切り取られた青空

神山 備

文字の大きさ
21 / 65
切り取られた青空

後悔

 待ち合わせ場所に、亮平は車で現れた。

「新幹線降りてからの乗り継ぎも良くないしね。それに、この方がずっと2人でいられると思ってね」
彼はそう言うと、しばらく車を走らせた。
「14年経つとすっかり変わってしまってるところも多いけれど、このあたりはまだ変わらないな」
彼はそう言いながら人気のない川の土手の少し下がった所に車を停めた。

そしてシートを倒した。
「ああ、もう待てない」
と、言いながら私の頬を手で挟んで唇が重なる。最初は啄むようにそれから次第に深く……
彼の手が私の太股を撫でる。
「でも……ここで?」
私は息を荒くしながらやっとそう聞いた。
「ダメかな……」
すると困惑する私に亮平はいたずらっぽく笑って言った。私はゆっくりとかぶりを振った。本当の事を言えば、もう既に私の身体の奥はうずき始めていた。

亮平は私が頷いたのを見て、少し驚いたような顔をした。本当は冗談のつもりだったのかも知れない。
それでも、頷いた私を見て唇をそのまま私の耳に這わせた。
「はぁっ」
一気に私から力が抜ける。亮平は唇で首筋を責めながら、右手で太股をさわさわと撫でて、下着の隙間から長い指を差し込んでゆっくりと回す。それだけで私の中は蜜があふれ出す。
「いやん、ダメ」
「ダメなら止めようか」
無意識にダメと言ってしまう私に、亮平は笑いながらそう返す。
「意地悪」
そういって拗ねた私の頬をちょこんとつついて、
「ゴメンゴメン、僕だってもうここで止めるなんてムリだよ」
と言って、一度私の秘所から手を離し、自分のズボンの留め金を外してチャックを下ろした。少しパンツをずらせただけで、既に硬くなった彼の分身が飛び出してきた。

デブの頃にはこの狭い空間で重なり合うなんてことを考えもしなかったし、人通りはないとは言え、いつ誰が来るのかわからないとほとんど服を着たまま、秘所だけを徹底的に弄られる。鳥の羽ばたきにさえ、心臓が躍る。やがて亮平も着衣をずらせただけで私の中に進入してきた。

「ああっ、ああん」
私はそんななんとも言えない恥ずかしさで、あっという間に昇り詰めていった。勝手に腰が動いてしまうし、もう、言葉にならない声しか出ない。
まるで、私の中に何か別の生き物でもいるようだった。

「ああ、すごく良いよ、イキそうだ。止められない。中で出すよ」
亮平にそう言われたけど、そのことを深く考えられる状態ではなく、私は軽く頷いた。その後、亮平が小刻みに身体を震わせ、長い息と共に、私の中に精を放った。その時、私の頭の中で白い風船がぱーんとはじけ飛んだ。

「ゴメン、そのまま中で出しちゃったけど」
亮平のその一言で、私は我に返った。そして、思い出したのは……今朝瞳の泣き顔。
私は本当に後悔していないのだろうか……そう、後悔が微塵もないと言えば嘘になる。

「本当にゴメン、怒った?」
申し訳なさそうに、亮平が顔を覗き込む。
「ううんそんなんじゃないの、朝瞳に泣かれたことを思い出しただけ。あんまり朝ぐずぐず言うから『ママ、出て行くから!』ってつい怒鳴っちゃって……あの子置いてかれるって事にものすごく恐怖感が強いから」
私がそう言うと、亮平はホッとした表情になりこう言った。
「そう、じゃぁこどもたちも連れて僕のところに来てくれればいいよ。僕は君といられれば、一向構わない。この歳だもの。いきなり2人の子供の父親でも全然構わないさ。もしかしたら、3人になるかもしれないしね」
嬉しいはずの亮平の言葉に私は何故か返事できなかった。

しばらくして、私の携帯が鳴った。
「はい、板倉です。あ……中村先生、お世話になってます」
それは、瞳の担任の中村先生からだった。
「はい、瞳が?はい……ちょっと今、出先なんで1時間くらいはかかると思うんですが、迎えに参ります。はい、ありがとうございます。それでは失礼します」
「どうしたの、瞳ちゃんって、下の子?」
私は頷いて言った。
「熱があるって。だから今朝からおかしかったんだわ。ごめんね、折角休みまでとって来てくれたのに、私帰らないと……」
「病気なら仕方ない。いいよ、送るよ」
送ると言われても、誰に見られているとも限らない。
「ありがと、でも、近所だと見られてもいけないから、一駅手前で降ろして。そこから電車で帰るから」
「わかったよ」
亮平は私の言葉に頷くと、シートベルトをして車を発進させた。


亮平と別れた後、私は家に戻って車で瞳を迎えに行った。保健室で寝ていたあの子はかなりぐったりとしていた。
「板倉です、娘を迎えに参りました」
私はそういって保健室の先生に頭を下げた。
「瞳ちゃん、さっき測ったら、8度9分でした。ちょっと胸を開いてみたんですが、水疱瘡のようですね」
「熱があるっていうんで車で迎えに来ましたから、帰りに病院に寄って帰ります」
「そうですね、薬を処方してもらった方が、すんなり表に出ますしね」
「ありがとうございました」
私は礼を言った後、瞳の方を向いて、
「ごめんね、朝から辛かったんでしょ」
と謝った。
「ううん、学校に来てからだよ。朝は寒くなかったもん」
それに対して瞳は首を振りながらそう答えた。

でも、今朝のことは本人も気づかないうちに私に不調のサインを送っていたのだ。それなのに私は自分のことにかまけてその不調のサインを見逃していた。そう思うと、今まで分かっていながら目を背けていた後悔の念が一気に噴出してくるのを感じた。








感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

絶交した幼馴染と大学の合コンで再会した。

孤独な蛇
恋愛
中学生の浅野春樹は上級生と喧嘩騒動を起こしたことがあった。 その上、目つきが悪く地毛は茶髪のため不良少年のような扱いを受けて学校では孤立していた。 そんな中、幼馴染の深瀬志穂だけは春樹のことをいつも気遣ってくれていた。 同じ高校に行こうと声を掛けてくれる志穂の言葉に応えたい一心で受験勉強にも力を入れていた。 春樹にとって、学校で孤立していることは問題ではなかった。 昔から志穂が近くにいてくれるから……。 しかし、3年生なってから志穂の態度がよそよそしくなってきた。 登下校も別々になり、学校で話しかけてくることも無くなった。 志穂の心が自分から離れていってしまっている気がした春樹は焦っていた。 彼女と話がしたい。笑った顔が見たい。 志穂と一緒に帰ろうと、彼女が部活動を行っている体育館へ向かったのだが……。 そこで春樹が耳にしたのは、自分の悪口を言って部活の友達と楽しそうにしている志穂の声だった。 その瞬間、春樹の中で志穂に対する想いや信頼は……消滅した。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

藤白ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。