた亜樹の目の前に、スウェットパンツだけを身に着けた和真が入ってきた。
一瞬だけ亜樹の姿を確認するように、和真の視線がベッドへ向く。その視線を不安げに見つめ返した亜樹に気が付いているはずなのに、和真の視線はあっけなく外れた。
髪から垂れる雫を首にかけたタオルで拭きながら、和真がウォークインクローゼットの方へ歩いていく。そのまま中に和真の姿が消える。次に姿が見えた時には、手には何度か目にしたことがあるケースを持っていた。
「…やっ、和真、それはイヤ」
中に詰まっているのは様々な形状の玩具だ。使った事のある物から、用途の分からない物まであるそれに、身も蓋もなく乱された記憶が頭を過る。
戯れに求められて、しぶしぶながら受け入れて。
人間にはあり得ないような動きに、限界のない稼働。もうムリだと、訴える身体を何回も追い詰められ、最後は意識を飛ばした覚えがあった。
快楽の波から降りられないまま、嬲られ続けたその時の記憶に身体が竦みそうになる。
だが、それよりも心を竦ませるのが。
さんざん煽られて放り出された身体の疼きに耐えきれなくて、思わず自分で慰めた結果、玩具を差し出された時の記憶だった。
仕事が終わらないと書類を捌く和真の前で玩具を奥に含まされ、無機質な玩具からの快感のみで熱をさんざん煽られた。スイッチのオン、オフだけで翻弄されて疼く身体に泣く亜樹に、その日は結局。
『相手をする余裕がないから、イキたければ自分でやってろ』
目の前に放り出された玩具で一人で身体を弄る以外、イク方法はなかった。
最初から最後まで与えられたのは無機質な玩具からの刺激だけ。和真自身の温もりを一切与えられなかったその時の記憶はひどく辛くて、亜樹の表情が強張っていく。
「お願い、やだ、玩具はいや」
首をフルフルと振る亜樹の目の前で和真がケースの蓋を開いた。
中から覗いたのは、やっぱり記憶にある玩具達。
その中から、和真のサイズよりは小ぶりなバイブと大小の玉が連なる玩具が取り出された。
「自分でそのバイブを使うのと、俺がビーズを使うのと、どちらにするか選んだらいい」
和真が手にしたビーズに亜樹から血の気が引いていく。それは。和真が持つ1番太いバイブさえ、ビーズの全てを含まされた時の苦しさに比べればマシに思えるような玩具だった。
何度も出し入れされる苦しさも、捲られた窄みの縁を嬲られる辛さも、二度と味わいたいものではない。だけど。
「ビーズ、なら……和真が、触れ、て…くれ、るの……?」
縋るように目を向けた先で、和真が「ああ」と頷いていた。
それなら、もう選びようが無かった。
「ビ…ズが…いい……」
引き攣って掠れた声でも和真には聞こえたのだろう。かすかに喉で笑うような音が聞こえ、和真がバイブをケースの中へ放り込んだ。
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