切り取られた青空

いと

傷心

　私はその日、浴びるように酒を飲んだ。とは言え、ダイエットのため１年あまりほとんど飲んでいなかった私は、すぐに酔っ払ってしまった。私にはそれが尚更悲しかった。

次の日、出社した私を見て俊樹が言った。
「お前、またひどい顔してんな、女にでも振られたか？」
「まぁな……」
「まぁなって、図星かよ。」
ニヤニヤと話しかけてきたのに、私が口ごもりながら返事をすると、まるで地雷でも踏んだかのように、俊樹はしまったという顔をした。俊樹は私の肩をポンポンと叩くと、
「でもさ、それだけスリムになったんだから、女が放っとかねーさ。」
と言って慰めの言葉を吐いたが、
「痩せるのとモテるのは別もんだよ。デブにも奥さんのいるやつは五万といるじゃないか。」
それに対して私は吐き捨てるようにそう言った。すると俊樹は、
「こりゃ相当重症だな。さっさと新しい彼女でも見つけた方が、傷の治りも早いんだけどな」
と、首をすくめながらそう言った。私はそんな軽々しく言う俊樹の言いぐさが腹立たしく、
「そんな簡単に忘れられるか！」
と、思わず大声で怒鳴ってしまっていた。
「おお、怖っ」
俊樹は、私のあまりの剣幕ぶりに取り付く島がないという表情をして持ち場に戻って行った。

　そうだ…そんなに簡単に彼女のことを忘れられるものか！！そのとき私は本気でそう思っていた。